じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 午後、市役所に行く用事があり年休をとったついでにRSKバラ園に。フルムーン資格達成記念の夫婦写真など(あっ、画像をクリックしても期待?されるような画像はありません、念のため)。秋のバラは色はよいが花数が少なく、何となくわびしさを感じてしまう。


10月26日(火)

【思ったこと】
991026(火)[教育]日本人が「日本型英語」を使えるようになるための「Japenglish」のすすめ(4)冠詞や不規則動詞は使わなくてもよいという英語

 昨日の日記の続き。この連載については、10/26夜までの時点でがくもんにっき。さんや毎日の記録さんなど複数の方から御意見をいただいた。本来ならば個々のご批判やご質問にお答えするべきところであるが、連載としてはとりあえず今回で終了。種々のご意見に個別にお答えするのではなく、Q&Aの形で一般化して近日中に第二弾として連載させていただく予定ですのでご容赦いただきたい。

 じつは私は、今回の議論の発端となった『日本人はなぜ英語ができないか』をまだ1頁も読んでいない。これは私がWeb日記上で意見をまとめる際によく使うスタイルであり、この「じぶん更新日記」の名前もここからきている。
  1. まず、これまでに持っている知識だけで意見をまとめてみる。
  2. まとまった段階で、関連する文献を読む。
  3. すでに公表した自分の意見と照合し、必要があれば自分の意見を更新していく。
今回の連載はこのうちの1.の段階にあたるものだ。なぜ初めに文献読みをしないかと言えば、他者の考えを吸収していくうちに自分自身のオリジナルの考えが失われていく恐れがあるからだ。Web日記の中で意見を述べる限りにおいては、いちいち先行研究にあたる義務はあるまい。こちらのほうが自由な発想ができると思っている。なお、次回は、『日本人はなぜ英語ができないか』のほか、数冊の英語文法関連本、また、かつてこの日記でも取り上げたことのあるC. K. Ogden(1889-1957)提唱のBasic English(日本語の紹介本としては、室勝『ベーシック・イングリッシュ入門ISBN4-89684-002-X、室勝『500語でできる英語会話』ISBN4-566-05857-3、室勝・小高一夫『英語を書く本:BASIC ENGLISHの理論と応用』ISBN4-89684-000-3)など)の功罪についてもふれてみたいと思っている。

 さて、第一弾の最終回は、初級レベルの英語教育の簡略化についての提言。これまで述べてきた「Japenglish」の基本は「誤反応を弱化せず、自信をもって話す・書く」ために必要な条件をそろえることにあったわけだが、初級レベルではそもそも正反応も誤反応も何も自発されない。この段階では、なるべく簡略化した英語を教えたほうが弱化要因を解消できるのではないかと思う。そこで、こんなことを検討してみてもよいのではないか、と思ったことを以下に箇条書きにしてみる。あくまで問題提起であって、議論が進む中で撤回する部分が出てくるかもしれないことをあらかじめお断りしておく。
  • 単数形とか複数形、不定冠詞、定冠詞なんて教える必要ない。
    日本語にはもともと冠詞は無い。単数形とか複数形は伝える必要がある時だけ区別している。例えば「私は猫が好きだ」という時は猫一般が好きであることを示しているし、「ここに3匹の猫がいる」をわざわざ「3匹の猫たちがいる」と言い直す必要はない。特定の猫について語る時は「その猫はかわいい」と言えばよい。Japenglishはネイティブな英語どおりの正しい用法を否定しない反面、単数形とか複数形、冠詞の使い方などについての「誤り」をいちいち弱化しない。冠詞などは、気の向いた時だけ使えばよい。

