じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 農学部農場の一角にで栽培されている蕎麦の花?。葉の形は間違いなく蕎麦だと思うが、かつて信州・乗鞍高原の学生村で見た一面の蕎麦畑はみな白い花で茎のほうが赤かった。赤花の品種というのもあるのだろうか。それとも別の作物なのだろうか。どなたか教えていただければ幸いです。


10月13日(水)

【思ったこと】
991013(水)[教育]最近の大学教育論議でおもふこと(1)

 10/13は昼の12時から19時半まで、ほぼ連続して4つの会議に出席した。いくら発言好きの私でもこれには堪える。密室で空気がよどんでいたり、残暑のせいでかけているクーラーからの風がまともにあたったりして、少々体調を崩している。

 最近の会議でしばしば話題になるのが大学教育の在り方をめぐる議論だ。それも、講座や学科の再編成ということではなく、授業の進め方、(大学での)英語教育の改革といった話題。岡大で「FD」と言えば「ファカルティ・ディベロップメント」のこと。「FD」と聞いて「フロッピーディスクがどうかしたんですか?」などと質問したら笑いモノにされてしまう。

 こうしたなかでいくつか疑問に思ったことがある。実名で日記を書いている立場上、大学内の問題について具体的にとりあげることはできない。あくまで一般論として述べると、
  • 大学の先生も分かりやすい授業をすべきで、教授法についてもっと研鑽をつむべきだとの議論がある。これは大いに結構なことであると思うし、学生側から授業の進め方についての評価を受けたり、教官が合宿研修などを通じてお互いの経験を伝え合う制度も充実させていく必要があるとは思う。ただ、いちばん大切なことは過度に人に頼らず、自力で学ぶ力を身につけていくことではないかなあ。

  • たまたま10/14の朝日新聞に、

    中央教育審議会の小委員会は13日、大学教育を受けるために十分な学力を持っていない新入生のために、高校の教員が大学の教員と協力して補習授業をすることを提言する方針を固めた。
    との記事があった。少子化がすすむ中で、大学によっては定員割れを起こし、基礎学力が不足している者を不本意ながら入学させざるを得ない事情があることはよく分かるが、そのために手取り足取り補習までするというのは少々過保護ではないか。図書館に補習教材を充実し、不足していると指摘を受けた学生が自分で学べるような環境を整えてやればそれでよいと思うのだが...。だいいち、AO入試なんぞでホンマに「意欲のある学生」がとれるんだったら、ちゃんと自力で補習をするはずではないか。

  • 大学のレベルや学部の教育内容にもよるとは思うけれど、少なくとも文学部にあっては、大学教育の基本は「自分で問題を見つけ、自分で解明する力を養う」ことにあるのではないかと思っている。中学・高校までのようにただ先生の言われたことを無批判に受け入れ期末試験で良い点を取るというだけでは、自分で学ぶ姿勢は身につかない。大学で「教え方が上手な先生」とは必ずしも話の仕方やプリゼンテーションが上手な先生であるべきとは思えない。学生の自主的な勉学を適切にサポートできる先生こそが本物の「教え方の上手な先生」ではないかと思うのだが...サービス過剰な時代、それでは付いてくる学生が居ないのだろうか。

  • 大学での英語教育についての議論では、高校までの英語教育とのリンクについての認識がまことに不十分。大学側でいくら立派な教育システムを作ったところで、しょせん、週2コマ程度しか実施できない。少なくとも、中学・高校6年間、あるいはひょっとして将来は小学校からの12年間も英語を学んでいてなぜ身につかないのかということをきっちり総括せずに、大学での英語教育の在り方だけを切り離して議論しても無意味ではないかと思う。

  • 「高校までの英語は受験英語で役に立たない」という主張もあるが、中学・高校の英語だってそれなりの成果を上げているのではないか。もし問題があるとすれば、現行の入試が集団で一斉に行われているために、せっかく育てた「英語力」のうち、筆記試験で測れる部分しか評価されていない点にあるとも言える。となれば、入試の段階で、もっと多面的に英語の力を測るような工夫をすべきである。そこでちゃんと英語のできる高校生を入学させることができるならば、大学で改めて英会話などの授業を開かなくても済むはずなんだが...。
なお、「よりよい授業」の実現をめざすための工夫については別に意見を持っている。明日以降の日記でとりあげることにしたい。
【ちょっと思ったこと】
  • 10/13の21時前のNHKローカルニュースによれば、岡山県警は管内の警察官100人余りを集めて、ネット上のハイテク犯罪防止のための講習会を開いたという。ところが映像で映し出されたのは、どこかの技術者が「インターネットとは」というような講演をしているところ。驚いたことに、ハイテク犯罪防止の具体的策というのは、受講している警察官たちが自宅でネットに繋いでいる時に違法な薬物売買などを宣伝しているサイトを見つけたら報告をするというものらしい。ということは、受講した警察官たちは、勤務時間終了後も自宅でネットに繋ぐノルマを課せられるということか。それとも、接続料金と電話代は警察持ちで好き勝手にネットに繋ぎ、たまたま違法サイトを見つけた場合に報告すればよいということなんだろうか。いずれにせよ、ここに「覚醒剤そのほかヒミツのお薬売ります」なんていう文字列を入れておいたらロボット検索でチェックがかかって、ここまでお出でいただくということなんだろうか(えっ、あなた警察官?)。何とも頼りない「ハイテク犯罪防止策」のように見えたが、私の単なる聞き間違いなんだろうか。ま、警察関係の方でWeb日記界に足を踏み入れた方が居られたら、とりあえず空メイルボタンなど押してからお帰りくださいませ。

  • 同じく10/13の夜のニュースで、従来の5段階評価とは別に生徒個人個人の入学時からの上達・習得の成果を本人にフィードバックするような評価法を学校教育に導入する方針であることが伝えられた。従来の5段階評価は、その時点での絶対的到達度を同じクラスや学年の中で相対評価するものであるため、個々人がいくら努力してもそれに応じた結果が与えられるシステムにはなっていない。個人別に個体内比較すれば、周囲がどうあれ、ストレートに努力の成果が見えてくる。これを具体化するには、プロダクトではなくプロセスをいかに評価するか(10/7の日記参照)、本人に対する単なるフィードバックだけでなく、AO入試などの自己アピール資料としてどう活かせるのかといった問題が残っていると思うが、基本的な発想はまことに結構。まさにこの日記で主張している内容そのものである。ひょっとして、某審議会の中に行動分析学に理解のある方が加わっているのだろうか、それとも、試行錯誤の末、結果的に行動分析学の主張と同じ結論に行き着いたのか、いずれにしてもまことに結構な方針であると思った。残念ながら、この方針がどこで議論され、いつ頃からどこに導入するのか聞き逃してしまった。正確な情報を収集した上で再度意見を述べたいと思う。
【本日の畑仕事】
夕食後の夫婦の散歩時に立ち寄ったところ、レタスが芋虫に喰われて無惨な姿になっていた。やむをえずオルトランをまく。
【スクラップブック】