じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] サワトウガラシ(たぶん)。この時期、岡大構内の芝地にごく普通に見られる雑草。写真奥の建物は旧日本軍の師団・旅団司令部跡で現在の岡大事務局。2階には学長室がある。そういえば4/27には学長選挙があり、夕刻に当選者が決定したところだった。


4月27日(火)

【思ったこと】
990427(火)[数学]三角形の2辺の和はなぜ他の1辺より長い?

 中学2年になった息子が難しい数学の問題をもってくる。難しいと言ってもややこしい計算をする難しさではなく、当たり前に思われることをどう証明するのかというような問題であった。今晩の問題は、
△ABCにおいて、AB+AC>BCであることを証明せよ。
という問題。息子が最初に考えた解答は以下のとおり(私のほうで言葉を補ってある)。
[息子の解答]
  1. AB+AC≦BCであったとする。
  2. BC上に点BからABと同じ長さ分の点P、点CからACと同じ長さ分の点Qをとったとき、点PとQは重なるか(AB+AC=BCの時)、その間に隙間ができる(AB+AC<BCの時)。
  3. 線分BPをBを中心に回転させ、線分QCをCを中心に回転させても点PとQが重なることは無いので三角形を作ることができない。
  4. よってAB+AC≦BCは否定されたのでAB+AC>BCであることが証明された
 しかしこの解答は、2.のところで証明の結果わかることを使っているので間違いであると採点された。正解は、「三角形の最大内角に対する辺の長さは最大である」という定理を使うもので、さらにその前提として「△ABCにおいてAB>ACならば角C>角B」という定理が使われている。そういえば30年以上前にそんなことを勉強したような記憶がよみがえってきた。

 さて、ここで問題になるのが息子の納得のしかただ。息子は「自分の解答が間違っていたのは、あまりにも当たり前のことを使ったからだ」と思っているようだ。しかしもし
  • 線分は回転移動しても長さが保存される。
  • 線分BC上に点P、QがあってBP+QC<BCである時、線分PQは、BP及びQCとは重ならない。
ということを公理として採用するならば、息子の解答でも正解ということになるはずだ。息子の解答が不正解とされた本当の理由を、30年ほど前の記憶をたどりながら考えてみるに、
  • ユークリッド幾何学では、「平行線と直線が交差してできる同位角は等しい」が公理とされている。
  • そこから三角形の2つの角の和は外角と等しい定理が導かれている。
  • そこからさらに、「三角形の最大内角に対する辺の長さは最大である」が導かれているので、これを前提とした証明が可能。
ということでは無かったかと思う。といって、このことを息子に説明するのは容易ではないなあ。

 余談だが、こういう問題に熱中していた30年前には、人生論とか哲学のようなものも、少数の公理から出発して論理的に構築できるものだと信じ込んでいた。しかし心理学やら行動分析学やらを学んで悟ったことは、
  • 人生論の前提となるような公理など存在しない。
  • いっけん公理のように思われる法則も、成り立つ場合と成り立たない場合がある。
  • 行動科学の基本は、ローカルに成り立つことが確認された法則について、その生起条件を探索し、効果の及ぶ範囲を確定することにある。
といったところだろうか。

 行動分析学でよく出てくる「行動随伴性」というのも決して公理ではなく、むしろ
行動現象をとらえる時に「行動がたくさん起こっているならばそこに何らかの結果が随伴しているに違いない」という切り口を与える概念であり、その妥当性は予測と制御の有効性にかかっている。
というようなものであろうと考えている。
【ちょっと思ったこと】
  •  西武の松坂投手が初のプロ完封勝利を達成したという。この場面を朝のNHKニュースで見ていたところ、相手チームのユニフォームに「マリノス」というような文字が刻まれている。あれ?そんなチームがパ・リーグにあったかなあ、マリノスというのはJリーグのチーム名ではなかったかなあ、などと不思議に思って朝刊で確認したところ、ロッテのことであることが分かった。
     学生時代はけっこう熱烈な阪神ファンだったのだが、このところTVで野球の中継を観ることが全く無くなった。数年前のスポーツ新聞に「青波...」という大見出しがあった時にも、はて?そんな有名選手が居たかなあなどと思ったぐらいで、最近では正式なチーム名すらスラスラ出て来なくなった。私に馴染みのある名前と言えば、「ホエールズ」、「オリオンズ」、「ブレーブス」、「フライヤーズ」などなど。一時期「アトムズ」なんていうのもあったなあ。ま、阪神にマジックが点灯するようになったらまたTV観戦することにしようか。プロ野球ファンの方、ごめんなさい。
【新しく知ったこと】
  •  4/27の「たけしの万物創世記」は「寄生」が話題。最初の20分ほどしか見なかったけれど、サナダムシの名前が真田幸村の父親の刀の束についている紐に由来するとは知らなかった。あとで『新明解』を調べたところ、平たく編んだ木綿の紐のことを「真田」と呼ぶことが分かった。

     番組ではお腹の中にサナダムシを飼っているという有名教授の話や、サナダムシで肥満を一気に解消した女性の事例が紹介されていたが、確かに寄生虫が絶対悪であるという根拠は無い。スギ花粉症が国内で最初に発見された1963年が寄生虫感染率の大幅低下の時期に一致しているということにも納得がいく。もっとも花粉症の原因としては戦後のスギ植樹の影響、化学繊維や環境汚染、食品添加物、抗生剤などの影響も慎重に考えていく必要があるとは思うが。

     遺伝子操作が進歩した現在、脂肪や糖分を適度に吸収し、無害でかつ繁殖能力の無い寄生虫を開発して体のなかで飼育すれば、薬物による成人病治療よりも遙かに体にやさしい治療ができるかもしれないとは思う。といっても、セックスの最中にお尻から遺伝子操作回虫がニョロニョロ出てきたら気味が悪いだろうなあ...。
【生活記録】
【5LDKKG作業】
  • 乾燥が続いたのでホースで水撒き。一部の苗に液肥とオルトランをかける。
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。)】