じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa


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[今日の写真] チンゲンサイの花。畑で作っているチンゲンサイの一部から花が咲き始めた。作りすぎたため食べきれない状態。


3月28日(火)

【思ったこと】
_00328(火)[一般]風邪薬による保険金殺人疑惑と食物嫌悪条件づけ

 埼玉県本庄市の偽装結婚・保険金詐欺疑惑で、多額の保険金をかけられていた男性は、5月から事件が明るみに出るまでに1年に7000錠を越える風邪薬を飲まされ、飲んだあとに気分が悪くなったり吐いたりしたという[3/29朝のNHKニュース]。この事件でよく分からないのは、「飲まされていた」というのはどういう強制を伴った状況を言うのだろうか。ナイフをつきつけられて「飲め!」と言われれば毒薬でも飲む人はいるだろうが、通常、人は訳の分からない錠剤を言われるままに飲んだりはしない。私などは、医者からもらった薬でも『病院からもらった薬が分かる本』というような本で、その種類や副作用を調べた上で口にしている。この男性の場合は気分が悪くなっても飲み続けていたということだが、栄養剤だと言われただけで気分が悪くなってもなお飲み続け、あげくの果てに死に至るというのは、食物嫌悪条件づけをテーマに修論研究をした私にとっては到底信じられないことだ。

 食物嫌悪条件づけというのは、「食物(錠剤)」の摂取後に吐き気等の消化器系の不快症状が随伴すると、その食物を嫌いになるという学習。わずか1回の経験でも効果はてきめん。例えばサルにマシュマロのような珍しいお菓子を食べさせて、その後で催吐作用のある薬物を注射すると、そのサルはマシュマロを決して食べなくなる。同じ学習は雑食性の動物で幅広く確認されている。というか、ネズミのほうが学習能力がすぐれていると言ってもよいぐらいだ。いずれにしても、何らかの不快症状が随伴するような錠剤を大量かつ反復的に飲み続けるということは、よほどの強い信念(例えば、これを飲めば癌が治るというような)が無ければ決してできないこと。奇妙な事件である。

 保険金殺人で最も恐ろしいのは、発ガン物質をこっそり料理に忍ばせることだろう。発ガン物質の中には摂取しても何の不快症状も伴わないものもある。だからこそ、発ガン性のある食品添加物の規制が遅れてしまうのだ。もし、有害な食物が嫌いになるような学習システムが完璧にできあがっているならば法的な規制は要らない。有害な添加物を含んだ食物は誰も買おうとしないからである。

 事故死を装った保険金殺人は、事故発生の文脈がきわめて明瞭であるため捜査はしやすい。容疑者のアリバイの有無も有力な手がかりとなるだろう。しかし、今回の疑惑のように長期間にわたって有害物を摂取させる場合は、被害者の死因をめぐる因果関係の推定は困難になってくる。発ガン物質となればさらに立証が難しくなる。例えば、保険金受取人が契約者に大量のタバコをプレゼントし、結果的にかなり若くして肺ガンで死んだという場合、それを殺人と見なすか、偶然と見なすか、判断は難しい。仮にその受取人が自白をしたとしても、タバコを贈っただけで保険金殺人として立証できるかどうかは疑わしいところだ。

 では、どうすればこの種の「殺人」を防げるのだろうか。答えは簡単だ。それは、
人が死ぬことで儲かるようなシステムをこの社会から無くすこと。
 具体的には生命保険およびその特約の支払い限度額を
  • 疾病・事故の場合は治療費の範囲内
  • 死亡の場合は、その人が生きていた時に稼ぐことが可能であった収入の範囲内
までとすることだ。 一般の損害保険と同様、生命保険の目的を「保障ではなく補償」ということに限定すれば、わざわざ殺人を犯す人など出てこない。そもそも、人が死ぬことで儲かるようなシステムがこの社会に存在することが根本的に間違っているのだ。このことは98年10月4日の日記でいちど書いたことがある。以下にその一部を再掲させていただく。
保険会社が本来の互助精神から外れて、無節操に契約額を増やし、それを株などに投資して莫大な得ようとしたことが、他人名義の契約や、多額の給付金を受け取れるような仕組みを許容してしまったのであろう。そもそも保険会社が集めた金で株価が上下したり、日本経済が影響を受けること自体がおかしい。保険会社肥大化の背景にはそれで得をする政治家もいるに違いない。民放もCM収入のお得意様として批判できない事情があるのだろう。

【中略】

 一時期、サラ金の存在と種々の強盗事件との関連が取りざたされたことがあった。生命保険においても、「殺せば儲かる」という仕組みが世の中に存在している以上、同種の事件は今後もかならず起きるに違いない。
【ちょっと思ったこと】
  •  8時半すぎに岡山を出て、山陽道〜中央道経由で東京に。関ヶ原〜小牧〜恵那付近では水しぶきで前の車が見えなくなるほどの激しい雨が降っていた。こんな時、水たまりができない高規格舗装の道はありがたいものだ。途中、山陽道全線と駒ヶ根SA〜八ヶ岳PAは妻に運転を交代してもらった。18時半すぎに世田谷の自宅に到着。

     今回は高井戸ICから環八を南下し、適当なところで左折して若林方面に向かう。地図も何も見ず、電柱についている町名表示だけを頼りに進んだが、ほぼ迷わずに若林小学校の北側の通りに出た。小学校の頃、自転車で通っただけの道ばかりだったが、幼い頃の記憶というのはしっかり残っているものだ。生まれ育った場所では渋滞もまた楽しい。周りの景色が眺められて懐かしさを感じるからである。

  •  3/29朝6時台のNHKニュースで、マンションの共用施設のことが話題になっていた。供給が増える中で、販売促進のためにユニークな施設を目玉にしているマンションがあるという。DVDも再生できるような大スクリーンのビデオシアター、もともと建設地にあった雑木林を活かしたログハウス、お茶室など。一戸建て志向の人がマンションに不足していると考えているニーズを満たす共用施設が多様化すれば、販路の開拓につながるものと思われる。

     もっとも番組を見た限りでは、大部分の共用施設は屋内に設置されており外の環境からは孤立した存在になっているようだった。植物や動物に能動的に働きかける機会が保障されるような共同花壇、共同家庭農園、共同ペットハウスなどがあれば私でも購入する気になるのだが.....。
【今日の畑仕事】

旅行中につき何もできず。
【スクラップブック】