じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 朝方、干上がる寸前の水たまりからエビ、ハゼ(たぶんヨシノボリの一種)、フナ?などを救出。岩の隙間から2匹目の鯰を捕獲した。さっそくドジョウを飼っていた水槽に追加。写真はその30分ほど後に、鯰2号(右)とドジョウ(左)が対面した様子。水槽のガラス面が汚れていて少々見にくくなっている。ドジョウが高齢であることを考え、噛みつかれる危険を避けてこののち別の水槽に移した。なお、水たまりは夕刻には完全に干上がっていた。


10月9日(土)

【思ったこと】
991009(土)[心理]心理学この百年(2)公開講座終わる/元良勇次郎・心理学通俗講話・『心理研究』誌

 昨日の日記に記したように、土曜日午後は岡山大学公開講座で90分の講義を担当。午前中はトレーナーに作業ズボンという格好で用水からナマズを救出していたが、昼食後は一張羅に着替えて講演内容のチェックと追加資料の印刷など。話し忘れたことがあっても次の回に補足できる通常の学部講義と異なって、こういう講座は1回勝負となる。それだけに伝えたい内容に的を絞り時間配分に気をつかわなければならない。

 昨日もとりあげたように、この講義では日本国内の心理学研究成立の経緯にもちょっとふれた。私が引用したのは元良勇次郎と松本亦太郎。

 このうち元良勇次郎(1858-1912)は『通史 日本の心理学』(佐藤達哉・溝口元、北大路書房、1997年)では「心理学研究者としてわが国で最初に自立し得た」人として紹介されている。私が引用したのは、1912年に創刊された『心理研究』巻頭にあった7項目の発行趣旨の言葉。この『心理研究』というのは我が国最初の心理学専門誌であるが、当時の公開講座のような企画「心理学通俗講話』の内容も活字化されており、通俗誌としての性格を併せ持っていた。幸い、岡大の図書館には第一巻が保管されており、そのままコピーしたものを資料として配付させていただいた。

 元良氏の示した7項目(漢字・仮名遣いを現代文に改めた原文は上掲書の161頁に引用されている)の中には、心理学に関する知識の普及、実際的応用への興味促進、教育・法律・芸術・精神修養などへの心理学の応用、海外の研究紹介、心理学に関係する時事問題の評論、読者との責任ある質疑応答、精神科学関連書の批評紹介などが掲げられている。投稿者の推定年齢(←心理学会名簿に大学卒業年が記されている)33.06歳、。最頻値27歳、殆どの論文が1回程度しか引用されないという現在の『心理学研究』(9月5日の日記参照)に比べると、『心理研究』は一般社会に開かれた内容と姿勢を持っていたことが読みとれる。

 なお、この『心理研究』誌は、『日本心理学雑誌』とともに1925年に廃刊。翌1926年から『心理学研究』誌に引き継がれた。次回は、松本亦太郎についてふれる予定。
【ちょっと思ったこと】
  •  このところNHKのミッドナイトチャンネルで「ためしてガッテン」の再放送をやっている。ビデオで録画などして拝見しているが、なかなかタメになる番組だ。

     この番組のユニークな点は、もっぱら小野アナウンサーが解説役にまわっていること。少し昔までは、この種の番組ではすぐ大学関係者を登場させて口べたな解説をさせることが多かったように思う。しかし今の時代、大学の先生が喋ったから常に正しいということにはならない。この番組のようにちゃんと実験をして理詰めで説いていかなければ、視聴者も簡単には納得しない。もちろん、小野アナウンサーの知性的な魅力があればこそ、という面も否定できないが。

     もっとも、もし心理学に関する話題を取り上げることになったとすると、衣食住の話題のように簡単な実験で納得するわけにはいかない。TV番組で紹介できる程度の心理学実験というのは、ある法則が最適の条件で成り立つという一例を示す程度のものに過ぎず、結果が出たからといって日常生活一般の行動について新しい知見が加えられるものでもない。心理学者が「そういう現象でしたらこんな実験がありますよ」と言うのと「そういう現象は、このTVゲームのこの場面にもありますよ」というのと大して変わらないと言っても過言ではあるまい。どうしても心理ゲーム風のエンターテイメントになってしまうところが、この種の教養番組で心理学を取り上げる時の難しさになるかと思う。
【本日の畑仕事】
サツマイモ、ミニトマト、ナスを収穫。水まき。
【スクラップブック】