じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

5月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

[今日の写真] チャイブの花が見頃となった。3年目の株。



5月12日(土)

【思ったこと】
_10512(土)[心理]京都心理学セミナー(1)セルフマネジメント/エコマネー

 5/12の13時30分〜17時、京都大学文学部で「京都心理学セミナー:ことばと体験をつなぐもの〜心理療法からエコマネーまで〜」が開催された。このセミナーは、私の指導教授でもあったM教授の御退官を記念して創設されたものであり、教室のOBが順番に世話役を引き受け、他大学の心理学関係者を招いてお話しを聞く企画である。30回目は長谷川がそれを引き受けることになった。


 トップバッターの杉山尚子氏(山脇学園短期大学)からは、例えば「甘い物を食べ過ぎると太る」とか「タバコを吸うと健康に悪い」といった、理屈では分かっていることがなぜ改善行動に結びつかないのかについて、ご自身が指導しておられる大学でのセルフマネジメントの実例を挙げながら、行動分析学的視点からの話題提供をいただいた。

 杉山氏によれば、行動を変えるには
  1. 知識
  2. 技能
  3. 随伴性
という3点セットが大切。特に「どういう行動を強化するのか」という見極めのほうが難しいということ、また随伴性に関しては、誰によって強化されるのか、どういうコミュニティの中で強化されるのかという問題があり、この点でまだ検討の余地が残されていると指摘された。杉山氏の話題提供は、これまで行動分析について関心の無かった方に強いインパクトを与えたものと思う。




 次に「エコマネーの世界が始まる〜人間に優しい社会〜」といいうタイトルで、エコマネーネットワーク事務局長の中山昌也氏から話題提供があった。エコマネーに関してはこの日記でも何度か取り上げているが、御本家から直接お話しを伺うのは今回が初めてであった。ちなみに中山氏は京大大学院工学研究科のご出身。私にとっては同じ大学の先輩にあたる。

 まず、「エコマネー」はしばしば「エコロジー」+「マネー」であるように思われてしまうが、実際は加藤敏春氏の造語「エコミュニティ+マネー」を略したものであるということだった。今回、中山氏からいただいた

『エコマネーの新世紀』(加藤敏春、頸草書房、2001年)

によれば、エコミュニティは次のように規定されている。
「エコミュニティ」においては、生活者である人間が、コミュニティ・ビジネスが活発に興る“経済”(Economy)と生活者が帰属意識を感じる“コミュニティ”(Community)が一体となった経済社会構造の下で、“自然”(Ecology)と共生し、地球に優しく持続的な発展をめざすことが目的とされる。[p.30]
エコロジーも重要な要素ではあるが、さらに広い概念を含むものであると言えよう。

 次に、5/10の日記でも紹介したように、エコマネーは、
「エコマネー」とは、環境、福祉、地域コミュニティ、教育、文化などに関する多様な価値を媒介する、二一世紀の「新しいお金」です。従来の市場経済の尺度でははかれない価値を、その多様性を評価したうえで、流通させるものです。[『エコマネーの世界が始まる』(加藤敏春、講談社、2000年)]
と定義されているが、この「多様な価値を多様なまま評価し、媒介できるマネー」という発想は、実は、原始時代のお金の原型なのだそうだ。ところが、コミュニティの中で通用していたお金が外との交易にも使われるようになり、さらに、それを貯えたり、他人に貸して利息をとったりするようになる。中山氏によれば(加藤敏春氏の『エコマネーの新世紀』の14頁にも記述あり)、現在世界で流通しているお金は300兆ドルほどであるが、地球上に存在するすべてのGDPの合計は50兆ドル(加藤氏の著書では30兆ドル)にすぎない。残りはいわばバブルなお金で、現在の我々はそれに振り回されて生活している。それを見直す役割を果たすのがエコマネーということになる。

 このあたりまでは私も理解していたのだが、今回の話題提供で、エコマネーには次のような重要な特徴が含まれていることに気づいた。時間が無くなったので次回に続く。
  1. コミュニティの中だけで通用すること。外に出れば何の価値も無くなる。
  2. 有効期限があり、使わないと無効になる。貯えても意味が無い。
  3. 他者との関わり合いに価値を与えることが基本である。
【ちょっと思ったこと】

地下鉄・バス乗継券の不親切

 京都で用事がある時は、たいがい、「地下鉄・バス乗継券」を利用する。例えば京都駅から今出川経由で百万遍まで行く場合、地下鉄は230円、バスは220円、合計450円かかるが、乗継券を利用すると2割引きの360円で済む。ところが、この券を利用する者への案内がまことに不親切。

 まず、京都駅でキップを買う場合、合計でいくらかかるのかが券売機には表示されない。上の表を見て、京都〜今出川駅間が2区であること、2区の場合の合計運賃が360円であることを確認しないと、どのボタンを押してよいのか分からないのだ。

 次に帰りの「バス→地下鉄」乗継券を買わなければならない。ところが、なんと、京都駅の自動券売機ではこれを扱っていないのである。けっきょく、地下鉄からバスに乗り換える際に、最寄りの駅の券売機で買わなければならないのだが、出口階段から離れているとそれを買いにいくだけで時間がかかる。

 さらに、帰りにバスから地下鉄に乗り換える際、どの挿入口から乗継券の半券を入れればよいのか、一目見ただけではさっぱり分からなかった。結局、行きの京都駅と帰りの地下鉄の駅で駅員さんに尋ねるハメになった。

 これだけ案内が悪くても改善がなされていないということは、おそらく観光客にはあまり利用されていないのだろう。実際、市内あちこちを巡るのであれば、一日券(確か、1200円)を購入したほうがよっぽどお得ということになる。また、地元の人にとっては、たぶん、割引率の高い回数券のほうが特になるのだろう。そういやバス車内に「最近、バスの中で回数券のバラ売りをする人がいるが、車内での販売は禁じられています」というような掲示があった。いまどきバラ売りで差額を儲けようという人がいるとは信じられないことだが、それだけ割引率が大きいということなのかもしれない。