じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

11月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

[今日の写真] センダンの実。空から緑色の雨粒が落ちてくるような感じ。



11月2日(金)

【ちょっと思ったこと】
お正月に海外旅行に行かないもう1つの理由

 21世紀お迎えムードに沸いた昨年と異なり、同時多発テロや失業率増加の影響でお正月に海外旅行に出かける人は大幅に減りそうな雰囲気だ。

 私の場合は、仕事柄、お正月か、8月のお盆前後でないとの海外旅行に行くことができない。多少の危険があっても、オーストラリア・タスマニア島縦断ハイキングとか、南米アンデス・トレッキングあたりに出かけてみようかと思っていたのだが、今度の正月は例年にない、もう1つの悪条件のあることに気づいた。それは

12月30日に満月になること

であった。ということは、年末年始にかかるツアーでは、星空を楽しむこともオーロラを眺めることも困難。月夜のヒマラヤでも楽しむ人たちにとっては好都合であろうが、私はやはり満天の星空のほうがよい。タスマニア島ハイキングなど、月夜でなければさぞかし美しい星空が見られるのでは、と思うとまことに残念だ。

 ところで、12月30日は月出の頃に半影月食があるという。半影というのは、月面から見れば太陽が部分的に地球に隠されて見える状態のことで、地球からでは月が多少暗いかなあと感じる程度で終わってしまう。そう言えば小学生高学年の時にも年末に月食があった。生まれて初めて眺めた皆既月食であった。




明石人骨

 昼食時に視た、みのもんたさんの「今日は何の日」によれば、11月2日は、明石人骨の発見者で、化学技術を駆使した土器の分析や登呂遺跡の発掘にも貢献した直良(なおら)信夫博士の命日にあたるという。

 明石人骨というのは、氏が1931年に兵庫県明石郡西八木で発見した骨盤の骨であり、発見当時は相手にされずそのまま戦火で焼失。しかし、戦後になって、残された模型や写真をもとに長谷部言人・東京大学名誉教授が鑑定を行い「明石原人」(プス・アカシエンシス)と命名され、世間をぎわした。しかし、その後、1982年に「明石原人現代人説」が発表され、「原人」は幻と消えてしまった。もっとも今でも、現地では「原人祭り」などが行われている模様。地域振興には一役かっていると言えよう。

 ネットで検索したところこちらに詳しい情報があった。

 番組によれば、直良氏は学校時代将来の進路のことでいろいろと悩むことがあった。その時に若い女の先生が励ましてくれたという。その後、考古学にあこがれ上京するものの肺結核に蝕まれやむなく郷里に戻る。そこで、再度その恩師の先生に相談し励まされる。そしてついには結婚し三児を育てることになった(←このあたりは長谷川の記憶によるため、かなりいい加減)。直良氏は、考古学以外にもさまざまな動植物に博物学的な関心を寄せたというが、そういう真面目一徹の人生と、古代女性の骨盤発見で翻弄されたり恩師の女教師と結婚するというロマンスの取り合わせが、また興味深い。

 余談だが、みのもんたさんの番組、この時間帯だけは非常にタメになるのだが、前後の健康増進情報はイタダケない。今日の話しも「乳ガンを予防するには、見知らぬ土地を旅行せよ」、「大腸ガンを予防するには、豆入りカレーを食べろ」とか、全くのデマカセではないにせよ、今ひとつ信頼性に欠けるように思う。もう少し、中高年主婦層のクリティカルな思考を養うような内容にならないもんかなあ。



真珠湾攻撃直後の日の丸

 11/3の朝日新聞によれば、米国ウェストバージニア州で、米軍のアフガニスタン攻撃に心をいためて校内で反戦クラブを組織しようとした女子高校生が3日間の停学処分を受けたという。その処分取り消しを求めた裁判でも、「この時期の反政府活動は教育現場を混乱させる」として却下されたという。

 タリバーン支配下のアフガニスタンならともかく、米国では他者を傷つけない範囲でのあらゆる言論・表現活動が保障されるのではないかと思っていたが、伝えられた通りの事実であるとするなら、必ずしもそうでないという一例が示されたものと言えよう。

 反戦活動と言えば、かつてのベトナム戦争当時には、米国内各地で反戦運動がさかんに行われたことを記憶している。あの時はさすが民主主義の国だと思ったが、よく考えてみれば、ベトナム戦争というのは、米国が勝手に他国で行った戦争であり、「なぜそんなところまで行って命を落とさなければならないのか」といったナショナリズムや、「サイゴン政権は街角で銃殺刑を執行したり、残虐な拷問を繰り返している」といった人道主義からの反発があった。その点、米国内でのテロ、つまり「自分が初めに殴られ」、今なおバイオテロにおびえる状況のもとでは、さすが民主主義を標榜する米国でも事情は変わってくるのかもしれない。

 それはさておき、停学処分を決めた校長の言葉がちょっと気になる。
この難局下に反政府主義を標ぼうするのは、真珠湾攻撃直後の米国で日の丸を振りかざすようなものだ。
 9月20日(現地)のブッシュ大統領の議会演説の中でも
.....Americans have known wars, but for the past 136 years they have been wars on foreign soil, except for one Sunday in 1941. .....
として1941年の真珠湾攻撃が引用されている。

 そういえば、だいぶ前に、ハロウィーンに参加していた日本人高校生が訪問先で射殺され、容疑者は正当防衛として無罪になったことがあった。自分や自国が脅威にさらされた時のアメリカ人の反応は、日本人の理解を超える激しさを含んでいるように思う。アフガニスタンで今も行われている攻撃は、「あらゆるテロリズムを根絶するための戦い」というよりは、やはり、「殴られたら殴り返す」戦いであるように思えてならない。