じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

10月のインデックスへ戻る
最新版へ戻る
[今日の写真] 雨で喜ぶものたち。10月2日の日記に書いたように、稲の刈り取り時期を迎え、大学構内を流れる用水の取水が停止された。取り残された水たまりには魚やスジエビがひしめいている。10/6夜にかなり強い雨が降り、一時的に水たまりが拡大。。雨水と一緒に流されれば助かるかもしれないのだが、もともと同じ場所に居着くものたちばかり。強いものたちだけが流されずにここに居着き、やがて干上がってしまうとは皮肉なものだ。


10月7日(木)

【思ったこと】
991007(木)[心理]「行動を怠る」とはどういうことか(その5):プロダクトよりプロセスを大切にすること

 昨日の日記の続き。いろいろと考えを述べてきたが、結局のところは、安全管理行動のどの部分(=強化対象)を、誰が(=強化執行者)、どういう形で(=強化随伴性の質)で強化すればよいかという問題に行き着く。今日はこのうち、強化対象の問題について考えてみることにしたい。

 何かを製造する場合、勉強をする場合、スポーツ競技の場合、どれをとってもそうだが、「行動とその結果」を細かく見ていくと、「行動のプロセス(製造工程、安全管理、勉強の努力、練習など)が評価(あるいは強化)される場合」と「行動のプロダクト(成果、生産物、成績、勝敗など)が評価(あるいは強化)される場合」に分かれることに気づく。

 プロセスとプロダクトが完全に正比例の関係にある場合は、そのうち一方さえ強化すれば必然的に他方も強化される。頑張ればそれに応じて結果が現れるという場合だ。例えば100個の建築資材を別の場所に移動するという場合、1個1個の運搬に要する努力(プロセス)と移動量(プロダクト)は完全に正比例の関係にある。

 しかし機械文明が発達した現在ではむしろ、プロセスのすべてがプロダクトに反映するとは限らないことのほうが多い。例えば自動車のようなプロダクトは、ボディや部品を手作業で組み立てるよりもオートメーションで均一の工程で生産したほうが結果的に安全で質のよいものが出来上がる。

 資本主義社会は、本質的にプロセスよりもプロダクトが評価される社会であると言える。競争原理が効果を発揮するのもプロダクトの質と価格だ。プロセスが評価されるのはごく一部の職人芸に限られてしまう。プロダクトに直接反映しないようなプロセスは出来る限り省力化されていく。このこと自体はコスト削減と大量生産をもたらすという点で決して悪いとは言えないのだが、同時に、安全管理を怠りやすい状況も作り上げてしまう。今回の臨界事故も結局はコスト削減に起因していたようだ。

 高度に発達した資本主義社会と言えども、プロダクト最優先に対する反発というのもある。機械製品よりも手作りの工芸品を良いものと見なすのがその一例。有機無農薬栽培も、生産物の味や残留農薬の測定値というプロダクトではなく、むしろそういう作り方をしましたというプロセスで買われることのほうが多い。偏差値教育が批判されるのは、勉強の努力(プロセス)ではなく成績や相対順位(プロダクト)で評価されるため。

 少々脱線してしまったが、今回記したことをまとめると
  • プロダクト最優先という状況では安全管理というプロセスは軽視されやすい。
  • 安全管理行動それ自体も、細かいプロセスに分けて強化されていかなければならない。
  • 「結果として危険は無かった」、「今回は大丈夫だったが...」というのはプロダクトだけに注目した偏った見方であり、安全管理の改善を疎外する。
なお、このテーマについての次回の連載は来週以降とさせていただく。
【ちょっと思ったこと】
  •  このところ2000円札のことが話題になっているが、私個人は平日は殆どお金を使わない。研究室までは自転車で通勤しているし、生協の買い物はすべてTuoというクレジットカードで支払い。自販機は全く利用せず。現金を使うのは休日に外出した時ぐらいのものだが、それでも、岡山COOP、ガソリンスタンド、近隣のホームセンター、ファミリーレストランなどの支払いは殆どカードで済ませている。

     そんななか、たまたま息子が定期を更新するというので財布を開けてみたところ5000円札があった。以前にも日記に書いたことがあるが、この5000円札というのは見れば見るほど奇妙なデザインだ。
    • 表の地球では北アメリカがやたら大きく描かれている。
    • 「五千円」の両側に半分に割れた菊紋がある 。
    • 裏の富士山の絵を上下逆さに見ると、富士山とは似ても似つかない山が現れる。
    ※このことを指摘されたのは、日記猿人にも登録されている「香港返還後ドキドキ日記」の作者の遠山さん。私の1997年8月31日の日記にそのことを引用させていただいたことがあるが、残念ながら当該記事はサーバーに残っていない模様。

【本日の畑仕事】
ミニトマト収穫。大根用、チンゲンサイ、ホウレンソウの種まき。
【スクラップブック】