  • 動詞の不規則変化なんて教える必要ない。
    英語を初めて学ぶ者が苦労するは、「go」に対する「went、 gone」、「take」に対する「took、taken」といった不規則な変化だ。こういう変化は「読みとり」、「聞き取り」に際して知っておく必要はあるが、本来は不合理なもの。使わずに済ませればそれにこしたことはない。煩わしさをを解消する方法についてはいろいろ検討してみる必要があるが、例えば、過去形を使う代わりに「did」を使うなんていうのはどうだろうか
    I went to the park yesterday.
    とする代わりに
    Yesterday I did got to the park.
    とするのである。これでは強調文ではないかと言う人もいるだろうが、「いやJapenglishでは過去形はdidをつけてもよいことになっている。強調の時はdidのところで声を強めるか、イタリック体で表せばよい」と答えれば済むことだ。なお上記で「yesterday」を文頭に持ってきたのは、そのほうが日本人の自然な語順として浮かんでくるため。

  • 相手の発言内容に同意するときは「Yes」ではなく「Hai」、不同意の時は「No」ではなく「Iie」と答えればよい。
    英語の「Yes」、「No」が日本語の「はい」、「いいえ」と必ずしも一致しないことはよく知られているところだ。たとえば、「きょうはあまり暑くないですね」と言われた時に同意する場合、日本語なら「はい」と答えるが英語なら「No」で同意しなければならない。これは日本人の混乱のもととなり速やかな発話をためらわせる一因になっている。そこで、このさい、日本人らしく、同意なら「Hai」、不同意なら「Iie」とはっきり答えるのも一案。

  • 疑問文は平叙文と同じ語順で構わない。
    日本語の疑問文は文末に「〜か?」をつける場合もあるが、平叙文の語尾を上げるだけ(書く時は「?」をつけるだけ)で十分に疑問文になりうる。英語だって短い文だったらそれで困ることはあるまい。
    Do you play tennis? / Are you a student?
    のかわりに
    You play tennis? / You are student?
    で十分ではないか。相手が質問だと受け止めなかった時は、さらに「Yes?」、「Right?」、「True?」などと「〜か?」にあたる文を付加すればそれでよい。

  • 日本文で主語が要らないような表現だったら、主語を省略してしまえばよい。
    英文日記などでも主語の省略はよく見られる。文脈から主語が無くても通じる時は、わざわざこだわらなくてもよい。目的語も同様で、他動詞であっても目的語が無くて通じる場合は勝手に自動詞化して省略してしまえばよい。たとえばよく「enjoy」の目的語を忘れるなどと言われるが、楽しんでいる対象がはっきりしているなら「I enjoy!」でよいではないか。もっとも、いまランダムハウス英語辞典で調べたところ、「自動詞用法はイディッシュ語の影響による」と断った上で、enjoyの自動詞用法が紹介されていたので、これはもともと許容されている表現か。

  • 無生物主語で始まる能動体表現にこだわらない。
    受身表現を避け能動形で表せというのは、日本型英語の問題というよりも、論文英語などでeffectiveな英語表現をめざすテクニックの1つとしてしばしば紹介されている。しかし、元来日本語は、状態の変化をありのままにとらえる言語であるせいか、無生物主語による能動表現に適していないように思う。また個人的には、無生物主語は何となく擬人的表現みたいであるし、誤った因果関係を前提としているような印象さえ受ける。このさい、受身表現のままでもよい。わざわざ能動体に直す必要は無かろう。
    受身表現のままにする際に1つ問題となるのは、動詞の過去分詞形を使わなければならないということ。上にも述べた不規則変化にどう対応するかが課題。いっそのこと、すべて「〜is done」のあとに動詞の原形でもくっつければよいかとも思ったがこれでは不細工すぎるか。時間が無いのでいずれ考えてみたい。
以上、思いつき程度のことをいくつか挙げてみたが、基本思想はあくまで「誤反応を弱化せず、自信をもって話す・書く」点にある。上記の個別的な部分に欠陥があったとしても、主張そのものの否定にはつながらない。Japenglishの是非については、あくまで基本思想の妥当性という視点から論じていただきたいと希望している。
【ちょっと思ったこと】
【本日の畑仕事】
レタス収穫。水まき。
【スクラップブック】