じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 神郷町のバンガローの周りで、ガガンボの仲間が交尾した状態でじっと留まっているのを見た。



8月13日(月)

【ちょっと思ったこと】

恒例? 旅行先クイズ

 8月中旬恒例?の海外旅行に行くことになった。一昨年はイラン、昨年はカラコルムハイウェイ(パキスタン→中国)、さて、今年は?

 かつて天文少年だった私には、一生のうちに一度は眺めたい天文現象が3つあった。残る1つを眺めるのが今回の旅行の目的である(←ヒント出し過ぎか)。

 ご応募される方は、こちらのフォームをご利用ください。なお、送信時にアクセスログが残りますので、ホスト名を知られたく無い方は先に進まないようにお願いします。無事に戻りましたら、正解の方のお名前とHPのURLなどを公開させていただきます。




個人情報の収集が目的?の解除サイト

 ローカルなトラブルにより一週間近くメイルを読むことができなかった。やっと復旧ののち開けてみると、半分以上はSPAMの山。加えて、
Hi! How are you?
I send you this file in order to have your advice
See you later. Thanks
の文面でお馴染み?のウィルス付きメイルが2通、さらに、「【お問い合わせ有り難う御座いました】」などという虚偽のタイトルで合計466KBにも達する大サイズの画像を頻繁に送りつけてくる悪質SPAMが2通も含まれており受信に手間取る。このような大サイズのメイルを何度も送りつけてくることはメイルボックスの容量を破壊するという点でもはや犯罪ではないかと思う。発信元の管理者と岡山県警にはすでに何度か連絡を入れているが、そろそろ厳正な処置をとっても良い頃ではないかと思う。

 そんななか、見覚えの無いメイルマガジンが、ジャストネットと和風ネットの私用アドレスに送りつけられていた。どうやら日記才人のアドレスデータを勝手に転用したものではないかと思われる。

 このメルマガ、解除するためには指定されたサイトにアクセスしてほしいなどと書かれてある。試しにそのURLを開いてみるとびっくり。Eメイルアドレス以外に、氏名、ふりがな、生年月日、住所、電話番号、勤務先、勤務先住所などの書き込み欄と送信ボタンがつけられていた。たかが、メルマガの解除、それもこちらが登録さえしていないメルマガの解除のために、なんで個人情報をあれこれと書き込まなければならないのだ。ひょっとして、読んで貰うためではなく、個人情報を収集する目的で勝手にメイルを送りつけているのではないかと疑ってみたくなった。
【思ったこと】
_10814(火)[心理]セラピー(療法)について考える(3)被験者をぶん殴って検証?

 8/12の日記の続き。セラピー(療法)の一技法の有効性検討を目的とした実験研究は多種多様に行われているが、大学生を被験者として卒論研究として行う場合には、さらに2つほど問題点が生じてくる。例えば、ストレスの解消を目的としたセラピーの技法(あるいはリラクセーション法)を検討する場合、
  • 実験に協力するような学生は、どちらかと言えば精神的に健康な人たちばかりである。改善を必要とするような慢性的なストレス状態には陥っていない。
  • 実験室は元来、静穏で心地よい環境になるように作られているので、被験者は実験開始前からすでにリラックスした状態になっている。
という問題が出てくる。そこでしばしば行われるのが、
  1. 人工的にストレス状態を作り出す。
  2. 何らかの客観的な生理指標についてあらかじめ測定を行い、実験群と統制群(対照群)にランダムに分ける。
  3. 実験群には「○○セラピー」を実施、統制群には何も実施しない。
  4. ふたたび、生理指標について測定を行う。その平均値に、実験群と統制群のあいだで有意な差があれば、「○○セラピー」はストレス解消有効であったことが実証されたと考える。
という方法である。その際、1.の段階の操作の妥当性が問題となる。そのような操作がある種のストレス状態を作り出すことが確認できたとしても、それ以外に複合的にどのような変化をもたらしたのかはチェックされない。昨日述べたように、生理指標は単一の原因だけでは変化しない。上記4.の段階で有意な差が見られたとしても、直ちにはストレス解消の証拠にはなりえないのである。




 これに似た問題点は、99年2月8日の日記で一度指摘したことがあった。より一般的に言えば、
  1. ある実験操作を行う。
  2. 実験的操作が正しく機能したか、を確認する。
  3. 実験操作を行った条件と行わなかった統制条件でターゲットとする課題のスコアに有意差があることを確認。
  4. この有意差は上記の実験操作が原因であると結論する。
というロジックが抱える問題点である。その時には次のような仮想の例を挙げた。
 あくまで話を面白くするための仮想の実験であるが、たとえば、記憶の保持に「怒り」がどういう影響を及ぼすかを実験したとする。
  • 被験者全員にある記憶課題を実施したあとランダムに2群に分ける
  • 実験群については「怒りを引き起こす操作」として被験者をぶん殴った。
  • ぶん殴ったことで被験者が怒りを発生させたかどうかを質問紙で調査する。
  • ぶん殴られた実験群とぶん殴られなかった統制群で、記憶テストのスコアに有意差があることを確認する。
  • 有意差は、怒りの発生が原因であると結論する。
この場合、「被験者をぶん殴る」という操作は、被験者に「怒り」ばかりでなく、それ以外の変化(恐怖、悲しみ、物理的な傷害..)も同時に引き起こすだろう。それらが原因となって有意差が生じた可能性は否定できないのである。たとえば、ぶん殴ったために被験者が脳震とうを起こし、短期的な記憶喪失に陥るということもありうるだろう。

 上記にも関連するが、卒論研究などでは、ストレスを大ざっぱに捉えすぎるところがある。結果的に生じる、無気力状態や「胃腸の叫び」や悪夢に共通性があったとしても、やはり個別的に原因を同定し改善をはかっていくしか無いように思う[7/13の日記参照]。頭痛1つとったって、いろいろな痛みのタイプがある。被験者の頭をぶん殴って人工的に発生させた頭痛だけで検討できるわけがない。




 健康心理学ブームの中で、ある種のセラピーの有効性を「実験的に検証」しようという試みはますます増えるだろう。そういう研究題目は助成を受けやすいし、卒論ネタとしても評価されやすい。しかし、100も200も検討を繰り返すわりには、大した成果は得られない。しょせん、実験的方法でできることは、「有効性の検証」ではなく、「有効であったという一事例の提示」にすぎないからである。

 そういう実験研究は、学術研究の積み重ねにおける価値よりも、そのセラピーを商売の道具にしようと考えている人々にとって好都合である。なぜなら、ちらし広告などでは、治った人の体験談(←じっさいには作り話が多い?)を満載するよりも、「○○大学の△△研究室で行われた実験研究で有効性が確認された」という記事を載せることのほうが信頼性が高められるからである。逆に言えば、実験研究の「成果」をキャッチフレーズに使っているようなセラピーには眉唾ものが多いと言えるかもしれぬ。