じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa


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[今日の写真] ユッカ。昨年の6/30の日記に「子供の頃、実家に庭に2株ほどあった。針のようにとがった葉をきりとって腰に挿してピーターパンごっこなどをやったものだが、今考えるとずいぶん危ない遊びをしたものだ。」という記述があった。今年は梅雨がはっきりしているため、雨に当たって早めに花が傷みそう。




6月26日(月)


【思ったこと】
_00626(月)[一般]野球のルーツ/野球はなぜ面白いか

 6/27の朝日新聞に「野球のルーツ 英国にあり」という記事があった。ノンフィクション作家の佐山和夫さん(63)は、このほど、長年の調査結果を『野球はなぜ人を夢中にさせるのか 奇妙なゲームのルーツを訪ねて』(河出書房新社)にまとめたという。

 記事によれば、野球のルーツとしては、
  1. フランスの球技?
  2. トラップボール(英国12〜14世紀)。飛距離や方向性を競う。
  3. スツールボール(英国、15世紀)。的に当てられないように打ち返す。クリケットに分岐?
  4. ラウンダーズ(英国、15〜16世紀以降)
  5. タウンボール(米国、1830年以降)
  6. 野球(米国、1850年以降)
という流れが考えられるという。

 そういえば数週間前の火曜日の朝、車を運転しながら学外非常勤講師先に向かう途中、NHKラジオで同じようなことを言っていたのを思い出した。あのとき登場されたのも佐山さんだったのだろうか。

 ラジオで聞いた時に面白いと思ったのは、塁を進んで本塁に戻るというルールができた背景には、七つの海を渡る英国の精神が反映しているとの話。つまりどんなに塁(=海外の島々)に出ても本塁(=母国)に生還できなければ点にならないという思想である。

 もうひとつ、これもラジオで聞いた時の話だが、英国ではもともと、「ヒットをうち続ける限りその打者はアウトにならない」というようなルールがあったとか。つまり味方の他の打者がアウトになろうとなるまいと、打者個人が打つ権利は奪われる事がない。それがアメリカに渡ってから、「味方が3人アウトになれば攻守交代」というチームプレイ主体に変わったという。このあたりには英国流の個人主義からアメリカの開拓者精神への変化が反映しているとか言っておられたようだったが、なにぶん運転中だったため記憶が定かではない。

 新聞記事の話題に戻るが、記事の中では「なぜ走者は反時計回りに走るのか」という疑問に対して、
【タウンボールでは】打者は一塁、三塁どちらにどちらに走ってもいいが、打線が左方向に飛ぶことが多いから普通は一塁に走る。
という説が記されていた。確かに、右打ちの打者が特別のワザを使わずにボールを打ち返せば左方向に飛ぶ可能性は高い。しかし、野手がボールを取ってから塁に返球する時間は、打線が右方向でも左方向でもそんなに違いは無いように思う。むしろ右打者だったら、三塁方向に走ったほうがセーフになる確率が高いのではないかと思えるのだが。反時計回りに走るのは、陸上競技でトラックを回るのと同じ理由で、右足が利き足の人にとっては、おそらく右足を外側にして走ったほうが力が出しやすいためと考えたほうが自然であると思う。

 次に「野球ではなぜ走者が得点するのか」という疑問については、打球の飛距離を競うというラウンダーズにルーツがあるという説明でこれは納得。飛距離を巻き尺で測るよりは、守備側の返球時間に反映させ、その間に走塁を許した方が公平感が出るし、スピード感が楽しめる。槍投げやハンマー投げなどの競技でも同じルールを採用することは可能だが、怪我人が続出することは必至。やはりボールならではのルールと言えよう。

 3番目に
他の球技では球を持つ側が攻撃なのに、野球ではなぜ守備か
という疑問に対して、かつては「的をめがけて投げたボールを打者が打ち返す」というスーツボールがあり、この時には的に当てられないように打ち返す打者のほうが守備だったと説明されていた。これは確かに面白い発想だと思う。要するに、サッカーのPK戦で言えば、ゴールキーパーが打者のルーツにあたるということだろう。ここからは私個人の推測になるが、投手がストライクを入れる行為よりも打者の打ち返す行為のほうが派手で多彩、しかも投手のストライクの判定を審判が行う限りは不公平だというトラブルが起こりやすい。誰でも見ただけで判定できるヒットを得点に結びつけたほうが面白いと考えられるようになったのだろう。

