じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

5月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

[今日の写真] ヤコウボク。数年前に100円の処分品を5〜6株購入。寒さには比較的弱く、この場所に植えた一本だけが生き残った。アパートの壁で寒風が吹き抜けないのがよかったのかも。



5月8日(火)

【思ったこと】
_10508(火)[心理]和田秀樹氏の『痛快!心理学』と行動分析(4)人間と機械はどこが違うか?

 非常勤講師先で、連休明けの最初の授業。4/21の日記に記したように、ここでは、今年度から『痛快!心理学』(和田秀樹、2000年、集英社インターナショナル、ISBN4-7976-7022-3)を教科書として批判的に使用している。

 この授業では、毎回授業の終わりの5〜10分を使って、簡単な?質問に5行程度で答えてもらうことにしている。前回は「人間と機械はどこが違うか」という質問だった。今回は、その解答にコメントする形で授業を再開した。

 受講生が挙げた解答を、「人間にはできるが機械にはできない」という形でまとめ直してみると、おおむね
  • 心がある(→機械には心が無い。以下同様)。
  • 感情がある。
  • 意志がある。
  • 同情する。
  • 誤りをおかす。
  • 構造が違う。
  • 経験を活かせる。
  • 臨機応変に対応できる。
  • 自発的である。
  • 決められたこと以外のことができる。
といった解答が目についた。たまたま、豊田秀樹さんから送ってもらった『金鉱を掘り当てる統計学〜データマイニング入門〜』(講談社ブルーバックス81325、2001年)の終章197頁に、チューリング(Turing)が1950年に提唱した「機械にはXができない」リスト(チューリングテスト)が紹介されてあったので、授業ではこれを追加。具体的には
  • 親切であること
  • 機知に富むこと
  • 美しいこと
  • 友好的なこと
  • 自発性のあること
  • ユーモアのセンスのあること
  • 善悪の判断のつくこと
  • 誤りを犯すこと
  • 恋に落ちること
  • 苺とクリームを楽しむこと
  • 誰かを恋に落とすこと
  • 経験から学ぶこと
  • 言葉を正しく使うこと
  • 自分自身を考えること
  • 人間と同じくらい行動の多様性を持つこと
  • 本当に新しいことをすること
となっていて、受講生の挙げた項目と一部重複していた。こうしたリストは、人間の行動を出来る限りたくさん思い浮かべた上で、現在に至るまで機械では交代できないもの(あるいは将来も交代不可能と思うもの)を拾い上げればよいので、誰でも簡単に作ることができる。もっとも、「人間と機械を判別する最終的な基準は何か」ということまで突き詰めて考えると重要な哲学的課題となってしまう。

 それと、「人間には心があるが、機械には無い」というようなものは、「心とは何か」が明確でないと判別基準には使えない。これらはむしろ、これから調べるべき内容であると言えよう。

 私自身が独自にリストを作るとしたら、特に、
  • (人間は)行動を自発する特徴を本質的に備えている。
  • (人間は)経験(行動の結果)により行動を変える仕組みを備えている。
という2点を強調したい。何度も強調しているように、これがまさに、オペラントの概念。この特徴さえ整備すれば、じつは、同情や恋愛や行動の多様性などもその上に構築することができるのである。
 
 なお、「人間にはできるが機械にはできない」という判別基準の問いとは別に、「機械にできるかもしれないが、人間が自分でやってこそ意味がある」という行動もある。例えば、自分で畑を耕す、刈り取る、編み物をする、自転車をこぐ....など。いわゆる「行動内在的好子」が随伴するような行動を機械任せにしておくのは勿体ない。これについては改めて考えてみることにしたい。

※5/9追記]チューリングテストの記述に関して、Shiroさんから
「データマイニング入門」の本にどのように引用されていたかはわかりませんが、チューリングが「機械にはXができない」リストを提唱したという表現は誤解を招くように思います。
チューリングはチューリングテストを提唱した論文の中で、「機械は考えることが出来るか」という問いに対する考えられる反対意見を検討しており、上記リストはその中に挙げられているものです。チューリング自身はそれらの「できない」リストそれぞれについて批判的に検討しています。
チューリングの原論文は翻訳をネット上で読むことができます
http://tanaka-www.cs.titech.ac.jp/%7Eeuske/doc/turing-j.html
という情報をいただいた。豊田さんの『金鉱を掘り当てる統計学〜データマイニング入門〜』では、上記の“「機械にはXができない」という形式のリスト”は、チューリングテストを紹介する直前の記述であり、チューリングテストそのものの紹介ではありませんでした。お詫びして訂正させていただきます。
【ちょっと思ったこと】

自動車の衝突安全性能試験

 一日前の話題になるが、5/7のNHK「クローズアップ現代」で「オフセット衝突」が取り上げられていた。従来の正面衝突や側面衝突に加えて、今回から運転席と運転席がぶつかり合うオフセット衝突試験が行われるようになったという。NHKにしては珍しく、メーカー名や車種名を出しながら安全性の比較結果を伝えていた。

 番組では、軽自動車の安全性レベルが総じて低いことが問題として指摘されていた。驚いたのは、昨年秋に購入した我が家のセカンドカーの評価が、フルラップとオフセット前面いずれの衝突試験においてもレベル1で最低だったこと。大して価格が変わらないのなら、少しでも安全レベルの高い車にすべきだったとちょっぴり後悔。

 しかし、本日になって、当該サイトにアクセスしてみたところ、我が家の軽自動車のレベルが低いのは運転席の話。助手席では逆に、同種の軽自動車の中では群を抜いて安全性の高いことが分かった。もともと、このメーカーのその車種に決めたのは、同クラスの中でも助手席エアバッグが標準装備されていること、それと、5速MTフロアシフト、UVカットなどの条件を満たす条件で手頃な価格帯だったためである。

 ちなみに、私が主として使っているワンボックス車は、今回の試験結果には記載されていなかった。ワンボックス車は、運転席の前がのっぺらぼうになっているため、衝突にはめっぽう弱いのではないかと思う。昨年秋まで12年間愛用していた車などは、エアバックすらついていなかった。ぶつかれば即死の可能性が高かったと思う。

 もっとも、昨日、非常勤講師先まで運転していて思ったのだが、ワンボックス車の運転席はかなり高い位置にある。仮にセダンタイプの普通乗用車と衝突した場合、少なくとも胸より上の部分は損傷を受けにくいように見えるのだが、どんなもんだろうか。トラックやコンクリート壁に衝突した時にはひとたまりもないけれど.....。