じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa


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[今日の写真] パキスタン・タキシラの博物館前のサルスベリ。カラコルムハイウェイ沿いでは各所にサルスベリが植えられていた。余談だが、この博物館は仏教遺跡関連の展示物が殆どだが、現地のイスラム教の家族連れもたくさん見学に来ていた。ガイドさんに訪ねたら「単なるcuriosityだ」と言う。いずれにせよ、イスラム共和国にあっても、仏教関係の遺跡や出土物がしっかりと保護されていることはまことに喜ばしい。



8月30日(水)

【思ったこと】
_00830(水)[生活]【入院編】病室で見た夢は小学校の校舎に今の家族

 入院して最初の5日間は、腰椎麻酔の影響があったのか昼間でも横になるとすぐ眠ってしまうことが多く、ふだんあまり見ないような夢を何度か見た。

 夢の内容は全般にあまり楽しくない内容、何かに追い回されている内容が多かった。顔の両側から肉芽が突き出してくる夢、苦しくて人を呼んでもだれも答えてくれない夢、屋外のゴミ捨て場の中で半分腐りかけの人間がうごめいている場面なども見た。

 そんななか、いちばんよく現れた風景は私が通っていた小学校の校舎の中。木造2階建ての「コ」の字型の校舎であったが、下駄箱、オール木製の机、職員室の前の廊下などがリアルに再現されていた。このほか大学入学時によく通った京都市内の路地裏の風景などが混じることもあった。興味深いのは、今住んでいる岡山の風景は全く出てこないこと。10年前まで5年間住んでいた長崎の風景も同様に現れてこなかった。

 いっぽう登場人物のほうは、家族を中心としていま接している人々が大半。結果的に、昔通っていた小学校に、今接している人々が現れるというタイムマシンのようなちぐはぐな取り合わせになる。

 私は夢判断のようなものには興味が無いしその知識も無い。それに代わる解釈を私なりに試みるならば、おそらく、夢の中では「無機的世界(弁別刺激の世界)よりも有機的世界(レスポンデント的世界)が優先的に想起される」ということになろうかと思う、

 子どもの頃というのは、周りの景色というのは単なる場所の手がかりではなく、「怖い景色」、「楽しい景色」というように何らかの情動反応と結びつく形で頭の中に取り込まれていた。つまり、情動反応を誘発する条件刺激の世界であったのだ。いっぽう、大人になってからの景色というのは、単に行動の手がかりとして利用される景色、特別に怖くも楽しくもない無機的な対象にすぎない。

 思い出してみると、小学校低学年ぐらいまでは家の中にも「怖い部屋」、「怖い置物」というのがあったものだ。そのほか、消防車や救急車がサイレンを鳴らしながら猛スピードで通り過ぎるのは怖かったし、イソップの絵本のイラストの一部、墓地、近くの豪徳寺のご本尊などにも恐怖を感じたものであった。おそらくそんなものが脳のどこかにしみ込んでいて、麻酔後など特殊な条件のもとで想起されてくるのではないかと思う。

 大人になってからの周囲の景色は、ある意味では中性的だ。墓地の横を通っても、霊柩車とすれ違っても情動的な反応は起こってこない。手がかりとしてのみ有用な中性的な景色というのは夢には出て来にくいのではなかろうか。

 登場人物が家族などいま接している人々になりやすいというのは、無機的世界と異なって、対人的には相変わらず情動反応が結びつきやすいことを示しているものと思う。ネガティブではなくなるべくポジティブな反応が増えることを願いたいものであるが.....
【ちょっと思ったこと】

「下の方をかぶせる」意味

 病棟でも患者への応対がいちばん厳しい看護婦さんが夕食後の血圧測定の時に「なるべく下の方をかぶせてください」と言った。ベッドで横たわることが多いと一瞬「下の方」と言われても体のどの部分のことなのかとまどってしまったが、要するに下半身に布団などを被せてくださいという意味であることが分かった。

 ちょうど夕食後で暑かったためガウンを脱いで、ランニングシャツとパンツ一丁だけで寝ていたところ。夜は涼しくなってくるので下半身を冷やすなという注意かと思っていたところ、退室される直前に「私の年では平気ですけど、若い子にはちょっと....」と言われてやっとその真意が分かった。要するに「若い看護婦さんの前ではパンツ丸見えで寝てはいけません」という意味だったのだ。

 看護婦さんと言うと、腰椎麻酔の際にはパンツを降ろしたり、必要があればトイレの世話までしてくれるのでついつい男性の裸など何とも感じないと思ってしまうが、よく考えてみれば医療行為以外の場所では、日常場面で一般の人に接するのと同じ。むやみに下半身を露出させていけないのは当然のエチケットであった。さっそく短パンをはいて横になることにした。

棘は怖い

 昨年の秋だったか、草取りの最中に中指をとがった針のようなもので刺したことがあった。指にアルコールをぶっかけ出血がとまったのでそのまま放置していたが、冬頃から傷の跡が固くなりもりあがってきて何ヶ月たっても元に戻らなかった。今回入院したついでにその部分を切開して診てもらったところ、なんと、その時に刺さった棘が指の腹の皮下にそのまま残っているのが発見された。おそらくワルナスビの棘ではないかと思う。素人には棘がとれたように見えていても治りが悪いときは早めに専門医に診てもらったほうがよいという教訓。