じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 柿の新緑。「柿の葉が開いたら○○の種を撒く」というように、柿のは昔から農作業の重要な目安になっていたようだ。写真の木は私が子供のころから実をつけていたもので、樹齢は60年以上になっていると思う。周囲の建物のためにすっかり日当たりが悪くなってしまったが、今でもしっかりと甘い実をつける。



5月5日(土)

【思ったこと】
_10505(土)[一般]「逆境栽培」が甘い実の秘訣

 5/6の朝食時にNHK「たべもの新世紀」を見た。高糖度トマトとして知られる高知県の「とくたに(←漢字は忘れてしまった)トマト」誕生秘話がなかなか参考になった。

 このトマトは、ふつうのトマトの1/3ぐらいの大きさしかないもののすこぶる甘い。その秘訣は土の表面が白くなるほどの塩分の多さにある。塩分が多いと浸透圧による水分吸収が困難になるため、体内の水分の濃度をさらに高めて防衛しなければならない。そうしたギリギリの逆境の中で実をつけたのが高糖度トマトなのだという。

 このトマトの開発は、1970年の台風10号による浸水被害がきっかけであった。トマトの栽培を本格的に始めたばかりの山本守男さんのビニールハウスに大量の海水が流れ込み、野菜を育てるのは無理と言われるほどの塩分が残った。じっさい、3/2は枯れてしまったが、生き残ったトマトがつけた実は小粒ながらきわめて甘かった。その後、水を与えるタイミング(というか、苗を植えたあとは殆ど水を与えないという)、塩分濃度の調整などで工夫を重ね今のような生産体制に至ったが、それでも出荷できるのは7割程度にとどまるというから、たいへんなものだ。

 この番組で面白いと思ったのは、あえて「逆境」を与えながら野菜を育てるという発想である。これまでの野菜栽培はもっぱら、その植物に最適な生育環境を作るように手が加えられてきた。霜よけをする、保温する、消毒をする、土を深く耕して根を張らせる、...などである。また、昨今議論されている遺伝子組み換え作物の場合は、それぞれの環境で「結果として育ちやすい」性質をもつように改良が行われてきた。今回の「逆境栽培」の場合も「手をかける点」では同様だが、植物が本来持ち合わせている「生き残り」のためのパワーを最大点に引き出す工夫をしているという点が大きく異なっている。

 おそらく人間の場合も、生物として同じことが言えるだろう。もっとも、2/3が死んでしまうような過酷な逆境を作ることは人道的には許されない。また、仮にそのような過酷な状況に陥ったとしても、そこで発揮される「生き残りパワー」が精神力のパワーであるとは限らない。強制収容所に入れられたユダヤ人がどう変わっていったか、という過去の不幸な事例からそれを読みとることができる。そういう意味では、高糖度トマトに与えられる試練を子育てに活かそうなどという安易なアナロジーは慎んだほうがよいかもしれぬ。

 なお、上記の番組は、5/12土曜日19時から再放送されるという。お見逃しの方にはオススメです。
【ちょっと思ったこと】

毎日ゴミを回収してくれる?場所

 土曜日の午前中、世田谷・松陰神社近辺を歩いていたら、街角の至るところに、可燃ゴミが集積されていることに気づいた。おやっ、可燃ゴミは火曜と金曜のはずだと思ったが、よく見ると案内板には「可燃ゴミは水曜、土曜」と書かれてあった。要するに、同じ町内でも、道路1つ隔てて回収日がずれているところがあるのだ。となると、その境界領域に済んでいる人は、可燃ゴミは週に4回、不燃ゴミと資源ゴミもそれぞれ週に2回ずつ出せることになるので、まことに便利ということになる。

 もっとも上に述べたのは、あくまで可能性があるというだけの話。義母の住んでいる北九州の町では、道路の反対側からゴミを運んでくる人に腹を立てるお年寄りがいて、万が一目撃されると捨てた人の玄関までそのゴミ袋を戻しに来るというから大変なものだ。じつは東京・自宅の場合も、いちばん近い集積所はわずか2軒先のところにあるのだが、通常は6軒先の別の集積所まで運ぶことにしている、いちばん近くは、そこにあるコーポの住人専用として後から設置されたものだから住人以外には捨てさせないと言われているためである。となると、上記の境界領域でも同じ現象が起こっている可能性が高い。と思いつつ、ぢつは私も、家に戻ってからすぐさま出来たての生ゴミ1袋を自転車のカゴに載せてそこまで捨てに行ってきたところなのだが。