じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa


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[今日の写真] 月見草。この近辺で雑草化している。昨年の草取りの時、大輪の種類だけを残すように配慮したところ、画面のような大きな花が咲いた。



6月22日(木)


【思ったこと】
_00622(木)[教育]ネットを活用した授業その後

 今年度から、ゼミと3回生向け演習の2つで、ノートパソコンを学内LANに繋ぎ、その画面を大型スクリーンに投影する方式の授業を展開している。前期の授業もすでに残り回数が少なくなってきたので、このあたりで中間まとめを行ってみたいと思う。

 まず、ゼミのほうだが、もともと3年前から、先行研究のリビューなどをHPにアップする形式の授業は行われてきた。ただし昨年までは、別の演習室で印刷されたレジュメを参加者に配布して発表させており、ネット上で公開しているのは、その時に出された意見をもとに修正を加えた完成版にすぎなかった。

 今年のゼミの特徴は、こうした印刷物を全廃してしまったことだ。代わりに、各構成員は、HTML形式、ワード2000形式、一太郎形式などのファイルをフロッピーディスクに保存して持参し、その場でスクリーンに投影しながら発表を行う。これによってコピー代は一銭もかからない。また同じものがHPにアップされるので、どうしても印刷して残したい場合は、各自が自分で印刷すればよいし、ファイルとして保存することもできる。

 このほか今年のゼミでは、読了した文献をポイント化して某所に折れ線グラフとして表示している。たくさん読めば読むほど上昇するし、その結果は建前上は不特定多数に公開されているので、怠けるわけにもいかない。付加的随伴性による強化を行っているとも言えよう。

 いま上に述べたのはもっぱら発信に関するものであったが、逆に、それぞれの発表に関連した資料をネットからその場でダイレクトに紹介することも多い。具体的には
  • 図書館大学生協の書籍検索を利用して、関連図書や雑誌を紹介する。
  • 文部省の審議会情報など、関係機関で公表している資料をダイレクトに参照する。
  • たとえば「不登校」をキーワードとしてgooなどのロボット検索を使って、いまどういうサイトがあるのか、何が話題になっているのかをダイレクトに調べる。
 もちろん私自身が毎日執筆しているこのWeb日記を初め、必要に応じて日記猿人に登録されているWeb日記にアクセスすることもある。

 もう1つの3回生向け演習では、「ミニマムサイコロジーを作る」というのが今年のテーマになっている。これは一口に言えば、自分たちの手で心理学入門のサイトを作ってしまおうという試みだが、単なる知識の切り売りでは無意味だ。そこで、
  1. この分野は、何を対象とし、何をめざし、どういう特徴をもった方法でそれを取り組んでいるのかを明らかにする。
  2. 現在までの時点でどういうことが明らかにされたのか
  3. この分野を研究することは現代社会の諸問題を解決する上でどういう役割を果たすのか、21世紀に何をもたらすのか
という3つのステップに分け、特に最後の段階では、現代的問題と関連づけることを強く要請し、単なる思考ゲーム的なモデル作りや、閉じた分野の中での再生産型の研究から脱却するための方向づけを重視することにした。

 この種のコンテンツで難しいのは、著作権に配慮して引用の範囲を明確にすることだ。もともと何も知らない状態からコンテンツを作るわけだから、何かの書物を参考にせざるをえない。丸写しはイケナイし、言葉の置き換えでも著作権侵害にならないとは言えないが、反面、どの本にも紹介されている事実のようなものもある。この点は、毎回繰り返し修正・加筆を指導しているのだが、まだまだ不十分なところがある。

 ミニマムサイコロジーについては、金曜日のうちに、これまでに作ったコンテンツについて幅広く評価を受けるためのフォームを作る予定。できるだけ多くの方から外部評価を受けて7月中に修正し、今年度の完成版として、教室HPの正式のコンテンツに格上げする予定にしておりますので、ぜひご協力をお願いします。
【ちょっと思ったこと】

「週刊ストーリーランド」:日本のおみくじ

 夕食時、久しぶりに「週刊ストーリーランド」という番組を見た。新聞テレビ欄の見出しで「新展開.....涙あふれる超感動の物語が登場」と宣伝されたわりには平凡で予想外の展開というのも無かった。そんななか第一話の「幸せの鏡」の中の商品として登場した「日本のおみくじ」が多少興味をひいた。

 このおみくじは通信販売で会社員が手にしたもので、それを引くと日本の運命が決まるというもの。その時はたまたま「凶」を引いたので、超大型の台風が突然進路を変えて東京に大被害をもたらしてしまった。

 しかしおみくじは、「吉」も「凶」も出る。それを引いたからといって日本の将来を操ることはできないはずなのだが、この会社員は「日本のおみくじ」を手にすることで自分で日本の運命を左右することができる、つまり制御力を含むものであると勘違いしてしまったところが面白かった。

 国内の変化が生じるまでには数日のラグがあるので、このおみくじには予測力があるとも言える。ただし、「吉」であれ「凶」であれ、具体的に何がおこるかはまったく予測できない。数日後におこった何らかの現象をおみくじの結果に一致するようにこじつけるだけだから、あらかじめ避難をすることも投資で儲けることもできない。この程度のおみくじだったら我々誰もが持ちうるものだと言ってもよいだろう。

 この会社員も、そのうちにこれに気づき、おみくじを引いたこととその後の災害は偶然の一致ではなかったかと悩む。ついには「世界を破滅させるボタン」を購入してスイッチを押してしまうわけだが、オチは今ひとつだった。

 それはそれとして、このストーリーの主題を勝手に拡大解釈するならば、「何かを予測できる道具」というのは、予測の結果が利用可能である場合に限って存在価値があるという示唆を読み取ることができる。利用可能性とは、天気予報のように予測に合わせて最適な選択肢を選ぶこと、あるいは予防注射や干害対策のように、環境側の勝手な変化を阻止するために積極的・能動的な対処をすること。
【今日の畑仕事】

小松菜とサラダ菜を収穫。
【スクラップブック】