じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 倉敷チボリ公園のクリスマスツリー前でとった夫婦の写真。昨年、一昨年と異なり、今年はなぜかキノコ型のツリーになっている。妻の掲載許可が出ないので例によってマスクしてあります。



11月27日(月)

【思ったこと】
_01127(月)[一般]痴ほう症の妻、先に逝った夫

 11/27の21時からのスーパーテレビ(NTV系)の「突然、妻が痴ほう症になった.....そして夫が倒れた」を見た。元大手銀行員だった内藤聡さんは、かつては妻に対して一日15分以上話しかけないでくれと頼むほど仕事一途。しかし、妻がアルツハイマー型の痴ほう症にかかってから数年後には仕事を辞め介護に専念する。また狛江市で痴ほう症のお年寄りと家族を励ます「虹の会」を組織した。

 しかし、介護を始めて15年、聡さん73歳の時に大腸癌で入院する。検査の結果、肝臓にも転移しており手術を受けたが、さらに肺へ転移も確認され、結局手術後39日で帰らぬ人となった。

 内藤さんの介護の様子は過去2回、テレビで紹介されたというが私は一度も拝見したことがなかった。「ディスクローズすることでお互いの生活が豊かになる」という考えのもとに、妻のありのままの様子を公開。痴ほうは決して隠されるべきものでなく、むしろ一生懸命生き抜いてきた人の勲章のようなものだという考え方には大いに感動させられた。人は必ず死ぬものであり、新しく生まれた者の生と老いて死ぬ者のバランスの上にこの世界が成り立っているのは事実ではあるのだが、医学の力でもう少し何とかならぬものだろうか、という気もした。

 もっとも、以上の実話がいかに感動的であったにせよ、クリティカルな目で捉え直すことも必要かと思う。例えば、内藤さんは下血がひどくなってから初めて検査を受けたということだが、いかに介護を尽くす必要があったにせよ、やはり自分の健康は自分で管理するのが基本。現代医学で対応できる健康管理、定期的な検診を欠かすことはできない。もちろん検診が万全というわけではなく、現に私の実母なども60歳の時、腰痛がひどくて入院したところ、胃ガンが肝臓に転移していてすでに手術不可能になっており、入院から45日目に帰らぬ人になった。その半年前の世田谷区の検診では異状は発見されていなかったという。

 それから、内藤さんの人生がいかに価値のあるものであったとしても、それを他の家庭のお手本にしようという風潮が生まれるとしたらそれも問題。在宅介護のために退職するというのも1つの道ではあるが、痴ほう症になった妻を介護施設にあずけて自分の仕事を全うするという道を選んだからといって決して夫婦愛が足りないということにはならない。また、事情はよく分からないが、内藤さんがまだ銀行勤めをしていた時に介護に携わっていた娘さんは、その後米国人と結婚し米国に移り住んだ。しかしそのことをもって親不孝だと思う人がいたらこれも問題。あるいは、内藤さんが亡くなったあと、残された奥さんの介護のために息子さんが同居することになったとも伝えられたが、これも決して外圧によるものでないことを願いたいところだ。

 少し前の話になるが、今年6月7日の日記で長野県伊那谷南部にある泰阜(やすおか)村の話題を取り上げたことがあった。ここでも在宅介護が大きな問題になっていることは確か。理想と現実のギャップはなかなかうめられないとは思うが、被介護者の希望と介護者の生活の自由度の確保を満たすためには、介護施設の環境整備、一時帰宅や小旅行などの外出保障を充実させていく以外には妥協点は見いだせないのではないかという気もする。

[11/28追記]以下に関連サイトがあった。
【ちょっと思ったこと】
【スクラップブック】