じぶん更新日記1997年5月6日開設Y.Hasegawa |
オキザリス(花カタバミ)。球根を植えてから9年近くになる。一時期、同じ場所に植えられていたガザニアのために衰退したが、夏越しに弱いガザニアの古株が枯れていくなかで再び勢力を盛り返してきた。 |
【思ったこと】 _10302(金)[心理]しごと、余暇、自由、生きがいの関係を考える(16)何もすることのない苦痛 3/3朝6時台のNHKニュースによれば、三宅島からの避難生活を続けている住民の間で今年に入ってから不眠やからだの不調を訴える人が増えているという。村山診療所の山内医師のもとには都営アパートに仮住まいしている住民が次々と訪れる。診療所では睡眠剤や精神安定剤などを処方しているが、いっこうに改善されない。心のケアの大切さが強調されていた。 もっとも、ここでいう「心のケア」とは何だろうか。カウンセラーが相談に応じれば解決する問題だろうか。取材の中でも紹介されていたが、最大の原因の1つは、何もすることのない苦痛にある。島で一日中畑仕事をしていた女性は、避難生活を始めてからこれといってすることが無くなってしまった。この日記で何度も引用しているスキナーの生きがいの権利: Happiness does not lie in the possession of positive reinforcers; it lies in behaving because positive reinforcers have then followed. [行動分析学研究、1990, 5, p.96.]という、人間において最も尊重されるべき権利が奪われていることがストレスの1つとなっているのである。 昨年の紀要でも論じた: 「環境に能動的に働きかけ、結果として好子を受け取る」という幸福観、生きがい観は、定年退職後の健常なお年寄りの場合にも当然あてはまるものだ。長谷川(1999)が指摘したように、単なる生活資金の支給や医療費の無料化では生きがいは獲得できない。少なくとも健康なお年寄りの場合は、年金の額を倍増させるよりは、行動内在的(※脚注2)な結果が確実に随伴するような労働機会を保障することのほうが大切であると言える。という視点は避難所生活にも当然あてはまるものだ。物資の支給や住宅の確保ばかりでは行政の対応は十分とは言えない。若い人には労働の場を、お年寄りにあっても、ちょっとした農園(山内医師は「三宅島農園」を作ったらよいと言っておられた)を確保するといった対策を早急にとってもらいたいものだと思う。 |
【ちょっと思ったこと】
「ものつくり大学」どこが悪い? KSD(中小企業経営者福祉事業団)をめぐる汚職事件で、東京地検特捜部は1日、村上正邦・前自民党参院議員を受託収賄の疑いで逮捕したという。この事件では、すでに小山孝雄・前山陰議員が逮捕されているが、事件の真相で今ひとつ分からないところがある。 新聞やテレビで伝え聞くところによれば、1つの問題は9年間で延べ約15億6千万円の自民党費を肩代わりしたり、秘書給与約2800万円を負担したことなどにあるというが、これは基本的には政治資金規制、政党への公費助成、税制、公費補助などに絡む疑惑であって受託収賄の対象にはならない。受託収賄の容疑はあくまで、「KSDの進める、ものつくり大学の設置を国策として支援するよう、代表質問などで働きかけを行い、その報酬として賄賂を受領した」点にあるようだ。 ものつくり大学の設立主旨を私なりに要約すれば、
国立大学の大学案内には理念が記されていない。私立大には理念が記されているものの、その通りの教育が行われていない場合がある。と言っておられたが、それに比べれば、上に示されている設立主旨はまことに立派なものだ。 私が疑問に思うのは、そういう立派な大学を設立するにあたって、なぜ受託収賄容疑となるような働きかけが必要であったかということだ。どうやら根本原因は、大学の設立認可や国費補助の仕組みにあるような気がしてならない。 私がさらに疑問に思うのは、なぜ「ものつくり大学」設立のためにこれほど多額の金品が動いたのか(←現時点では容疑段階。念のため)ということだ。ロッキード事件の場合は、田中角栄に賄賂を贈ることはロッキード社の得になった。リクルートコスモス事件もそうだが、汚職というのは得をする人がいるから起こるものなのである。では、「ものつくり大学」が設立されると誰が得をするのだろうか。これがよく分からない。少子化の時代、定員割れした私立大の倒産がささやかれるこのごろである。いまどき、金儲けのために大学設立をめざす起業家は居ないだろう。では、世のため人のための設立なのか。しかしそういう高邁な識見を持つ人なら決して賄賂など贈らないはずであろう。世の中には分からないことがあるものだ。 |