じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] アパート近くの空き地で、ウメエダシャクが蜜を吸っているところを見た。幼虫時代からは想像もつかないような軽やかな飛び方だ。ちなみに、99年6月10日の日記で紹介した写真のほうは、羽根の模様から、ウメエダシャクではなくトンボエダシャクではないかと思われる。



9月8日(土)

【ちょっと思ったこと】

大臣が英語で喋ること

 3/9朝(日本時間)にサンフランシスコで行われたサンフランシスコ平和条約署名50周年の記念式典で、田中外相は冒頭英語で演説をしたという。9/9朝のNHKニュースで、演説の出だし「Ladies and gentlemen...」だけが放送された。

 大臣が英語で喋るというと、「わー、カッコイイ! 英語で喋れるなんてスゴーイ!」などと感じる人も多いかと思う。すでに「過去の人」になってしまった森・前首相が、クリントン前大統領に「How are you?」を「Who are you?」と言い間違えてしまったなどという作り話(たぶん)がまことしやかに広まるのも、「英語力が無い」ことをあざ笑う風潮が根底にあることを示唆している。

 しかし、日本の代表が英語を母国とする外国代表と対等の地位で式典に参加する場となるとちょっと意味が違う。たとえ冒頭の数節であるにせよ、相手国の母国語に合わせるということは、国家としては屈辱的なことであるようにも思える。もちろん平和条約そのものが「敗戦国日本」と「占領支配国米国」との間で結ばれたものであるという非対等性、式典参加者の大部分が日本語を理解できないという状況のもとでのサービスかと思えるが、そんならば同じ時間帯に、米国の高官が訪日して冒頭日本語のスピーチをするぐらいの配慮があってもよかったのではないかと思う。

 少し前、中国の外相が日本語で「ヤメナサイ」などと言って猛反発をくらったことがあったが、政府要人が相手国の言葉を喋ると何かとトラブルを引き起こす恐れがある。「おだぶつ」発言など、何かと失言の多い田中外相であるが、会談や記者会見で英語での失言をされないよう願いたいところだ。



中学教諭逮捕

 7/24夜に大阪の中学1年の女子生徒が中国自動車道で放置死された事件で、兵庫県警捜査本部は8日、34歳の中学校教諭を逮捕したという。この事件では、容疑者が中学の先生であったこと、ツーショットダイヤルが使われたこと、被害者が児童養護施設で生活していたことなどが伝えられているが、なぜか容疑者の出身大学名は公表されていない。大学あるいはその出身者に対する嫌がらせが生じることを避けるためだろうか。

 朝日新聞には“なぜ教師「最悪だ」”という大見出しもあったが、この教師が、前の中学で98年5月から翌年3月まで休んでいたこと、今年の6月15日からも再び欠勤していたことがどういう原因によるものか、ぜひとも解明してもらいたいところだ。
【思ったこと】
_10908(土)[心理]温泉の効能はどこまで実証されているか

 温泉に入ったあと、扇風機にあたりながら脱衣場の入り口付近にある効能書きを読むことが多い。先日、教員合宿研修で宿泊した施設は天然温泉ではなかったが、ミネラル温泉と称してさまざまな効能が宣伝されていた。どこまで効き目があるのか甚だ怪しいとは思いつつ、「せっかく入ったのだから」という期待もあって、誇大広告ではないかなどと不信感をいだくことはあまりない。

 この温泉の効能書きの根拠についてネットで少し調べてみた。それによると、全国の天然温泉施設では、浴場の入口に掲示を出さなければならないことは、温泉法(昭和二十三年七月十日法律第百二十五号 最終改正 平成五年十一月十二日法律第八十九号)第十三条において、次のように定められている。
 温泉を公共の浴用若しくは飲用に供する者は、施設内の見易い場所に、総理府令の定めるところにより、温泉の成分、禁忌症及び入浴又は飲用上の注意を掲示しなければならない。
 一般に「効能」と呼ばれているのは「泉質別適応症」が正しい呼称であり、その根拠となるものは、平成57年(1982年)の環境庁自然保護局長『温泉法第十三条の運用について』次の通知に基づくものである。
 温泉の医治効用は、その温度その他の物理的因子、化学的成分、温泉地の地勢、気候、利用者の生活状態の変化その他諸般の総合作用に対する生体反応によるもので、温泉の成分のみによって各温泉の効用を確定することは困難であるが、療養泉の適応症はおおむね別表1一般的適応症及び別表2泉質別適応症によること。【適応症については、こちらこちらに表が紹介されていた。】
このほか、「伝統的適応症」について
  • 単純泉については泉質別適応症を定めていないが、アルカリ性単純泉については伝統的適応症があることにかんがみ、適応症の決定に当たっては、この点に留意すること。
  • 特定の源泉について別表1及び2に掲げる一般的及び泉質別適応症のほか伝統的適応症を適応症として決定する場合は、専門的知識を有する医師の意見を参考にすることが望ましい。
と記されている。

 なお、上記の「平成57年(1982年)の環境庁自然保護局長通知」であるが、2000年5月1日付で各都道府県地方分権担当部長に宛てられた“「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」の施行に係る通達の見直し等に関する調査結果について(送付)”には、従来の通達の整理等に関する考え方が示されている。そのうちの、
従来から助言・勧告として出されていた通知については、従来どおり助言・勧告として位置づけられるものである。
」という整理結果の中に温泉法関係諸通知が含まれている。となると、環境庁(当時)の通達は命令や行政指導にはあたらない可能性が高い。

 以上から推測するに、「温泉の効能書」というのは公的に認知されたものではないが、日本古来からの温泉の効用や観光産業への配慮などを総合的に勘案し、過度な宣伝合戦がおこらぬよう、大まかな目安を示したものと受け止めるべきかもしれない。行政の立場としては、「適応症」よりもむしろ、「禁忌症」や「入浴又は飲用上の注意」を徹底させることのほうが重要であろう。

 温泉成分の皮膚や消化器等への効果については化学的・生理的作用からある程度根拠づけられるが、例えば「疲労回復」など精神的効果を含むものについては、有効性が実証されているとは言い難い。にも関わらず、多くの利用者が温泉旅行を楽しむのは、泉質成分の有効性そのものよりも、仕事を離れることによる休息効果による部分が大きいためであろう。