じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 大陸からの高気圧が張り出し、秋晴れな一日。ギンナンの実が金色に輝いている。



9月22日(土)

【ちょっと思ったこと】

「冷えた夫婦の温め方」/「理想の異性」の顔を合成する

 TBS系の「回復!スパスパ人間学という番組を娘が見ていた。昼食をとりながらその一部を横から眺める。この日のテーマは「冷えた夫婦の温め方」。【Webサイトのほうでは9/20放送となっていたが、岡山では一日遅れで放送されたようだ。もっとも、ネット上に書かれてあるガイドと実際の番組はかなり違っていたように見えたが.....】

 番組で面白いと思ったのは、「理想の異性の顔」。5枚の顔写真のうち、1枚だけ被験者と顔を合成して作った異性の写真を入れておくと、1番魅力的な顔としてそれが選ばれることが多いという。自分のコピーを増やしたいという生物的本質の反映ということのようだが、どんなものだか。そういえば、だいぶ昔、自分の顔ではなく(男性が被験者の場合は)母親似、正確には母親とやや異なる顔をいちばん魅力的に感じるという実験結果を読んだことがあった。母親に似ているほど魅力を感じるのだが、その一方で近親相姦を避けようとするマイナスの動きが働く。その釣り合いがとれたあたりにピークが来るという仮説である。

 番組のあと、ホンマかどうか確かめるために、某女性(←誰だか分かりますか?)の顔の輪郭のなかに私自身の目玉と鼻を埋め込んで「理想の異性の顔」を合成してみた。結果は、こちら。なるほど、こういう女性にひたむきな態度で言い寄られたら、拒絶しがたいところがありますなあ。他人が見たら、オカマっぽくてグェーグェー言うかもしれないけれど....。




 番組ではこのほか、恋愛期にはPEAとβエンドルフィンの分泌が多いが、結婚後はそれがセロトニンにとって変わるという話をしていた。倦怠期の夫婦の愛情を復活させるためには、一緒にジェットコースターに乗るとか、二人とも縛り上げてバンジージャンプを体験させるとよいらしい。

 余談だが、この番組の解説者として出演されたS氏(H大教授)は、彼が大学院生だったころ、某R研究所で何度もお見かけしたことがあった。しゃべり方も服装(←白衣がヨレヨレで襟が立っていた)も、当時とちっとも変わらない。しかし出世したもんやなあ。

 番組が終わってから、恋愛についてあれだけの神経生理学的知識をおもちのS氏はどんな女性と結婚したのだろうという話題になった。私が、「ああいう真面目人間は、どうせ、研究所内の売れ残りの女性と結婚するのがオチさ。交際範囲が限られているから....」と言うと、妻は急に「それどういう意味よ!」と怒り出した。そう言えば妻も、あのR研究所の技官をやっていたことがあったなあ。わはは、わはは。
【思ったこと(2)】
_10922(土)[心理]行動分析学会年次大会(12)21世紀への展望(2)

1日目午後:21世紀への展望〜行動分析学の現在・未来(2)

 佐藤方哉先生による講演の後半では、
  • 学問的課題:行動分析学で世界を知ろう
  • 実践的課題:行動分析学で世界を救おう
のうちの学問的課題について、これから取り組むべき諸問題がいくつか挙げられた。

 学問的課題は、人間行動分析学と比較行動分析学に大きく分けられるが、今回は前者の問題として、「言語」、「発達」、「個人差」が特に詳しく取り上げられた。

 いずれの場合も、閉じた分野として研究するのではなく、他の心理現象(例えば知覚)にどう影響するのかといった関連づけが必要であること、また、1970年頃までにほぼ確立した「三項随伴性(弁別刺激→オペラント→強化/弱化/無結果)」という枠組みでの分析を進めることの重要性が強調された。

 特に興味をひいたのは「見本合わせは条件性弁別か?」、「継時弁別は刺激弁別だが、同時弁別は反応分化である」といった問題提起であったが、専門的になりすぎるのでこの話は別の機会にゆずりたい。

 講演のいちばん最後では、「行動分析からみたパーソナリティ」という興味深い話題が取り上げられた。
  • 行動的パーソナリティ観では、行動リパートリーの構造を明らかにすること
  • 行動リパートリーの中のレスポンデントとオペラントの相互作用を明らかにすること
が主要な課題となる。この話題は「パーソナリティに関する行動分析学的一考察」[佐藤方哉 (2001)、帝京大学文学部紀要, 6, 19-30.]にまとめられている。別の機会に、コメントさせていただきたいと思っている。

 以上、12回にわたり、8月23日〜24日に行われた年次大会に参加した感想をまとめてみた。前回も少し書いたが、科学技術が人類の幸福に貢献できる可能性はほぼ限界に達している。もちろん、難病の克服、発展途上国における飢餓や疫病の克服、地球環境に優しいエネルギー資源の確保などまだまだ課題は多いが、これからはむしろ、80年余りの人生において、皆が前向きに楽しく学べる教育環境をどう作っていくか、働きがいのある労働環境はどうあるべきか、生涯現役をつらぬきながら生きがいのある老後を送るには何が必要か、自然との共生を保ちながら循環型の消費の中で不自由を感じさせないためには何が必要か、といった問題に重点的に取り組んでいく必要がある。そうした研究を進めるにあたって、人間の能動的な働きかけそのものを対象とする行動分析学が果たす役割はますます大きくなってくるのではないかと感じた。