じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 時計台前のアメリカ楓の紅葉。理学部側から眺めたところ。ちなみに「アメリカ楓」は「アメリカカエデ」と読むものだとずっと思いこんでいたが「アメリカフウ」というのが正しいそうだ。



11月14日(火)

【思ったこと】
_01114(火)[因得]出会いサイト の自己責任/やはりWeb日記に限るかも

 夕食時にNHKクローズアップ現代「過熱・顔が見えない恋人探し」で、ネット上の出会いサイトに登録した男女について、いくつかの実例を紹介していた。

 最初に取り上げられたメデタイ事例では、
  • 残業が多く女性との接触の機会の少ないSEと、
  • 初対面の時に緊張しやすい内気な女性
が出会いサイトを通じてネットだけで交際を続け、実際に対面してからはわずか3週間で結婚。こういうサイトが無ければ決して知り合えなかったであろうと、その意義を絶賛。しかし、その後に続く3例はいずれも失敗談。
  1. 失恋を癒すために登録した女性が、いちばん親切な文面のメイルをくれた男性とネット上で付き合い始めたが、実際に会ってみると暴力的。交際を断ったら、携帯電話ばかりか、仕事で利用している回線電話のほうまでしつこく電話をかけ、脅迫的なメッセージを送ってきた。
  2. 30代の男性が、「お仕事お疲れさま」というメッセージに大感激して職場で相手との交信を続け、上司の警告にも応じなかったため、10年以上つとめたカイシャをクビになってしまった。
  3. 仕事の忙しい夫から声をかけてもらえない主婦が、ストレートに物を言ってくれる見知らぬ男性とネット上だけで交際。月々の電話代が20万円近くに達し、娘の養育費までつぎ込み、食事の準備をする時間さえとれずにインスタント食品で間に合わせる毎日を送っている。
といった深刻な事例であった(いずれも私の記憶に基づいているので、多少の聞き違いや思い違いがあるかもしれない。念のため。)

 番組に登場された文化人類学者のU助教授は、これらの事例に関して
  • ネット上では、相手の分からない部分を自分の理想に作り上げてしまう危険がある。
  • 匿名で本音が言い合えるため親密になりやすい。
  • 車を運転する時には免許が居るが、ネットは何も知らなくても始められる。いわば、免許なしにいきなり道路を走るようなもので、どういう危険が待ちかまえているのか何も分かっていない。
というような説明をしておられた(こちらも私の記憶に基づく記述)。

 番組の終わりのほうで「出会いサイト」は実は「出会わないサイト」であって、直接出会うことなしに交際を続けることが弊害になっているという話も出た。

 以上を拝見してまず思ったのは、もうちっと自己責任とか自己管理についてしっかりと考えてもらえないもんだろうかということ。例えば最初の女性の場合など、ストーカー行為がイヤならば電話を変えれば済むことではないか。あるいは警察に連絡することだってできるはずだ。3番目の女性の電話代の件だって、定額制のサービスを受けるとか、時間をきめてネットにアクセスすれば済むこと。

 もちろん、ネット上では、知らないうちに国際電話に繋げられてしまうというような詐欺行為もあるが、善良な市民が常識的に対応すれば防げるような事件についてまで、何でもかんでもまわりのせいにされてしまったのでは困る。

 ま、世の中にはマインドコントロールのように、何も強制されなくてもいつの間にかトンでもない泥沼にはめられてしまうことがある。あるいは、アル中になってしまった人に「もっと自己管理を徹底しろ」と言ってみたところで始まらない。そういうことは重々承知なんだが、上記の事例では、やはりどこか甘えすぎているような気がしてならない。

 バーチャルな交流も適度に自制できるならば決して悪いことではないと思う。嘘や虚飾が含まれていることを承知の上でお互いを癒すというのも、周囲に迷惑を及ぼさない範囲であるなら問題視する必要はない。仕事の疲れを癒すためにパチンコに熱中すること、レンタルビデオばかり見ること、あるいは小説を読みふけることなどと本質的に差はない。むしろ、各自の能動的な働きかけ(=メイルを送る、発言を書き込む等)の機会が保障されているという点では肯定できる側面もある。

 それから、ネットでうまく交際できない人が他の手段ならうまくできるかという点にも目をむける必要がある。相手の欠点に気づかず、自分の勝手な理想像を相手に覆い被せてしまうということは、(郵便による)文通でも、あるいは直接交際しても同じように起こりうることだ。だいたい、世界に唯一人の理想的な結婚相手なんて居るわけない。人間は誰でも欠点があって当然(←結婚生活18年の経験がにじみ出た発言)。

 では、どうしてもバーチャルな人間関係にはまりこんでしまう人はどうすればよいのか。その1つの手段としては、お互いにWeb日記を書いて不特定多数に公表するという方法が考えられる。一対一のメイルならそこそこ自分を飾ることもできるし、嘘もつける。これに対して、Web日記では、嘘ばかり書くとどこかでほころびが出てしまう。それに自分ばかりを飾るような内容の日記は誰も読みに来ない。そういうやりとりで知り合ってオフミで顔を合わせれば、お見合いや合コンなんぞで知り合う以上に相手を分かり合えるのではないかと思う。実際、日記猿人のサイトの中でも、私が知る限りで少なくとも3組のカップルが誕生しているが、いずれもその後は(日記の記述を拝見する限りでは)まことに円満な家庭生活を送っておられるようだ。
【スクラップブック】