じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa


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[今日の写真] 娘がお花の教室で活けてきたアイスランドポピー。シベリアヒナゲシとも言う。そう言えば、後ろに妻の作ったミニ雛飾りがある。我が家では男雛は向かって左側(23日の日記(後半)参照。


2月27日(日)

【思ったこと】
_00227(日))[心理]「死人テスト」からの発想と具体的であること(6):「原因」の積と和
 1年以上も前のことになるが、98年11月20日の日記で、
  • ひとくちに「行動の原因」といっても、行動が生じるための十分条件(=十分原因)と必要条件(必要原因)がある。
  • 「必要原因」、「十分原因」は『クリティカルシンキング 入門編』(ゼックミスタ・ジョンソン著、宮元ほか訳、北大路書房、1996年、ISBN4-7628-2061-X、本体1900円)で使われている言葉である。発案者が著者自身なのか、どこからの翻案なのかはまだチェックしていない。それによれば、
    • 必要原因とは、それがなければ結果が起こり得ない条件を指す。[訳書30頁]
    • 十分原因とは、それさえあれば結果をもたらすことが可能な原因を指す。[訳書31頁]
  • 現実の行動、あるいは犯罪事件、社会現象などは、無数に近い原因が独立加算的に働いたり、相互作用を起こしたりすることによって生じるものであり、十分条件のすべてを確定することは不可能に近い。
と述べたことがあった。この後半部分の無数に近い原因が独立加算的に働いたりという部分について、少し修正させていただこうと思う。

 いっぱんに物事は、原因が加算的に寄せ集まって生じる場合と、積算的に組み合わさって生じる場合がある。前者は、論理和もしくは「or」、後者は論理積もしくは「and」と言ってもよいかと思うが[]、いずれにせよ、原因が加算的にに寄せ集まるだけでないことを説明しておく必要があった。論理学や論理演算の難しい話は分からないけれど原因をA、B、C、Dとか、P、Q、R、Sというように列挙した場合、ある現象Xに対して

1=A+B+C+D...

というように加算的にはたらく場合と、

2=P×Q×R×S・・・

というように積の形で影響を及ぼす場合がある。もちろん最終的には、加算部分と積算分がさらに組合わさった多項式のような構造をとるものと思う。

※2/29追記
まついさん[2/28]より、論理演算は真理値(若しくは論理値)をもつ非演算子に対して、真、または偽の真理値を返す。論理和は被演算子の何れかが真であれば真を返し、論理積は全ての被演算子が真であれば真を返す。というご指摘をいただいた。まさにその通り。上記の変数、特に1に関しては2値的な結果を返すことを想定していないので、論理演算の議論を持ち込むことはできない。ここは、きわめて稚拙な「数量モデル」として議論すべきであった。ご指摘ありがとうございました。訂正させていただきます。
 例えば、いま大学で行われている一般入試の場合は、各科目の得点が「A+B+C+D」というように加算されて、その結果として合否が決められていく。個別科目の「足切り」が行われない限り、科目Aが0点でも、科目Bで高得点を取れば同じ結果になる次第だ。そういう意味では、A、B、C、Dは相補的な関係にあるとも言えるし、見方によっては因果的説明というよりも境界条件の明示と言ったほうがよい場合もありそうだ。

 一方、朝顔の種の発芽を考えた場合は、P=酸素、Q=水、R=適温...というように、それぞれの関係は相補的にはならない。どれか1つでもゼロになってしまえば、他がどのように最適条件を満たしても現象はおこらない。

 こういうことを突然考えたのは、じつは、新潟県で起こった女性長期監禁事件、あるいは25日の新聞で報道された、薬害エイズの判決公判のことが頭にあったからである。

 前者の場合は犯人の行為が監禁の原因、後者はエイズウィルスの混入が直接の原因であることは間違いないけれども、それだけが唯一とは言えない。

2=P×Q×R×S・・・

という式でとらえるならば、前者では警察の対応のまずさが、後者では製薬会社、厚生省などの対応のまずさがQやR、Sなどのところに原因として入ってくるのだ。つまり

○○さえ、ちゃんとしていたら事件は阻止できたはずだ

ということ。もちろん、P、Q、R、S....などのすべてが刑事罰の対象となるわけではない。例えば、「国内でナイフを一切販売しなかったら(ナイフを用いた)殺傷事件は起こらなかったはずだ」というのは論理的には正しいが、だからといってナイフを売っていたお店が処罰されることにはならない。

 とはいえ、きっちり対処すべき行動に落ち度があればそれはそれで独立した過失責任となる。特に、「安全装置」として機能すべき、警察機関、各種検査機関、監査機関などは重大。怠慢行為は徹底的に糾弾されなければならない。
【ちょっと思ったこと】
  • 久しぶりに近くのハンバーグレストランに行った。店の入口には「当社は、...昨今報道されている同名称団体とは何ら関係ありません」との掲示あり。「アレフ」の名を逆に強調し、「一切関係なし」を前面に出しているように見受けられた。けっこう賑わっている様子だった。

  • 上記の新潟県警本部長の経歴が2/27の朝日新聞に載っていたが、それによれば、岐阜県多治見税務署長、沖縄県警警備部長....など歴任となっていた。税務署の署長が警察本部長になるというのは奇妙な感じがするのだが、誤植なのだろうか。

  • NHKスペシャル「世紀を越えて・未知なるウィルスの襲撃」を見る。マレーシアで人間やブタを死においやったニパウイルスの話が中心。オーストラリアのウサギ駆除の目的で人為的にウイルスに感染させたところ約2年で自然宿主となるウサギが出現したという話が興味深かった。自然宿主以外の動物に対してはウイルスは致命的な打撃を与えることがある。ニパウィルスの場合も、もともとこのウイルスが自然宿主のコウモリと共生していた岩山の多い地域に開発によって養豚場が作られ、ブタとウイルスが接触したことが感染の原因であろうと言われているとか。そういう意味では人災。今後ともどこでどういうウイルスが自然宿主から抜け出して別の動物に感染するか、そこでどれだけ猛威をふるうか、予断を許さない状況にあることがよく分かった。
【今日の畑仕事】
風邪気味のため本日も立ち寄れず。