じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 昨日のこのコーナーで記したように、大学構内を流れる用水が数日中に干上がる見通しとなった。昼休みに急遽、救出活動。橋の下の水たまりでピチャピチャと動き回る大きな魚を発見。すくい上げてみたところ体長30cmほどのナマズだった。写真左の枠が腕時計の表示面、円内はメダカ大のハゼ。東京生まれの私にとって、ナマズを捕まえたのはこれが初めて。さっそくドジョウを飼っている水槽に入れてみたが、ドジョウが喰われることは無いだろうか。ちょっと心配。


10月8日(金)

【思ったこと】
991008(金)[心理]心理学この百年(1)性理学、変態心理学、千里眼研究...

 10月2日から10月23日までの毎土曜日、岡山大学文学部で「岡山大学創立50周年記念 文学部教養講座 人文学と社会--この百年--」という公開講座(有料、申込み受付終了)が行われている。私もそのうちの1回分を分担しており、9日の午後に「21世紀に残る心理学・忘れ去られる心理学」というテーマで話をすることになっている。

 少々不穏当で挑発的なタイトルになってしまったが、要するに講座全体の企画目的に合わせて20世紀の心理学を振り返り21世紀を展望するという趣旨だ。

 わずか90分の講演なのでどこまで話せるか分からないが
  1. 現代心理学の成立の経緯
  2. 「心理学」という名前の由来
  3. 二次資料に頼ることの危うさ(パブロフの実験装置とアルバート坊やの「神話」のはなし)
  4. 日本の心理学研究成立の経緯
  5. 戦前と戦後の主たる研究の動向
  6. 現時点における心理学研究の問題点(学術誌論文の引用頻度、業績主義の弊害など)
  7. 21世紀に求められる心理学とは?
というような内容を考えている。

 ところで心理学の歴史というと、ヴントとかワトソンのことがすぐ頭に浮かぶけれど、日本国内での心理学の歴史のことは、私自身がかつて受けた授業の中でも殆ど取り上げられてこなかったように思う。これに関して今のところ参考になりそうな書籍と言えば『通史 日本の心理学』(佐藤達哉・溝口元、北大路書房、1997年)ぐらいのものだろうか。

 この本はまず前史のところで「心」という漢字が心臓の形から作られたものであること、やまとことばの「こころ」は「凝る」が語源ではないかといったことが記されている。「凝る」がどのようにして「こころ」に繋がったのかは定かではない。

 「心理学」という名前は、西周が1875年から1876年にかけて日本で最初に「心理学」というタイトルの本を訳出したことがルーツとされている。但し少し前にはpsychologyの訳語としては「性理学」という言葉もあてられていたという。「心理学」という訳語が安定したのは1887年頃というのが同書の分担執筆者太田恵子氏の見解だ。

 訳語のことで思い出したが、さいきん、ある出版社のセールスマンが「変態心理学」の復刻版のパンフレットを持った来た。この「変態心理学」というのは今で言うところのアブノーマル・サイコロジー(異常心理学)のことで、かつては東京帝大の講義題目にちゃんと掲げられていたという。「変態」という言葉が今のような使われ方をするようになったのはいつ頃からなのだろうか。ちなみに、「変態心理学」の講義が東京帝大から消えたのは、福来友吉博士の失脚をきっかけとしている。但し失脚の理由は、千里眼など超自然現象や心霊研究に端を発したものであり、上掲書の137〜155ページに興味深い経緯が記されている。
【ちょっと思ったこと】
  • 10/9朝のNHKニュースによればJR新幹線が、北九州トンネル内のコンクリートブロック落下事故のため新大阪以西で運転を見合わせているという。専門的なことはよく分からないが、トンネルや高架橋に使用されているコンクリートの材料にはかなりの比率で海砂が使われており、しかも除塩に手抜きの疑いがあると聞いている。似たような塩害は分譲マンションでも起こっているという。

    昨日の日記プロセスとプロダクトの話題を取り上げたが、瀬戸内海から砂を採取する業者の場合もコストダウンが至上命題。検査さえくぐり抜ければ、十分に除塩せずに海砂を売っても、手抜きがバレる数十年後に責任を問われる可能性は少ない。こうなると、21世紀を前に、交通機関は新幹線より飛行機、中古住宅はマンションより木造、という選択が好まれることになるかもしれない。
【本日の畑仕事】
ミニトマト収穫。水まき。
【スクラップブック】