じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 今年の岡山大学祭のテーマは「想造祭」だそうだ。パンフによれば「想造」とは、式では大学祭がバザー中心となりマンネリ化している点を反省し、考えるという意味の「想像」と創りあげるという意味の「創造」を融合させた造語であるという。ところが、私は学生からそう言われるまで、てっきり「捏造祭」と書いているのだと思いこんでいた。ま、いくらパロディであるにしても、自分の大学の祭りを「捏造する」ことはあるまいとは思っていたけれど.....。
 ちなみに今年は祝日と日曜日の間隔が空いているため、大学祭は25日の土曜日までで終了し、26日の日曜日は片づけになってしまうのでご注意ください。但し、二部の学生が開催する「夜学祭」のほうが25、26の両日となるので、日曜日に訪れても文法経建物前の広場で模擬店やイベントを楽しむことができる。



11月23日(木)

【思ったこと】
_01123(木)[教育]最近の大学教育論議でおもふこと(35)総合科目、カルチャーセンター、実学

 大学祭の一日目、岡山大学教育開発センター主催の第8回全学シンポジウム「総合科目に何を望むか ──学ぶ側と教える側、双方からの提案──」が行われた。私は全学FD専門委員として司会役を仰せつかった。参加者は教員が100名、学生は20名程度。学祭の会場入口に立て看板を立てた割に学生の参加が少なかったのが残念。

 今回のシンポジウムの特徴は、企画段階から学生に加わってもらったこと。こうした試みは千葉大学で先進的に行われており、千葉大の場合は、1999年2月から「普遍教育学生会議」を発足させ、開設授業、講師選定、カリキュラム、シラバス、時間割、FD 授業評価、成績評価などすべての面について疑問や注文が学生から出されていると聞いている。岡大がこの方向を目ざすかどうかは定かではないが、今回とにかく、企画に加わり、シンポジウムの席上でも率直かつ積極的に発言したという点で1つの実績を作ったことは確かであると言えよう。

 シンポではまず基盤教育部門長の教授から教養教育について、テオリア(theoria)とフマニタス(humanitas)それぞれの観点から理念的な問題が語られた。続いて学生のパネリストから、総合教育の受講生654人から回収されたアンケート結果について発表があった。学生の要望の中で比率が高かった項目としては
  • 最新のトピックに関するテーマ
  • 基礎的な内容(専門に片寄らない内容)
  • 資格取得に役立つもの
など。

 次に、総合科目専門委員会委員長から総合科目の実施状況について具体的なデータが報告された。それらを集約すれば
  • 実施科目数は年々増えてきている
  • 複数学部の教員による分担授業や学外講師招聘はあまり多くない
  • 一科目あたりの受講生は400名を越えるものから10名程度まであり人数差のバラツキが大きい(平均120名)
  • 理系学生は文系教員の開講科目を受講しない傾向がある
  • テーマとシラバス記載内容が受講の手がかりとなっている
となるかと思う。

 最後に、文系と理系の学生パネリストから率直な提案が出された。授業内容としては
  • 実習中心の学生参加型授業
  • 現代の諸問題を扱った内容
  • 社会常識、実学的内容
  • その他(岡山について、環境問題、心理学など)
といった要望が出された。

 その後の討論の中では、教員側から、
  • 単なるカルチャー教室型の授業は望ましくない。
  • 週1回半期とはいえ、学生時代に総合科目を受講したことがその後の人生に大きな影響を与えたこともあった。
  • 教養には「大学人教養」と「社会人教養」があるが区別がつきにくいところがある。
  • いろいろな科目の受講を通じて、「課題探求・課題解決・成果の表現」という3つの能力を磨いてほしい。
といった要望が出された。私個人の感想については後日あらためて記すことにしたい。
【ちょっと思ったこと】

タクシーで東京からロンドンまで

 23日夜、TV東京の「“史上空前の大冒険”日本のタクシーが行く東京〜ロンドン2万キロ大陸横断86日間の旅」を見た。親子2代のタクシー運転手がタレントの男性客を乗せて、東京〜神戸〜天津〜敦煌〜ウルムチ〜イーニン〜カザフスタン〜ウズベキスタン〜ロシア〜ウクライナ〜スロバキア〜チェコ〜ドイツ〜スイス〜フランス〜イギリス」というコースを走破。日数は6/21〜9/14までの86日間、走行距離は19184km、タクシー運賃は568万4820円というたいへんな数字となった。

 個人的に興味があったのは、中国からカザフスタンに出る前に通ったサリム湖周辺の景色。期待通りの美しさではあったが、今年の夏に訪れたカラコルムハイウェーからカシュガルに至る景色と大差ないようにも見えた。

 このコース、その大部分は観光客が自由に訪れることができる。単純に2万キロ横断というだけでは視聴率が確保できない。そこで考え出されたのが、東京の都心でタクシーを拾い、「ロンドンまで」と行き先を告げるという何気ない日常からの出発というアイデアだったのだろう。もっとも、都心のタクシーはLPG車のため、中途で燃料の補給ができない。取材兼用のサポート車も一緒に走っているので、大冒険と言えるほどのこともなく、むしろ、父子のあいだの感情の葛藤模様、タクシー運転手としてのプロ意識を描いたあたりにこの番組の感動があったのではないかと思う。
【スクラップブック】