じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa


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[今日の写真] サルスベリ。複数の日記でサルスベリの写真が取り上げられていたことにも表れているように、今が見頃。写真の品種は種から育てた矮性種の二代目。一代目は30〜50cm程度であったが、先祖返りのため1〜2mの高さまで伸びている。



8月18日(金)

【思ったこと】
_00818(金)[_008PC]イランとパキスタンの違い/カシュガルのイスラム教


下記の内容を加筆修正して、こちらのエッセイに再掲しております。そちらのほうでお読みいただければ幸いです。

 今回の旅行(こちらにて旅行記整備中)で最初に訪れたパキスタンの英語表記は「Islamic Republic of Pakistan」となっていた。昨年皆既日食見物で訪れたイランのほうも「Islamic Republic of Iran」であり、いずれも「Islamic」を冠した、世界に名だたるイスラム教の国であった。それだけに、両国の暮らしぶりにどういう共通点があるのか、どういう点が違っているのか、たいへん興味があった。

 あくまで通りすがりの観光客の目で見た印象になるが、結論的には、同じイスラム国家とはいえ、予想外に共通点は少なかった。しいて言えば両国とも酒類の持ち込みが禁止されていることぐらいだろうか。もっともパキスタンではそれほど厳格な規制は行われていないと聞いた。

 昨年夏、イランに降り立った時に「イスラム圏に来たなあ」と特に印象づけられたのは、女性がみなチャードルで髪や身体の線を覆っていたこと(こちら参照)と、車のナンバープレートや紙幣の数字がすべてペルシャ文字で書かれていて分かりにくかったこと(こちら参照)の2点であったが、パキスタンではごく一部の女性以外はそのような風習はなく、数字もみな日本と同じアラビア数字で表記されていた。

 パキスタンではテレビのCM、町中の広告看板、交通標識などでは英文字が主体。ガイドさんによれば正式な文字はアラビア文字であるとのことだが、コンピュータのディスプレイまでペルシャ文字で表示してしまうイラン(こちら参照)に比べると、西欧化の影響を受けているように思えた。戦前の英国統治の影響が大きいためだろうか。

 イランでもパキスタンでも、すべての国民が毎日きっちりとお祈りしているわけではない。イランのガイドさんは「自分は、歳をとってからまとめてお祈りします」と言っていた。パキスタンのガイドさんも、明言は避けたが「一日一回程度」と言っておられた。カラコルムハイウェイ沿いの礼拝所でちょうど礼拝をしている光景を見かけたが、その横で長々と寝そべって昼寝をしている男性、仕事を続けている男性などもあり、必ずしも全員が一斉にお祈りをするというわけでもないようだった。

[Image]
 以上、イランとパキスタンについての比較をしてみたが、これらの国よりもイスラム教がもっと生活に奥深く根付いているのではないかと印象づけられたのが中国・カシュガルであった。

 20年近く前、初めて中国シルクロード(ウルムチ、石河子、トルファン、敦煌、嘉峪関)を訪れた時は、漢族のthroughガイドが同行していたこともあって、イスラム教の信仰についてはあまり詳しい説明を聞くことができなかった。今回は漢族抜きで直接ウィグル人やタジク人と接することができたため、ナマの声を聞くことができて幸いだった。

 ウィグル人のガイドさんや運転手さんはみな熱心なイスラム教徒。ガイドさんに、不登校、いじめ、家庭内暴力などの問題は無いかと聞いてみたが、「子どもは皆幼い時から父親のお祈りの姿をみて育っているのでそんなものはあり得ない」のだと言う。高齢者を介護施設に預けるなどということもありえず、最後まで子どもが面倒をみるのだそうだ。

 運転手さんの夢は3人の子どもを立派に育て上げること。ちゃんと教育を受けさせるためには一生懸命働かなければならない。また、お嫁さんを家に迎えるためには、日本円で30万円ほどの婚礼費用がかかるというから大変だ(運転手さんは70坪ほどの一戸建てに住んでいたが、この購入費用は日本円で70万円であったという。これから換算すると、婚礼費用はおおよそ1000万〜2000万円相当に達すると思われる。

 運転手さんに、どこか外国に行きたい所はないかと聞いてみたところ、「子どもを育て上げた上で、メッカに巡礼に行く」のが夢であるとの模範的な答えが返ってきた。

 右の写真はカシュガルの中心部にある毛沢東の立像。しかし、この人が誰なのか知らない子どもも多いとか。右手を挙げて5本の指を広げているのは「1日5回、お祈りしなさい」という意味だと思っているウィグル人も多いという冗談を聞いたが、ホンマにそうかもしれないと思えるほど文化的な違いを感じさせる光景だった。
【ちょっと思ったこと】
【今日の畑仕事】

休暇後の雑用山積のため立ち寄れず。
【スクラップブック】