じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 岡大南北通りの銀杏の黄葉が見頃になってきた。所々に落ち葉の絨毯ができるようになってきた。



11月12日(日)

【思ったこと】
_01112(日)[心理]エコマネーとボランティア通貨(1)

 11月5日の日記の続き。10/14(岡山地方での掲載は11/4)の朝日新聞記事によれば、
 特定の地域内だけで流通する通貨「エコマネー」の試みが、全国に広がっている。導入を検討中のところも含めると30カ所に上り、年内には50カ所に迫る勢い
だという。これとはやや性格を異にするが、10/8の日記で京都府が発行するボランティア通貨についてとりあげたことがある。こちらは、
「丹後リゾート公園」で例えば公園づくりを1時間手伝うと25ハミー(公園のある宮津市波見(はみ)地区にちなんだ愛称)というように、空き缶を再利用したトイレや木製階段づくりにボランティアで携わった場合に貰うことができ、それらはパソコン内の通帳に記録され、100ハミーたまれば1泊2000年の公園内宿泊施設が利用できるほか、公園の窯で作った炭やパンと交換したり、パソコンの使い方を教わった時のお礼にも利用できる。
というものだが、今回紹介されているエコマネーは、より多様な交換機能をもつものであり、北海道栗山町「クリン」や富山市の「きときと」のように介護・福祉を目的としたもあれば、まちづくり、地域商店街活性化を目的としたものもある。

 これらはいずれも、特定地域、コミュニティ内で通用する一種のトークン・エコノミー。通常の「お金」では代替できないような特定の価値を交換価値に置き換え、望ましい行動を強化しようとするものであり、行動分析の原理にかなったものと言えよう。もっとも導入にあたって、どうしたら有効に機能させられるのか、問題点はどこにあるのか、を科学的に検討する必要がある。

 ボランティア通貨の意義についてはすでに10/8の日記で指摘した通りであるが、ボランティア活動以外の行動においても一般的に次のような長所をもつものと考えられる。
  1. 「ちりもつもれば山となる」型の行動を直後強化
  2. 努力の量を数量化
  3. 般性好子の導入による飽和化の解消
  4. 既存の交換価値の見直し。資産などの不労所得では交換できない新たな価値づくり
  5. 物の「交換価値」、「利用価値」を見直すきっかけをつくる
  6. 行動自体に価値を与えること。これにより、生産活動以外の行動を強化できる。
いっぽう、次のような短所も考えられる。
  1. スキナーが指摘したmoney一般の問題。すなわち間接効果的随伴性の弊害。
  2. 行動内在的好子の希薄化
  3. コミュニティ内部にとどまる
  4. 交換機能の信頼性や安定性の問題(インフレ? デフレ?)
次回はこれらについて詳しく考えていくことにしたい。
【ちょっと思ったこと】
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