じぶん更新日記

1999年5月6日開設
Y.Hasegawa

[今日の写真] ウィンターコスモス。夏に苗を植えたもののいっこうに花が咲かず場所ふさぎだなあと思っていたところ、名前の通り霜が降りるころになってから綺麗な花を咲かせるようになってきた。

12月3日(金)

【思ったこと】
991203(金)[生活]受験会場入口で合否電報屋と押し問答した私/勧誘されることの自己責任

 8時半頃、大学構内を通って研究室に向かう時、いつもと違って制服姿の高校生がやたら多いことに気づく。そういえば今日は推薦入試の日であった。西門前に妙な人だかりがあり、受験生たちが白い紙に中を書き込んでいた。毎年この時期に出没する合否電報屋であった。大学とは一切関係の無い人達だが、毎年、この日だけ出没し、大声で「受験票を確認しまーす」などと叫び、あたかも大学職員が何かを呼びかけているような口振りで受験生に勧誘をしている。受験生のほうも緊張していて、人だかりがあれば余り深く考えずに誘いに乗ってしまう。この日も、大概の受験生が足を止めて書き込みをしていた。
[写真] [写真]

 今年は、たまたまデジカメを持ち歩いていたので、何かの証拠にもなればと電報屋の顔写真を撮る。そのあと、彼ら(=男性2名)の口振りをじっと聞いみたが、彼らは自分たちがどういう業者なのかは一切口に出さず、「携帯電話は使えません」とか「昨日受け取らなかった人は全員これをとってください」などと叫びながら申込用紙を渡していた。

 最初は写真を撮るだけにしようと思っていたが、彼らのあまりにもずるがしこい勧誘の仕方に腹がたち、とうとう、「おい、ちゃんと正体を名乗れ! 大学構内(注:バス通りの北側は西門の外でも大学構内に含まれている)でそんなことするな! 大学職員のような口振りで勧誘するな!」などと怒鳴りつけてしまった。相手も逆に「おまえは何者だ」とか「何がいけないんだ」と、くってかかる。それを聞いたある女子受験生が「大学の人じゃないんですか! お金を返して!」などと叫びだした。しばらく押し問答が続いたが、法学部の教官が私のところにやってきて「受験生に悪いイメージを与えてしまいますから...」と割って入ったので、そのまま引き下がった。確かに、受験会場の入口で怒鳴り合いはまずかったかもしれないが、もし、このHPをご覧になった受験生や担任の先生が居られたなら、体を張って「錯覚商法」を阻止した教官が少なくとも1名この大学に居たのだということにご理解をいただきたいと思っている。

※写真左は私が押し問答をした合格電報屋。右は、夕刻にやはり出入り口付近(ここも大学構内)で勧誘を続ける別の合否電報屋(2名)。大学と無関係に電報の勧誘をすること自体は何ら違法ではないが、大多数の受験生が大学の職員がやっていると錯覚してしまうような勧誘を許すわけにはいかない。もし何らかの告発があれば私も証人として証拠を提供したいと思っている。



 さて、以上は日記を書く前に考えたこと。しかし書いているうちに全く別の考えが浮かんできた。大学構内で「錯覚商法」をやっている電報屋を怒鳴りつけたこと自体は正しいと思うし、もし同僚たちがいっせいに電報屋を取り囲むようになれば、来年以降、同じような手口による勧誘を防止することができるはずだ。

 しかし考えてみれば、電報屋は、大学構内での勧誘が厳格に禁止されても周辺の公道で似たような勧誘をするだけであろう。人が群がって申し込みをしていると、相手の正体も確認せずに平気で電報代を払ってしまう受験生がいる限りは、こういう商売はずっと続く。もちろん正直かつ正確に合否の結果を伝える業者も居るだろうが、「電報代」だけまきあげてトンズラする者もいれば、受験生が書き込んだ住所・氏名・電話番号などの個人情報を別の受験産業業者に売り渡す者もいるだろう。きっと不愉快な思いをするに違いない。

 どっちにせよ受験生たちが大学に合格すれば、同じ大学の構内や周辺の公道上でさまざまな勧誘を受けることになる。「生きがいアンケートお願いします」とか「教養セミナー」や「イベントサークル」を偽って勧誘する宗教団体もあるし、高額の英会話教材、マルチ商法、クレジットカード詐欺など、マインドコントロールや悪徳商法のワナはいたるところに仕掛けられている。いつまでも親に依存することはできない。これらを乗り越え、自分で判断し自分で責任をとりながら生活をしていかなけれやっていかれない。そういう意味では、一教官が体を張って「錯覚商法」を防止するのはむしろ過保護。騙されるヤツや騙されて大損すればよい。そういう荒波に揉まれれば、街角での正体を隠した勧誘に引っかかることもないし、「研修を受ければ病気が治る」などというインチキ宗教に多額の献金をすることもあるまい。

 なお、悪徳商法、マインドコントロールと自己責任についての考察が 1998年1月31日の日記同年2月1日の日記同年2月6日の日記にある。合わせてお読みいただければ幸いです。
【ちょっと思ったこと】
【本日の畑仕事】
サツマイモを収穫し、タマネギ苗の植え付け(続き)、ハツカダイコンの種まき。小松菜収穫。
【スクラップブック】