じぶん更新日記1997年5月6日開設Y.Hasegawa |
ハンゴンソウ(反魂草)。背の高さは2m以上。 |
【思ったこと】 _00723(日)[心理]生理人類学で「21世紀を“快適”に生き」られるか 7/21の朝日新聞に7/8に行われた日本生理人類学会・市民公開シンポジウムの話題が2面にわたって取り上げられていた。タイトルは「21世紀を“快適”に生きるには」となっており、衣・食・住にわたる快適性の実現を追求するものだという。 そもそも「生理人類学」とは何だろうか。記事によれば、「体や器官の機能を示すデータを使って人間を理解する学問」ということらしい。記事から読み取ったところでは
新聞記事ではさらに、こうした研究が、老化の原因の把握、介護者の負担、さらには介護施設の環境整備などの面で大いに貢献するであろうと解説されていた。 このように、今後の成果が大いに期待される学会であることは確かだと思うが、記事を拝見する限りでは2点ほど合点のいかない所がある。 その第一は、「快適な環境」というのは必ずしも静的、安定的な状況ではないということ。
第二の点、そしてこちらのほうがはるかに重要だと思うのだが、記事の説明を見る限りでは、「人間の生きがいは、環境に能動的な働きかけ、強化されることによって実現する」という行動的な視点がちっとも見えてこないという点だ。 この日記で何度も主張しているように、植物の最適な栽培環境を求めるのと、人間にとっての最適な環境を求めるのとではわけが違う。温度、水分、日照などを調べることで最適な静的条件が見出せる植物とは異なり、人間や動物の場合には、能動的な行動がどう強化されるのかが決め手となる。「快適な環境」とは物理世界そのものではなく、行動随伴性環境に求められるべきだと思う。 記事の中では「【老人ホームの】個室面積は約11平方メートルと定められているが、この科学的根拠がない。部屋の広さと健康の間には何らかの関係があるはずだ」という特別養護老人ホーム山王(宮城県一迫町)の大友・副施設長の問題提起が紹介されていたが、部屋の広さ自体の最適条件を求めるのではなく、その部屋でどういう行動が強化されるのかこそが検討されなければならない。極端な例になってしまうけれど、あなたが禁固2年を言い渡されたとして、24畳の部屋にベッドだけが置かれた独房と、部屋の広さは4畳半だが、ベッドの横に、インターネット端末とアスレチック器具、観葉植物セットが置かれた独房のどちらかを選べるとしたらどうするだろうか。 同じ記事に記されていた ...施設側が一方的に提供する環境とは別に、入所者が鉢植えや写真を持ち込んだり、個室で自由に過ごしたりする個人的な生活環境がある。こうした環境を自由につくり上げることを積極的に認めると、入所者の健康状態が明らかに違うという。というのは、まさに、上に述べたこと。入所者の能動的な行動が強化される環境こそが健康の源となることの証拠と言えよう。 このほか、基調講演では、複数の演者が「快、不快」について論じていた。しかし記事を拝見する限りでは、ここで取り上げられている「快、不快」は、50年以上前に心理学で話題とされその後うち消されていった「快楽説(hedonism)」的諸理論の問題点からいっこうに脱却できていないように思う。このあたりは、行動分析でなぜ「快、不快」ではなく「好子、嫌子」概念が必要になってきたかに関連づけなければならないところだが、時間が無くなってしまったので、この議論はまたの機会とさせていただく。 |
【ちょっと思ったこと】
|
【今日の畑仕事】
息子の手伝いにより、ジャガイモを全部掘り上げ。枝豆種まき、サツマイモの刺し芽。 |
【スクラップブック】
|