じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] イラン・シラーズのエラム宮殿。ガイドブックによると、19世紀に建てられたガージャール朝の代表傑作だという。水路両脇の青っぽい花はアゲラータム。できればイラン独自の砂漠の花を植えてもらいたいところだったが、イランの人々にとっては逆に露地は見かけない美しい花で飾りたかったのだろう。

9月13日(月)

【思ったこと】
990913(月)[心理]生きがい本の行動分析(6):行動分析的視点で何が分かるのか

 今年の日本心理学会(中京大学)と行動分析学会(北海道医療大学)の年次大会の個人発表では、私はいずれも生きがい・働きがい問題を取り上げた。これは、
  • 近年の経済不況のもとでの人員整理、少子化に伴う人口構造の高齢化、介護保険制度の導入などを迎えるなかで、生きがいの問題を多面的に検討する重要性がますます高まっていること。
  • しかしながら、これまでに行われてきた研究は、意識調査、もしくは保険、年金、医療、介護など行政サイドの項目についての調査が主体であり、そもそもどのようにして生きがいが形成されるのか、もっと生きがいが得られるような環境づくりのためにはどうしたらよいのか、ということについてはあまり具体的な検討がなされてこなかったこと。
を背景としている。では、行動分析的な視点で生きがいをとらえると何が分かるのか、どういうメリットがあるのか? 会場でも何度か同じような質問をいただいたのでこれを機会にまとめておきたいと思う。

 行動分析学的視点から生きがい問題をとらえるということはまず、「どういう状況のもとでどういう行動が自発され、それにどのような結果が随伴しているか」という行動随伴性の概念を導入することが中心となる。これに付随して、
  • どういう確立操作(好子や嫌子の効力を変えるための操作)がはたらいているのか
  • 随伴する結果は生得的な好子(or嫌子)であるのか習得性好子(or嫌子)であるのか
  • 習得性好子である場合、それはどのようにして形成されたものなのか
  • 結果の随伴のしかたは規則的か不規則的か(→強化スケジュールの問題)
  • 結果は行動に内在的なものか、第三者によって付加されたものか
  • どのようなルール(行動随伴性を記述したタクト)が有効にはたらいているか
  • そのルールを守る行動は、直接的には何によって強化されているか。
といった分析を行う。これによって「生きがい論」全般を体系的に分類したり、いろいろな人への聞き取りを通じて実態を把握することが可能になり、さらにはよりよい生活環境の整備、生きがいを喪失している人々への有効な働きかけが可能になるというのが一連の研究を進めるにあたっての見通しということになる。

 会場ではもっと根本的に「そもそも生きがいをどう定義しているのですか」といった質問もいただいた。これについては「これが生きがいであると証明された」とか「生きがいはこうあるべきだ」といった考えは上記の指針からは決して導き出されないように思う。とはいえ、1979年の来日の際の講演でスキナーが指摘した
Happiness does not lie in the possession of positive reinforcers; it lies in behaving because positive reinforcers have then followed. 正の強 化子を手にしていることではなく、それが結果としてもたらされたがゆえに行動すること」(訳は 佐藤方哉訳、行動分析学研究、1990, 5, p.96)
という考えは、分析をすすめる際の重要な柱になると思っている。これは、
  • 行動せずに好子だけを受け取っても生きがいにはならない。
  • 行動しても何も結果が伴わなければ生きがいとはならない。
  • 結果が伴わなくても生きがいだと感じるのは、本人が結果に気づいていないだけだ。
  • 行動しなければ決して生きがいは得られない。
ということを意味している。これが正しいかどうかは経験的には証明できないと思うが、現実のいろいろなケースを調べることで、これまでより的確な見方と言えるのか、あるいは別の見方のほうがより的確であるのかということはある程度分かってくるだろう。次回以降に続く。
【イランで思ったこと(14)】イラン国内での日食報道


天文雑誌『スカイウォッチャー』で知られるアストロアーツ皆既日食オーバービューのページの中に、新聞の一面にみる各国の日食報道という特集がある。残念ながら9/13の時点ではその中にイランが含まれていないので、ここでそれを補ってみたいと思う。

 上段と中段の6紙が、日食当日(8/11付、上段左のみ)およびその翌日(8/12付)の主立った新聞の報道。コロナの写真を大きく載せているものもあったが、いくらなんでも日食前に撮影できるはずがない。過去に別の場所で撮影された写真をそのまま転載したものが多いように思われる。

 アストロアーツのトルコの新聞報道と比較するとイランのほうがやや地味な印象を受ける。もっとも私はペルシャ語を全く読めないので、あくまで紙面のスペースからの推測にすぎない。中段の真ん中と右側は英文紙。この記事では、イラン国内各地の様子のほか、外国人観光客に不安を与えるような動きがあったことは外貨獲得にマイナスであったこと、再三の警告にもかかわらず、専用サングラスをせずに太陽を見つめたことで眼にダメージを受けた人が各地で続出したことなどが報じられていた。

 下段左と下段真ん中は、翌々日朝にシラーズのホテルで見たハイライト番組。左側のほうは、真ん中にコロナの映像、背景に皆既時の都市の様子を映し出していた。下段真ん中はKerman市で撮影されたコロナの写真。

 アストロアーツでは各国の日食グッズも紹介していたが、イランでは特製サングラスと記念切手以外にはグッズらしきものには出合わなかった。下段右は記念切手。日食前に印刷されたものなので、過去の日食写真を参考に適当にイラスト化したものと思われる。
[イランの写真] [イランの写真] [イランの写真]
[イランの写真] [イランの写真] [イランの写真]
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【ちょっと思ったこと】
【今日の畑仕事】
ミニトマト、ピーマン、ナスの収穫。
【スクラップブック】