じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 機上から眺めた南アルプス・北岳方面。羽田から岡山に向かう飛行機は、羽田上空を旋回して高度を上げた後、多摩川→甲府盆地→南アルプス→中央アルプス→琵琶湖北部→京都→姫路のコースを辿る。この日は、モヤがかかっていたものの皇居、新宿高層ビル群、代々木の森、三軒茶屋のキャロットタワー、愛知県犬山、若狭湾、姫路城などがはっきりと見えた。



6月3日(日)

【思ったこと】
_10603(日)[生活]幼稚園・小学校の頃の記憶

 昨日の続き。朝9時ピッタリに引っ越しのトラックが到着。大型家具の梱包も手際よく進められ、1時間40分で搬出を完了した。

 空っぽになった家中を見渡す。それから縁側に座って30分ほど庭を眺める。じつは、私自身は、この家にも庭にもそれほどの懐かしさを感じることがない。今の家が新築されたのは私がすでに大学院に進んだ頃であり、この家で生活したという実感が殆どないためである。庭のほうも新築時に半分をつぶしてしまったため、これといった思い出は無い。庭を眺めて思うことは、子供時代にはあのあたりに池があったとか、あのあたりに花壇を作っていたということだけである。それでもなお、昔の記憶は鮮明だ。目をつぶれば、40年近く前の庭の様子がありありと浮かんでくる。

 戸締まりをしたあと、いちばんよく利用した東急バスに乗って渋谷に向かった。運良く一番前の席に座れた。私が幼ない頃のバスは皆ボンネット型をしており、一番前の席は助手席のような位置にあった。幼稚園の頃は、そこに座って運転手のマネをするのが何よりも楽しかった。そう言えば、幼稚園の頃は、いつも「大きくなったらバスの運転手になりたい」と言っていた。

 渋谷の駅で今でも変わらないのは東急東横店の建物だろう。北側の高い部分(当時は新館と言っていた)は、確か幼稚園の頃に建てられたものだったと思う。屋上から初めて眺めた山手線や自動車はみなマッチ箱のように見えた。東横デパートの最上階には食堂があった。あそこで食べたホットケーキやプリンの味も忘れられない。

 渋谷駅のガード下には、白い服を着て寄附を求める傷痍軍人、靴磨き屋さん、ボロをまとった物乞いの親子などが並んでいた。靴磨き屋さんが多かったのは、郊外の道路事情が悪く、泥を落とす必要があったためではないかと思う。

 古い話はこのぐらいにしておくが、こうして書いてみると、東京で生まれ育った18年間のうち、幼稚園から小学校の頃の出来事ばかりが思い出されることに気づいた。実際、学校の校歌を例にとっても、メロディはともかく、歌詞まで完璧に覚えているのは小学校の校歌だけである。

 もっとも、幼稚園や小学校のことが思い出される度合いは、必ずしも記憶の強さだけに依存するものではなさそうだ。
  • 幼稚園や小学校の時の体験は、大部分が自分の外の物理世界とのふれあいである。それゆえ、何年たっても、同じ景色が手がかり(=弁別刺激)となった「思い出す」行動が自発されやすい性質をもつ。いっぽう中学以降は、人との交流やテキストを通じた経験が重要部分を占めるので、外界が手がかりとなって思い出される確率が低い。
  • 私の場合は、高校卒業以降ずっと西日本各地で生活していたため、東京・世田谷の景色が成人以降の生活で上塗りされないまま、子供時代の記憶の手がかりとして保存されていた。
 いずれにせよ、子供の頃の思い出というのは人生最高の宝だと思う。年老いてあと何ヶ月の命という状態になったときに思い出されるのは、たぶんそのころの出来事だと思う。ターミナルケアでも、子供の頃に過ごした場所の景色、聞いた音楽などを再現できるような配慮が求められる。バーチャルな世界を作る技術は、こういう場に活かしてもよいのではないかと思う。
【ちょっと思ったこと】

60Hzの壁は厚かった

 家電製品を東京から動かす際に気をつけなければならないのが周波数の違いである。最近では切り替えスイッチ1つで対応できるものが多いと聞くが、自宅にあるのは皆古く「50Hz専用」と表示されているものがいくつかあった。このほか、ガス器具もそのままでは使えない。
  • 電子レンジ(オーブン兼用)
  • 洗濯機
  • ガス乾燥機
 冷蔵庫は「50Hz、60Hz対応」となっていたが、切り替えスイッチがあるのかどうかは未確認。
 電気屋さんで切り替えをしてもらってもカネがかかる。かといって、すべてが有料化の時代、簡単に処分できないのが辛いところだ。

 東日本と西日本で周波数が異なるのは、各地の電力会社が当時、アメリカとドイツから別々に発電設備を導入したためであると聞いている。文明開化の混乱の名残がいまだに残っているとは信じられないことだ。このさい、一定の猶予期間をおいて、日本の電力の周波数をすべて55Hzに統一するなんていう大改革をやってもよいのではないかと思うのだが、どのぐらいのコストがかかるものなのだろう。