じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 水やりのため、観葉植物をベランダに出す。まるでジャングルだ。



5月15日(火)

【思ったこと】
_10515(火)[心理]「メル友」が悪いわけではない

 京都府の宇治川で京都女子大の2年生(19)が遺体で発見された事件で、京都府警は15日、「メール友達」のN容疑者(25)を殺人と死体遺棄容疑で逮捕したという。N容疑者については、8日に他殺体で見つかった女性会社員(28)のバッグを質店に持ち込むなど、別の事件との関わりも疑われているという。

 この事件に関連して、TVや新聞ではネット匿名性を悪用した犯罪が「多発」しているとの指摘があるが、どんなものだろうか。たしかに、朝日新聞記事には、先月23日に茨城県の主婦(28)がアルバイト店員(18)に刺殺された事件、松江市の女性(21)が無職の男(44)に誘い出された事件、高槻市の主婦(32)が男子高校生(18)に包丁で刺され重傷を負った事件などが紹介されている。しかし、某大手ネット検索サービス会社1社だけで約130万人が登録しているという規模から考えると、「交際相手を簡単に探せるインターネットの「出会い系サイト」をめぐっては、「メール友達」になったのがきっかけで、犯罪に巻き込まれるケースが全国で相次いでいる。」(朝日新聞5/16記事)というほど「相次いでいる」のかどうかは疑問に思う。

 ネット上での交際は、相手に対して現実とはかけ離れたイメージを膨らませてしまうという見方もある(←5/16朝6時台のNHKニュースに登場した野田正彰・京都女子大教授が同じようなことを言っておられた)が、私は、それはネット交際の一面の特徴を表したにすぎないと思う。ネット上では逆に、容貌、声、年齢、性、職業などに囚われずに本音が語り合える部分もある。

 では、直接顔を合わせれば相手が分かるのか。街角でのナンパ、あるいは昔ながらのお見合いでは、外見的特徴やうわべだけのお上品さが有利にはたらく場合がある。顔を見たからといって正確さが増すわけではない。

 「19歳未満の男女は出会いサイトへの登録を禁止しろ」という主張もあるというが、これも私には理解できない。そもそも19歳以上がネット交際の欠点を熟知しているとは思えない。実際、上記の記事で被害者として紹介されている女性は、京都女子大生を除けば、28歳が2名、ほかに21歳と32歳であって必ずしも未成年というわけではない。むしろ、18歳以下の男女にネット交際をどんどん推奨して、ネット上ではどういう幻想をいだきやすいのか、現実の人間関係とどこが違うのかを体得させることのほうが意味があると思う。また、Web日記作者の中でも何組か知られているように、ネット上での交際が見事に実を結んだ成功例、あるいは、男女交際とは別に、お互いの悩みを語り合い励まし合うようなポジティブな事例をもっと紹介すべきである。

 ネット上での交際が犯罪に結びつきやすいのは、年齢の未熟さでも相手にいだく幻想でもない。相手の素性もよく確かめずに、ひとけの無い場所にのこのこと会いに行ったり、安易に電話番号や住所を教えてしまうという無防備さに一番の原因がある。未成年ばかりでなく、ネットを利用するすべての男女に対して、自分のことは自分で守る力を身につけさせることが肝要だ。これは、反社会的宗教団体や悪徳商法の勧誘から身を守ることと基本的には変わりない。もちろん、泣き寝入りを防ぐためにも、ストーカー行為や誹謗中傷を告発するサポート体制を作っておくことも忘れてはなるまいが。

昨年11月14日の日記に「出会いサイトの自己責任/やはりWeb日記に限るかも」という関連記事があります。
【ちょっと思ったこと】