じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] ブロンズ・フェンネル。名前の通り、新芽や茎全体がチョコレートっぽい色をしている。昨年秋に行きつけの花屋で購入。


7月7日(水)


990707(水)[一般]7月7日の7時に大災害が起きると「予言」した人のデタラメと勇気と、それを聞き流したネットの健全さ

 いまから4年前の7月7日の朝、私がまだブラウザを持たず、PC9801vmでパソコン通信とニュースグループ(fj)に参加していた頃、あるニュースグループに、1999年の7月7日の7時(グリニッジ時)に大津波がやって来て14万4000人しか生き残らないのでお祈りをして避難の準備をしようと呼びかける長文の投稿が寄せられた。それから4年がたち、とうとうその日がやってきた。結果はいま我々がこの目で見てのとおり。この方の予言は見事に外れ、何事もなく七夕の夜を迎えたのであった。

 この発言をした方は専用のHPも作っておられる。7/7の朝にどういうメッセージを出しているのだろうと記録を辿ってアクセスしてみたところ、HPそのものはちゃんと残っていたが今年の3月17日以降は更新されていなかった。そこに記された「予言」によれば、“日本の場合、太平洋側は、すべて500m〜最大2000mを超える高さの大津波に襲われ、壊滅します。”とか、“沖縄諸島、八丈島、大島などのすべての島々は、大津波や大雨や大洪水によって海面下になってしまいます。”などと記され、さらに“栄養バランス食品と水を200日分を用意”しろとか、船を用意しろとか、“船に乗らなければならないので、同乗する乗員の一人が、船の免許を持っていることが必要。”などときめ細かな避難の準備の指針が記されたままになっている。さて?この方。当日はホンマに避難したのだろうか、その後の行動をぜひ知りたいものである。

 ところでこうしたデタラメな「予言」を不特定多数に向けて発信することは、どこかで問題にならないのだろうか。気象災害関連のサイトを調べてみたところ、こんな法律があることが分かった。
気象業務法第三章

(警報の制限) 第二十三条  気象庁以外の者は、気象、津波、高潮、波浪及び洪水の警報をしてはならない。 但し、制令で定める場合は、この限りでない。
となると、ネットニュースやHP上で具体的な日付を付して津波などの警報を流布することは厳密には法令違反をしていることになる。これを誰も咎めなかったのは、あまりにも根拠に乏しく、常識のある人間がこれに惑わされて経済的損失あるいは恐怖をいだくことはあるまいと判断されたためかもしれない。万が一にもこの「予言」を信じ込んで、家を売って船を購入した人が居たとしても、おそらく裁判で損害賠償を請求することはできまい。そんなばかげたことを信じるのは本人の自己責任であると判断されるに違いない。

 じっさい、4年前においても、ネットニュース界はこうした投稿にきわめて冷淡であり、まともに追随するようなフォローは全く現れなかった。法令などで規制をしなくても、そういうデタラメな煽動に惑わされない健全さがすでにネットニュース界にあったと言えよう。

 このほか、元の投稿に初歩的な勘違いや的はずれな記述が含まれていたことも信頼性を低下させていた。
  • 1つは1995年7月7日の時点で「あと5年間しかない!!!」と警告していたこと。1999-1995=4だから、じつは「あと4年間」しかなかったのだ。
  • 第2に、この方のHPでは、大津波が起こる時刻を“1999年7月7日(水)グリニッジ世界標準時で午前7:00(日本時間では、15:00)”としていたことだ。グリニッジ時と日本標準時の時差は9時間であって、これはイギリス国内でどのように夏時間が施行されていようと関係の無い時差である。
  • このほか、“船に乗らなければならないので、同乗する乗員の一人が、船の免許を持っていることが必要。”というくだりも、少々とぼけた表現だ。14万4千人しか生き残らないのだったら、免許を持っていない人が船を動かしたとしても取り締まられることはありえないだろうに。


 いずれにせよ、予言は外れたわけであるが、1つだけ、この方の勇気を称えてもよい点があるように思う。それは、思いこみや妄想があったにせよ、とにかく検証可能な形で何かを予言したということである。たいがいの占い師や予想家は、自己の保身をはかるために、そもそも検証可能な形の予言などしない。かりに何らかの結果を予想する場合でも、それが外れた時のために、ちゃんと言い訳を用意している。例えば「投手が活躍すれば阪神は優勝するだろう」といった予想。これなら外れても「それは投手が活躍しなかったからだ」と言い訳ができる。

 5年ほど前には、今回の「予言」に限らず、1999年の7月から8月に人類に大危機が生じるなどと吹聴して「警告本」で大儲けした人たちがいた。このまま何事もなく7月〜8月が過ぎれば、これらの中には自らの誤りを認めずひたすら言い訳で保身を図ろうとする人・団体が出てくるに違いない。日記猿人参加者のYujiさんは6/30の日記で、以下のような言い訳はしないで欲しいと述べて居られた。
  1. 私が予言したんじゃありません。(責任転嫁型)
  2. 月や時期が正確に解読出来なかった。でも近い将来に起こるかもしれない。(すり替え型)
  3. 実は、7月に○○が起こってるんです。別の解読法では、○○のこととも取れます。(強引な当てはめ型)
  4. 予言を行った頃と地球の環境が違っちゃってますから。(他の要因型)
このほか、自分たちの祈りが通じたので危機は免れたとする「成果強調型」、外れたことは認めるが地球環境保護や防災体制確立のために貢献したという「結果的によかった型」などが現れるかもしれない。ま、どうしようと勝手と言えば勝手だが、みっともない言い訳をするよりは素直に過ちを認める人のほうを私は評価したいと思う。

※<7/8追記>上記でとりあげた「予言者」のHPを再度チェックしたが、7/8の朝8時の時点でも何ら更新されていなかった。
※<7/8追記その2>具体的な時期を想定して災害の警告を発した本としては『富士山大爆発』(1982年、相楽正俊著、徳間ブックス、ISBN4-19-502580-X)というのがあった。この本のカバーには、1983年9月に富士山が噴火する確率は90%であると記されていた。古本屋の100円均一コーナーでたまに見かけるので当時は結構売れたのだろう。
【ちょっと思ったこと】
【新しく知ったこと】
【生活記録】
  • 21時38分頃、白鳥座の下を北から南に移動するイリジウム68号を家族全員で眺めた。マイナス1等級でやや暗いが七夕の夜空を通過したという点で意義深い。そのあと22時17分すぎには、西南の空の低いところを通るイリジウム15号を観察。こちらはマイナス6等級。
【今日の畑作業】
  • キュウリ2本、ミニトマト、ジャガイモ・アンデス種、枝豆を収穫。
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。)】