じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 日暮れとともに東空に木星(マイナス2.9等)と土星が明るく輝いているが、明け方の東空に輝く金星もまた異様な輝きを見せている(マイナス4.5等)。10/21朝、5時47分に撮影。


10月20日(水)

【思ったこと】
991020(水)[教育]最近の大学教育論議でおもふこと(6):履修科目登録上限制は学生の勉学を促進するか(1)

 19日の日記の続き。少し前の新聞記事で、
学部学生が早い段階で単位を「固め取り」して学習をおろそかにしないよう、一年間または一学期間で登録可能な単位数に上限を設ける
いう設置基準改正の話題が取り上げられていた。私も9月15日付けの日記でこのことに批判的な意見を述べた。

 その後この省令の改正内容が伝えられ、どこの大学でもそれに従うための学則の改正や学生便覧等の記述の整備に追われていることと思う。

 設置基準で改正されたのは第27条の2という「履修の登録の上限」についての条文であり
 大学は、学生が各年次にわたって適切に授業科目を履修するため、卒業の要件として学生が修得すべき単位数について、学生が1年間又は1学期に履修科目として登録することができる単位数の上限を定めるように努めなければならない。

 2 大学は、その定めるところにより、所定の単位を優れた成績をもって修得した学生については、前項に定める上限を超えて履修科目の登録を認めることができる。
という内容。勉強不足でよく分からないが、この改正は早期卒業導入(4年制の大学を3年で卒業)に伴う改正と同時に行われたものであり、同時に学校教育法55条の3と、学校教育法施行規則第68条の3、さらに改正後の例外規定を定める省令とセットにされている。それだけに慎重な解釈が必要である。

 上限を設けることについては新聞記事にもあるように「学生が過剰な履修科目登録をし安易に単位を修得するという現象」、またそれによって3年次までに殆どの単位を取得できてしまうという4年制形骸化を防ぐための措置ということのようだ。

 こうした改正は大学審議会答申に基づくものであり、その根拠として
...単位制度の本来の趣旨にもかかわらず、学生の授業科目の履修については、講義等において必ずしも準備学習が要求されない、授業への出席状況が確認されない、学期末の試験結果のみで単位認定が行われるなどの理由から、学生が過剰な履修科目登録をし安易に単位を修得するという現象が生じ、その結果十分な学習を行わないまま3年で124単位近くを修得してしまうという指摘がある。この点に関しては、平成7年の文部省調査「学生の学習と生活に関する調査」によると、学部学生の1学期間の平均履修登録授業科目は14.5科目であり、これを1年間の履修登録単位数に換算するとおよそ58単位に相当することとなる。
と記されている。

 本日は時間が無くなったので、私自身の意見は次回以降に述べさせていただくが、ここで問題になりそうなのは
  • 上限を設ければ本当に学生の勉学が促進されるのか
  • ここでは「履修登録」の制限が問題にされているが、とりあえずたくさん履修登録した上で、受講しながら自分のタメになると思った授業を取捨選択することは悪いことなのか
  • 仮に3年間で殆どの単位を取りきった学生が、4年目に浮いた時間を活用して何らかの体験(世界一周ヒッチハイキングとか、福祉施設でのボランティア活動とか...)にチャレンジすることは、大学教育としては否定されるべきことなのか
といった疑問。このほか、大学のレベルの問題、もっと本質的な「予習復習を要求するような講義の実現」といった問題など、いろいろ考えるべきことが多いように思う。単に法律が変わったから従いましょうという議論で済むことではなさそうだ。

※上記の条文・答申の引用部分は印刷物から私がキー入力したものであるためミスがあるかもしれません。意見を述べられる場合は原文を参照してください。なお、原文は公文書のため「,。」という句読点になっております。

※設置基準改正の要旨はこちらの「第四」にあります。余談ですが、文部省の日付表示って、西暦表示になっているのね。
【ちょっと思ったこと】
【本日の畑仕事】
ミニトマトいっぱい収穫。大根種まき。
【スクラップブック】