じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

4月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る

[今日の写真] 座主川沿いの新緑。大学構内にこれだけの景色があるというのが岡大の自慢でもある。



4月27日(金)

【思ったこと】
_10427(金)[教育]21世紀の大学教育(5)ネットを利用した大学教育(1)

 8月に行われる行動分析学会でシンポジウム「ネットを利用した大学教育〜行動をいかに強化するか〜」を自主企画している。

 ネッを利用した大学教育についてはすでに多くの場で議論が行われているが、教員と学習者のあいだの行動に焦点をあてたものは少ない。いくら設備を充実しても、あるいはいくら講習会を実施しても、適切な利用行動が強化されなければ教育方法として機能しない。この点で行動分析の立場から議論をしましょうというのが企画の趣旨である。発表原稿の締切を前に、このことについての考えをまとめてみようと思う。

 まず、ネットを利用した大学教育といっても、様々なスタイルが考えられる。今回は、もっぱら授業における利用を検討するが、学生の悩み相談、大学環境についての意見募集にネットを利用することも広義の大学教育に含まれる。学生が自分たちの手で良質のサイトを作ることも自己育成型の教育の一環として位置づけるべきであることを忘れてはならない。

 授業における利用に限っても、そのスタイルは様々であろう。まずそれらの利用形態を把握し、利用手段のそれぞれについてメリットとデメリットを挙げる必要がある。ネットを利用することは絶対的な必要条件ではない。
  • ネットを利用するメリットがあるにも関わらず適切な利用行動が起こらない場合には強化の方策を考える
  • デメリットが解消しない場合にはネットを利用しない別の方法を探る
といった柔軟な対応が求められる。

 授業におけるネット利用は、授業を補完する手段として利用する場合と、ネット利用を前提として演習を行う場合の2つに分けることができると思う。

 前者の場合は、教室で授業を行うことが基本であり、従来、印刷教材、掲示板(=建物内に設置されたホンモノの掲示板)、電話、直接面会といった手段でコミュニケーションをはかっていた内容をネットで置き換えようというものである。具体的には、
  • シラバスのWeb化。
  • 講義専用サイトの開設(毎回の講義概要のWeb公開、小テストの解説、関連サイトの紹介、期末試験の解説、得点分布の公開など)。
  • メイルまたはネット掲示板による質問の受付。
などが考えられる。

 いっぽう、後者では、ネットの利用が前提となるので、受講生は必ずしも毎回教室に足を運ぶ必要が無い。反面、サーバーのメンテや何らかの事故で接続ができなくなると「休講」を余儀なくされることになる。
 具体的には
  • 指定された課題についてのリポートをEメイルで提出。
  • 提出されたリポートや文献リビューなどをネット上で公開。
  • 卒論や修論の原稿を非公開サイトにアップして、メイリングリストやネット掲示板上で相互リビューや教員による執筆指導を行う。
  • このほか、ゼミ形式の演習では、ゼミ構成員が自学自習や体験型学習の成果をポートフォリオとして公開したり、自主的なホームページ作りを通して相互の向上をはかる場合もある。
 冒頭にも述べたように、前者・後者いずれの場合も、利用手段を整備しただけでは授業は活性化されない。「利用行動の強化」という点でどういう問題が実際に起こってくるのかを把握する必要がある。このほか、指定討論予定者の方からも提案をいただいたが、
  • ネットワーク環境自体が、教育場面に新しい強化子(好子)を提供できるのか?
  • ネットワーク環境自体が、従来の教育場面のコミュニケーション方法とは異なる強化随伴性を持っているのか、あるいは構築できるのか?
という視点も重要になってくる。次回に続く。
【ちょっと思ったこと】

「おしん物語」

 夕食時に見ていた「クイズ赤恥青恥」によれば、シンデレラを坪内逍遥が初めて日本に紹介した時のタイトルは「おしん物語」だったという。念のためサイトで検索したところ、クイズネタとしては結構有名な話題であることが分かった。




自民党総裁選と放送メディア

 4/28の朝日新聞に「メディアと総裁選」について考える記事があった(担当は、高田圭子・大塚品氏)。

 「メディアを通じてみた4候補の印象の変化」を党員15人に聞いたところ、
  • 小泉氏:「今回は話が具体的で総裁を目ざす意気込みが伝わった」「迫力があった」
  • 橋本氏:「(前の首相時代に)失敗した、という印象が固まってしまっている」
  • 亀井氏:「品がない」、「過去の言動から、今回良いことを言っても信頼できなかった」
  • 麻生氏:「経済に強そうで評価をあげたが、話し方が嫌み」、「今回、存在を認知した」
といったコメントが多かったという。わずか15人の聞き取りであるとは言え、これらのコメントは、投票という行動が、目先の公約の内容自体よりも「候補者に対する印象や言動の一貫性によって左右されやすい」可能性を如実に示していると言える。また、森・前首相は、言動による印象形成という点で、歴代まれに見る失敗事例を提供した。

 同日の別の記事で、小泉氏は、首相公選に限定して改憲を提案する意向を示したというが、公選制が実現すれば、同じようなファクターが影響を及ぼすことは必至であろう。

 一般人の印象形成でもおそらく同じようなファクターが働く。主張に一貫性の無い人はたまに良いことを言っても信頼されない。「話し方が嫌み」だと嫌われるなど。私などは妻からいつも「話し方が嫌みだ」と言われる。家庭内での言動を慎まなければ.....。