じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] ツマグロヒョウモンのメス。少し前に天地無朋のTakeda Kazunoriさんが9/9の日記で今年はツマグロヒョウモンをあまり見かけないと書いておられたが、大学構内では毎日4〜5羽(「頭」と呼ぶのが正しかったか)が飛んでいる。大きめの蝶々としてはアゲハより数が多いのではないかと思う。鳥に喰われそうになったのか蜘蛛の巣から逃げ出したのか、この写真にもあるようなボロボロの羽根の個体をたまに見かけ、そのたくましさに心を打たれることがある。なぜかボロボロの羽根で飛んでいるのはメスばかり。擬態の効果でメスだけが何とか生き延びるのか、それとも擬態が裏目に出てメスばかりが狙われるのか不明。

9月20日(月)

【思ったこと】
990920(月)[一般]タバコとお酒が食道がんに与える影響

 9/20の朝日新聞によれば、愛知県がんセンター研究所はこのほど同センター病院で食道がんと診断された284人の患者と、来院した他の非がん患者4万4000人を対象に喫煙と飲酒の状態についてのアンケート調査を行いその結果を29日からの日本がん学会で報告するという。

 それによれば、飲酒と喫煙のいずれの習慣を持たない人が食道がんになる危険度を1.0とした場合、飲酒習慣は無いが毎日1箱(20本)以上のタバコを30年以上吸っていた人の危険度は3.9、喫煙習慣は無いが毎日1.5合以上の飲酒の習慣のある人の危険度は8.2、毎日1箱以上の喫煙と1.5合以上飲酒の飲酒の習慣が両方ある人の危険度は29.9になるという。

 このデータは長期間の飲酒や喫煙はよろしくないという啓蒙効果をアピールする上で有用であろうと思うが、純粋に統計的・医学的にとらえた時にはいくつか問題があるように見える。

 まず、新聞記事を読む限りでは、サンプルが食道がん患者と、非がん患者に限られており、健康な人のデータが全く含まれていない点。例えばここに通院する非がん患者の中に長期療養中の人が多数含まれていたとする。そういう人達は医者から飲酒や喫煙を禁じられている場合があるので、健康な人達よりも喫煙や飲酒の比率が低いという可能性がある。それと、来院者だけしかサンプルになっていないというデータの特質上、「食道がんにならない」というのは「食道がん以外の病気になる」ということと同義であるようにも見える。

 このほか、生活上のストレスの差が考慮されていない点も気になる。仮に食道がんの本当の原因はストレスであり、飲酒や喫煙は全く無関係であったとしよう。この場合でも、もし仕事や人間関係上のストレスが飲酒や喫煙を習慣化する原因になっているとするならば、見かけ上、それらの習慣をもっていてがんになる人の比率は高くなる。つまり、ストレスが一方で飲酒や喫煙を習慣づけ、その一方でがんを引き起こすというもの。この場合、生活環境を改善せずに飲酒や喫煙を中止しても必ずしもがんの予防にはならない可能性がある。

 以上はあくまで素人としての推測にすぎない。研究発表そのものはしっかりした内容になっているのだろうが、新聞記事の数値だけはそれが伝えられていない。こういう数値だけが独り歩きして誇大解釈につながってはならないという事例として、クリティカルシンキングや統計の授業の教材に使えそうな気がする。
【思ったこと(2)】
990920(月)[天文]明るい木星、火星とアンタレス、仏滅の名月

 夕食後の夫婦の散歩の時に、東の空の木星を眺める機会が多くなった。木星ってあんなに明るかったかなあと思って『天文年鑑』で調べると10月22日に地球最接近となり-2.9等の明るさを放つという。金星ほどの明るさはないが、真夜中でもずっと見えているだけにひときわ目立つ。

 木星の左下には土星も見えるようになった。これからますます宵空高く輝くようになりし、オリオンやシリウスなどとともに冬の夜空を賑わすことだろう。

 天文の話題を2つほど追加しておく。1つは日が沈んだあと西の空に輝く赤い星2つ。やや北側にあるのが火星、その横がさそり座のアンタレスだ。9月中旬が最接近となる。火星の近くにはじつは冥王星もあるのだが、我々の望遠鏡では到底眺めることができない。

 9月24日(金)は仲秋の名月。後楽園でもお月見の夜間開園があるはずだ。ちなみに、仲秋の名月は必ずしも満月ではない。今年の場合は、翌9月25日(土)の19時51分が満月。それと、旧暦の「月」と「日」を足して6で割った余りが5となる日は必ず仏滅、割り切れる日は必ず大安。仏滅の日に仲秋の名月を眺めるのがよいか、それとも大安の日に満月を眺めるのがよいか。判断に迷う人も居られるかもしれない。
【今日の畑仕事】
ナス、ミニトマト、人参、オクラ、瓢箪を収穫。オクラと人参は八百屋さんで売っているものと比べて硬すぎて評判が悪い。
【スクラップブック】
  • 文部省は20日、国立大学の独立行政法人化を実施する考えを正式に表明。教職員の身分は国家公務員を維持され、各大学の運営は国費でまかなわれ「国立」の名称は存続する見通し。その一方、評価によって交付金に大学間格差が生じること、個々の大学が給与の基準を独自に定め高待遇で優秀な研究者を招くことが可能になる見込み。