 最後の「野球ではなぜ、攻撃と守備が向き合っていないのか」だが、私自身は、これは打球の方向が扇形に広がりやすいことに起因しているのではないかと思っている。

 佐山さんの御著書では「野球がなぜ人を夢中にさせるのか」についても説明があるようだ。ぜひ拝見してみたいと思う。スポーツ一般が楽しみをもたらす理由については6/14および6/21の日記に記したことがある。このうち6/21の日記では
【労働の世界と異なり】スポーツの世界では、努力量に応じて結果が伴うしくみが相対的にしっかりと用意されている。また、付加的に与えられる結果はルールの変更によって最適なレベルを保つことができる点でも、現実相手の労働とは異なっている。例えば、野球の世界で、将来、バッティング技術が向上したためにピッチャーがどんなに努力しても容易にヒットを打たれてしまうようになった時には、ボールの直径を小さくするとか、塁間の距離を長めにするといった形で、投手の努力に報いるように随伴性を変えることができるわけだ。
と述べた。野球競技の場合は、スポーツ一般がもたらす随伴性に加えて
  • 打者も投手も野手も、基本的には努力の量と質によってワザを高めることができる。
  • 「9回裏、ツーアウト、フルベース」というように盛り上がりの場面が分かりやすい。
  • 攻める側にはホームラン、ヒット、盗塁など、守る側には速球、三振、捕球、返球というように、それぞれ最高の見せワザがある。
  • ヒットや本塁打は見る側にも「かっ飛ばす」という爽快感を与える。
  • 身体機能(手も足も)がまんべんなく活用されている。
  • オフサイドなど、反則で試合が中断することが無い。
  • 累積的な記録(各種通算記録、打率、防御率など)にそれなりの信頼性がある。
  • 競技する場が広いことから、大観衆が揃って観戦できる。
  • どの瞬間でも常に本塁打による得点の可能性が存在するという緊張感がある。
  • 得点に希少性があるので感動をもたらしやすい(バスケットのようにあまりにも得点が多すぎると、ゴール1回あたりの感動が減る)
といった特長があるのではないかと思う。とはいえ、世界的に見れば野球が普及している国はごく一部に限られていることも確かだ。また草野球ができる空き地が無くなっている点も無視できない。第一級の楽しみを与える球技としての地位がこれからも安泰とは必ずしも言えないように思う。
【ちょっと思ったこと】

チョモランマ・ベースキャンプでのオフミはいかが?

 ネイチャリングスペシャル15周年記念特別企画「聖インダス大巡礼」の後半部分を見た。ラサから22道班、ヤルツァンポ・ルートを通ってマナサロワール湖、さらにインダスの源流をめざすというものだった。

 ところでこのカイラス山巡礼の旅行だが、山岳雑誌などを見ると数社がちゃんとツアー参加者を募集している。可能性だけは誰にでも開かれているといってよいだろう。もっとも、全日程は29〜31日間で代金は70〜80万円必要。
  • 学生は参加する時間はあっても金が無い。
  • 若手の社会人は金はあるがこんなに休みをとれない。
  • ゆったりとした日程が確保できる高齢の退職者は、体力的にもはや参加が不可能。
という理由によるのか、申込者が少なく、催行中止の恐れが大であるようだ。

 先日この日記で取り上げた「青蔵高原オフミ」も残念ながら人不足により中止になる可能性が大きくなってきた。そこで私としてもせっかくの夏休み、何とか催行可能なツアーに参加できないものかと、旅行会社数社に問い合わせをしている最中。今のところ可能性が高いのはネパールのカトマンズから空路でラサに入り、そこから車でヤムドク湖やエベレストベースキャンプを訪れ、陸路を経由して再びカトマンズに戻るという15日間のツアーだ。別会社で成都からラサ、カトマンズに抜ける11日間のものもあり、こちらのほうはほぼ催行可能であるという連絡を受けている。

 このツアーの最大の問題は5000m以上の峠を何度も超えることによる高山病の心配に加えて、雪解けや雨期による崖崩れや水害の恐れがあることだ。チョモランマベースキャンプまで到達できるかどうかも分からないし、行けても雲で見られない可能性も多い。これを承知で参加を検討したいという方はぜひご連絡をください。
【今日の畑仕事】

ミニトマト、インゲン、タマネギ、ジャガイモ、ブロッコリー、ナス、ピーマンを収穫。サツマイモの刺し芽、小松菜種まき。
【スクラップブック】