じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 岡大の通称「東西通り」の紅葉。



12月6日(水)

【思ったこと】
_01206(水)[教育]最近の大学教育論議でおもふこと(38)副専攻制にかける期待(前編)

 今年の夏に副専攻制の意義を強調したことがあった。そのさい
ここでいう副専攻とは、例えば「心理学主専攻、英文学副専攻」というように、3年進学時に一定基準以上の成績をおさめている優秀な学生に、所属している履修コース内の必修科目のほか、別コースの所定の科目を16〜20単位程度履修させ、要件を満たした者を副専攻履修者として認定し、卒業証書にもそのことを明記するというものだ。
と定義しておいたが、Googleなどを使ってネット上で検索してみると、国内で現実に実施されている副専攻制はかなり多様であることが分かった。それらはおおざっぱに次の6通りに分類することができる。
  1. 教養科目体系化型
    一口で言えば、教養科目選択に交通整理。従来、学生がバラバラに選択していたものを特定理念のもとに再編したもの。
  2. 第二外国語履修型
    単に卒業要件として第二外国語を課すのではなく、3年次以降もより高度な内容あるいは文化的な面まで広く学習させる。
  3. 基礎分野主専攻・実学副専攻型
    基礎的な学問分野を主専攻とするほか、実用的な英語力、資格取得、コンピュータ操作など、卒業後にすぐに役立つ実学的内容や技能習得を副専攻として履修させる。
  4. 学際分野設置型
    古典的な学問の伝統を主専攻として守り、既存の枠組みに囚われない学際的分野を副専攻として履修させる。
  5. 実質2専攻同時履修型
    副専攻への登録履修を許可されると所属学科の専門科目が一部免除される。主専攻一本で卒業する場合と比べて、卒業要件が緩和されるので、実質2専攻同時履修のようになる。
  6. 関連分野内での多元的な問題解決能力養成型
    同一学科内など、比較的関連性の高い専攻分野を複数履修させ、複眼的思考能力を身につけさせる。大学院修士課程における副専攻なども含む。
 もっとも、現実に副専攻制が開設されている大学がそれぞれいずれかに類型化できるというわけではない。Google検索でヒットした40件あまりのサイトを拝見する限りでは、上記の6タイプの2つ以上を含むものもあればどれにも属さないものもある。個性化がかなり進んでいるように思えた。
【ちょっと思ったこと】

中学生の理数の成績と好き嫌い

 12/5に発表された国際教育到達度学会の「国際数学・理科教育調査」によれば、日本の中学生の数学成績は38カ国・地域の中で、シンガポール、韓国、台湾、香港に次いで第5位、理科は台湾、シンガポール、ハンガリーに次いで第4位。いっぽう、数学が「大好き」または「好き」と答えた比率は48%で下から2番目、理科は55%で(理科という教科がある国・地域の中で)下から2番目であったという。これらは、中学2年生の生徒それぞれ約4800人を対象として昨年に行われたもの。

 東アジアで共通した傾向が見られる点については大人数授業や受験戦争激化のためであるとの指摘もあるようだが、実際はどうなのだろうか。成績上位の子供と下位の子供が好き嫌いについてどういう答え方をしたのかも知りたいところだ。

 一口に数学といっても、公式や計算を組み合わせて地道に解かなければならない問題、補助線一本でエレガントな解法が見つかるというような「ひらめき、発見」型の問題、自然界や日常生活の数の不思議を対象とした問題、数学パズルなどいろいろあり、ひとくくりに論じられないところがある。理科の場合も同様であり、物理、化学、生物、地学それぞれに面白さの違いがある。

 12/7の朝日新聞では「成績良くても理数嫌い」という見出しになっていたが、数学が「大好き」または「好き」と答えた比率が48%、理科は55%というのは、見方によっては「理数好き」と言えないこともない。いちがいにネガティブに受け止めるべきものでもなさそうだ。