じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa


5月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
[今日の写真] サクランボ。3月に購入したサクランボの苗が見事に実をつけた。「サクランボ」として売り出されていたものの、実際はユスラウメによく似た形、味。

「三周年記念クイズ&アンケート」を実施中です。ご協力いただける方は
こちら
をご覧ください。アンケート回答だけでも結構です。5月14日昼までにお願いします。



5月12日(金)

【思ったこと】
_00512(金)[心理]バスジャック事件についてもクリティカルな視点が必要(その3):「規範意識を高める教育」は凶悪犯罪の有効な抑止策になるか

 5月3日午後に西鉄の定期高速バスが乗っ取られ人質が殺傷された事件については、その後も
  1. 少年が高速道路通行料の領収書約150枚を宝物として車内に持ち込んでおり、乗客に、「これが何だかわかるか。」などと自慢げな口調で話した。[5/12朝日]
  2. 広島、岡山方面へのドライブを楽しみにしていたが、二度目の外泊許可を得て帰宅した際には、しまなみ海道に連れて行ってもらえず、これについて「親に見放されたように感じた」と供述。[5/12朝日]
  3. 二度目の外泊許可から病院に戻った際に「何か目立つことをしたい」と考えるよういなり、豊川市の事件を聞いて「先を越されたと思った」[5/12朝日]。
  4. 犯行は三度目の外泊許可をもらって帰った日に発生。約7万円の財布を所持。[5/12朝日]
  5. 「自分の中に別の自分がいる。そいつが人を殺せと言っている」というメモが押収された。[5/152朝日]
  6. 警察、文部省、高校などに対して世の中を批判する手紙を送っていた。[5/13NHK]
  7. 少年は3月4日、自宅にたてこもるなどしたため、両親が県警に相談し、翌5日に佐賀市内の病院に入院。その後同7日から、県に退院を申し入れていたが両親の不同意により退院は実現できなかった。[5/13朝日]
  8. 自宅から牛刀2本とサバイバルナイフ1本が押収されていた。[5/13]
  9. 乗っ取り後は、女の子だけを前に座らせ、男性は後部座席に、補助席で通路を閉鎖、荷物は前の席に移動させた。[5/13NHK]
  10. 殺傷行為は、人質脱出のあとで起こり、けが人の写真を撮りながら「これは特ダネになる」などとしゃべった。[5/13NHK]
など、新しい事実が報じられている[5/13昼に情報を追記した]。そうしたなか、「教育改革国民会議」は11日夕、少年犯罪の続発を受け、青少年に対し、「自殺と殺人によって失われた命は二度と回復できない」などと訴えると同時に、少年犯罪対策を同会議の重要な検討課題と位置付けるなどした「座長緊急アピール」を発表したという。アピールでは、生命の尊さとともに、「社会のそれぞれの場で、子どもが悩みを相談できるように考えてほしい」と学校や家庭での教師や保護者などと子どもの対話の重要性などを指摘したという。

 ところで5/12付の産経新聞によれば、
事務局が用意したアピール当初案には、「規範意識を高める教育の徹底」などの具体策も盛り込まれていたが、「文部省主導だ」との批判や、「会議での議論は始まったばかり」などの慎重論が委員から相次ぎ、座長名による抽象的な内容のアピールに落ち着いた。
とのことだが、「規範意識を高める教育の徹底」というのが具体策であり、アピールに盛り込まれた「学校や家庭での教師や保護者などと子どもの対話の重要性」を指摘することが抽象的な内容であるという産経新聞の表現は当たっていないように思う。

 ここで「規範」の意味を『新明解』で調べてみると
規範:その社会でそれに従うことが求められる行動などの型
となっている。そういう意識が高められるに越したことはないが、すでに何度か指摘しているように、
  • 教育をしなければ「規範意識」が高められないというのは、基本的に性悪説の発想。
  • 実際に凶悪犯罪を起こすのは、「規範意識を高める教育」になじまない者。通常の学校教育の中でいくら徹底を試みても、なじまない者にまでその効果は及ばない。
  • 「規範を守る行動」自体が強化されるようなシステムを作らなければ、状況を超えた一貫性のある「規範意識」は形成されない。要するに、監視されている場所では守るが、監視の無いところでは平気でルールをやぶる行動が生じてしまう。
  • 規範意識の一貫性を高めるためには、一貫性を保つことの手本が示されていかなければならない。政治家が選挙のたびに所属政党を変わったり、与党の枠組みがころころ変わるようでは、状況依存型(よく言えば「臨機応変対処型」、悪く言えば、場当たり的に、その状況に依存し、その状況に限定された目先の最善策に合わせて行動すること)の行動のほうがお得という実例を示しているようなもの。
といった点で、凶悪犯罪の抑止とは次元の異なる議論と言わざるを得ない。「教育改革国民会議」が事務局当初案(誰が作ったの?)を一蹴したとすれば、賢明な対応であったと評価されるべきであろう。

 しかし、「学校や家庭での教師や保護者などと子どもの対話の重要性」というのも、それを実現するためにどういう環境を整備しなければならないのか具体策が示されなければ同等の批判を免れない。それと、対話を好まない孤独な青年が常に犯罪を引き起こすという発想があればこれも問題だ。集団になじまない性格であっても、その子どもの発するのぞましい行動の中から長所を伸ばしていけば、学者、芸術家、技術者など、必ずしも人付き合いをしなくても活躍できる場が見つかるはずである。時間が無くなったので、月曜日以降に続く。
【ちょっと思ったこと】
  • 後楽園で1匹14万円?のホタルを「鑑賞」

     後楽園で夜21時までホタル鑑賞会が開かれることを知り、夕食後の夫婦の散歩の代わりに車で来園。夜の後楽園を訪れるのは旧暦8月15日の名月鑑賞会以来のことである。初日かつ平日ということもあって、訪れた人はせいぜい1000人程度、駐車場にも難なく入場できた。

     岡山県でホタルと言えば、中国道沿線の北房町、岡山市郊外の足守地区、百間川の祇園用水近辺が近場で有名なところ。後楽園を訪れるのは今回が初めて。ここではホタルは観察するものではなく鑑賞するものとして位置づけられているようだ。じっさい妻が園内の警備員に「ホタルはどちらに居ますか?」と尋ねた時にも「あちらのほうで鑑賞できます」と言われた。

     ホタルが居たのは庭園奥の菖蒲園近く。全部で15匹ほど()が水路の上や両脇の植栽の陰で光を放っていた。そのうち見物人の頭に止まったり、肩越しを通過したりするようになり、数十人の見物人から喚声が上がる。警備員からは「どうか触らないでください、触ると光らなくなりますので...」という注意を促す声も。まさに宝石なみの扱い。北房町や足守だったら、手のひらに何匹か載せても誰も咎めたりはしないものだったが。

     ホタル鑑賞会は土日もあるようだ。後楽園の入場料は大人一名につき350円。ホタル見物の有料入場者が1日2000人、3日間で6000人として、210万円の臨時収入となる。となるとホタル1匹あたり14万円の集客効果をもたらしているということか。

    5/13朝のNHKローカルニュースによれば、確認されたホタルの数は30匹だったという。
【今日の畑仕事】

雨のため何もできず。
【スクラップブック】