じぶん更新日記

1999年5月6日開設
Y.Hasegawa

[今日の写真] 葉の落ちないアメリカ楓その後。写真中央にあるように、1本だけ頑張っている。

12月16日(木)

【思ったこと】
991216(木)[一般]「3」の神秘とバランスの力学について考える(2):文句が出ないように3人でお酒を分ける方法再び

 昨日の日記の続き。今回は派閥(裏取引)の起源に関連する話題として、「文句の出ないようにお酒を分けるクイズ」をとりあげてみたい。 クイズの元の問題は『頭の体操第2集』(多湖輝、カッパブックス)の問題10。
2人のけちな酒飲みがいる。形の違うコップが2つだけあり、そのいっぽうに酒がつがれている、この一杯を、2人で分けて飲もうということになったが、両方から絶対に文句の出ないように酒を分けるにはどうすればよいか
というものであり、1997年7月24日の日記で紹介したことがある(続編が同年8月にもいろいろあり)。正解は
  1. 一人が2つのコップに酒を分ける(=「分割権」)。
  2. もう一人が好きな方を取る(=「選択権」)。
というもの。これを「n人において誰からも文句が出ないようにお酒を分ける方法に拡張すると
  1. ひとりがn個のコップに酒を「均等と思われる」ように分ける。
  2. n−1人が、順々に好きなコップを取る。1人にしか選ばれなかったコップはその人が受け取り離脱。
  3. 最後に、1.の分割実行者が残りのコップの中から好きなものを取り離脱(←どれが残っても自分で分けたのだから文句はない)。
  4. 残った者(上記3.で少なくとも1名離脱するので総人数は確実に減少)の中の1名が再度1.を実行する。
この方法は、適当な順に「分割権」を与えられた者(合計n-1人)に残ったコップを取らせるという操作を繰り返すことによって、最後は2人まで減らしていくという、数学的帰納法的な拡張を行ったものである。

 この方法をA、B、C、の3人に応用したすると、
  1. Aが好きなようにお酒を3つのコップに分ける。
  2. B、Cが好きなコップを選ぶ。B、Cが別々のコップを選んだ場合は、残りの1個をAが選んで完了。
  3. B、Cが同じコップを選んだ場合は、Aは残りの2つのうちから好きなほうを選ぶ。そして残ったお酒をBが再分割し、Cがそのうちの1個を選ぶ。Bは最後の1個を選ぶ。
とすれば誰からも文句が出ないはずである。ところが、1997年8月4日の日記に記したように、
  1. お酒の総量が1000mlだったとしよう。
  2. Aさんは2つのコップにはそれぞれ約499ml、残りの1つには約2mlだけ入れる。この場合、Bさんはとうぜん499mlのコップ、CさんはわざとBさんと同じコップを選ぶ。
  3. 結果的に499mlと2mlのコップが残っているので、Aさんは499mlを確実に受け取ることができる。
  4. 次にBさんとCさんのお酒はひとつにして再分割されるから、Cさんは、おおむね
    (499+2)/2=250.5ml
    を受け取れるだろう。
  5. その後、AさんとCさんが2人で得たお酒を分け合えば
    (499+250.5)/2= 374.75
    よって、派閥に属するAさんとCさんは、Bさんより多いお酒を獲得することが可能である。
という形で、いっけん文句が出ないように見える方法でも、派閥を作ると得をする場合のあることが分かる。

 この対処法として当時考えたのは
  1. 全員が自分のコップを手にした時点で、全員が任意のメンバーに対して「自分より多い」というクレームをつけられるようにする。
  2. クレームをつけた者とつけられた者の2人で、再度お酒を分け合う(方法は、元の問題の答えと同じ)
  3. 誰からも文句を付けられず、自分自身のお酒の量にも不平がない者は抜け出して飲むことができる。
  4. 量の変化がない相手に対しては文句をつけるのは1回限りとする。
というものであった。おそらく現実の3者合意プロセスでも、似たような交渉が行われているものと思われる。
【ちょっと思ったこと】
  • 1999年最後の授業終わる。今年度は非常にコマ数が多く(月曜2、火曜2、水曜1、木曜3、金曜1)すっかりくたびれた。締め切りを過ぎている原稿に取り組まなければ...

  • [Image] このところ息子が難しい数学の問題を持ってくる。右の問題は、1辺2の正方形の中にある黄色の部分の面積を求めよというもの。たしかエレガントな解き方があったはずなんだが...。どなたか父親の威厳を保つためにご協力を...
【本日の畑仕事】
本日も授業や会議で多忙のため、立ち寄れず。
【スクラップブック】