じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa


7月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
[今日の写真] デジカメでとらえた皆既月食の様子。右は皆既食開始前の21時54分頃、左は皆既食終了後の23時58分頃。




7月16日(日)

【思ったこと】
_00716(日)[一般]皆既月食でなければ実現しえないこと

 7月16日は皆既月食。岡山県南部はほぼ快晴。途中薄雲で輪郭がぼやけたことがあったものの、20時57分の欠け初め、22時2分から23時49分までの皆既食、その後の部分食に至るまで一部始終を眺めることができた。皆既食の継続時間1時間47分は史上最長級であり、これだけ長いものは141年ぶりであるとか。最長級となったのは
  • 月が地球の影のほぼ中心を通ること。
  • 同日の午前1時に地球と月の距離が最遠となり、月の移動速度(角速度)が遅くなるために、なかなか影から脱出できないこと。
  • 同じく、地球と月の距離が最遠であるため、月の視直径が29'25"と小さく、そのぶん、影の内部にとどまる時間が長くなること。
の3点によるもののようだ。
[7/17追記]上記の3番目は最長級となった理由としては当てはまらないかもしれない。なぜなら、月が地球から遠ければ、地球の影もそれだけ小さくなるからだ。

 皆既月食の時、月面に立てば地球ごしにコロナが見られるはずである。もっとも、地球には大気があるために、太陽光の赤い部分が地球の大気で屈折して影の内部に入り込んでくる。そのため輪郭はややぼやけ、赤っぽく見えるのではないかと思うのだが、人工衛星から撮影した写真など無かっただろうか。

 皆既月食でも月が完全に光を失うことは無い。いま上に述べた現象があるために、「並み」の月食の場合は月は一様には暗くならず、地球の影の中心から離れた側ほど明るく見える。写真に写すと、ホンマに皆既食なのかと疑うほどである。

 しかし今回は、地球の影のほぼ真ん中を通ったため、最深部の23時前後では月は一様に光を失った。皆既中にこれほど暗い月を見るのは私にとっては初めてのことであった。

 もう1つ、今回の月食は、小惑星ベスタを間近に眺められる月食として知られていた。ベスタそのものは月食と関係なしに見られるものであるが、普段は星図上での位置関係が分かりにくい。今回はたまたま月のすぐ近くにあるため、容易に眺めることができたが、これも私にとって初めての経験であった。

 皆既日食は皆既月食に比べると天文学的には殆ど価値のない現象であるという。コロナやプロミネンスのような派手なものは無い。夜空の明るさも、満月が雲に隠れる程度のもの。強いて挙げるならば、
  • 街の明かりが少ない場所であれば、満月と天の川を同時に眺めることができる。
  • 月面上では、熱せられた月面が地球の影によって短時間に冷却される。皆既食終了後にはこれが再び急激に熱せられる。もし月面に水があるならば、皆既食終了直後には霜のようなものが月面全体に見えるはずだ。
といったところだろうか。こうした思考実験を試みることも一興かと思う。

 では、結局のところ、皆既月食の最大の意義はどういうところにあるのだろうか。私は、
地球上のどの場所で月を眺めても、同じ瞬間に月食が始まり、同じ瞬間に終わること
に尽きるのではないかと思う。

 上に述べたことは皆既日食には当てはまらない。皆既日食の場合は、月の影が地球上を駆け抜けるため、観測者はそれぞれの場所で異なる時間帯に日食を眺めることになる。昨年8月11日の皆既日食を例にとれば、地球全体として日食が始まるのは17時26分、終わるのは22時40分(いずれもグリニッジ時)。皆既食の時間帯は、フランスが終わってからドイツ、オーストリア、東欧諸国、トルコ、イランというように、リレー式で観察されていく。同じ瞬間に皆既食見物の体験を共有できるのは数十キロの円内の人々だけに限られる。

 いっぽう皆既月食は、月自体が光を失う現象であるため、観測点がどこであっても、同じ瞬間に同じ形で眺められる。月の高度によって欠ける位置の角度は違うが、同じ瞬間ならどの場所でも同じ写真が撮れるというのがスゴイ。もちろん空に月があることが必須だから、この瞬間に真っ昼間となるヨーロッパやアフリカ地域、満月が地平線より下に位置する北極地域は除外されるわけだし曇っていても見られないわけだが、アジア、オセアニア、アメリカ西部など地球上の半分の地域ですべての人が同じ瞬間に同じ直接体験を共有できるということはそう滅多には無いことだ。皆既月食の最大の意義はそんなところにあるように私は思う。

 とはいえ、私の家族は、窓の外を4〜5回眺めた程度。妻や娘は皆既食が終わる頃にはグースカ寝てしまった。息子は起きてはいたものの、ファイナルファンタジーの攻略本を読みふけっている。身近に居るからといって、必ずしも直接体験を共有できるわけではないようだ。
【ちょっと思ったこと】
【今日の畑仕事】

スィートコーン、ミニトマト、カボチャ、イチゴを収穫。収穫ニンジン種まき。
【スクラップブック】