じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] サイネリア。右側に咲いている青い縁取りのある白花の鉢を買ったつもりだったが、最近になって、紫、赤、純白の花が目立つようになってきた。まさか、青の縁取りは薬で処理されていたものではあるまい。たぶん鉢の中に別の色の株が混じっていたものと思うのだが...。


3月19日(金)

【思ったこと】
990319(金)[一般]「980円は安い!」の魔術

 夕刻に量販店「メ○マート」に買い物に行った。この量販店は、開店当初からあえて980円の魔術に逆らって、777円、9700円というように「8」を「7」に読み替えて、「980円よりさらに安い」という「一段の安値感」をアピールする店であった。ところが久しぶりに訪れてみると、かなりの商品が「8」を主体とした価格に設定されていた。おや、一段安術感はヤメテしまったのだろうか?とふと思った。

 物を安く見せかけるトリックとして、980円に価格を設定することがある。これは小売りに携わる人が経験的にあみ出したセールスの技法であり、ずっと昔から行われているようだ。中学生の頃、同じ装飾品を920円で売った場合と980円で売った場合、980円のほうがはるかにたくさん売れ、購入者自身も割安感を持つという実験をTVでやっていたのが記憶に残っている。

 980円というのはあくまで一例にすぎない。98円、1980円、3980円、9800円、12800円、14800円.....など。いずれも、100円、2000円、...1万円といったキリのいい価格を20円や200円だけ「値引いて」、割安感を出そうとするもの。920円でなく980円のほうが割安に見えるのは、980円の時は「1000円より20円より安い」という印象を与えるのに対して、920円は1000円から離れすぎているため900円のほうが基準になってしまい「900円より20円高い」という印象を与えてしまうためである。

 もちろん心理学の研究も多々あると思うが、上にも述べたように、この技法は実験室で実験を繰り返した上で見いだされた結論ではない。あくまで経験則が先行している。心理学の「理論」がどうあれ、要するに、まず、我々は物を買う時に、もし日頃から相場を知っていればその価格を基準にする。相場が分からない時には、メーカー小売り希望価格(キリのいい値)をもとに、何千円とか何万円といった基準が相場であると思いこまされてしまい、そこからのプラスマイナスで割安・割高を判断してしまうということだろう。

 上記のメ○マート以外の店はどうしているのだろうと、最近の新聞折り込みチラシの価格を調べてみた。下のリストで「n」で終わる価格とは、数値の一番下の位で「0」以外に初めて現れる数字が「n」になっている価格という意味。例えば1230円ならばn=3、20万円ならばn=2となる。7980円や148000円ならばn=8だ。n=8が多ければ、980円の魔術が使われていることが分かる。なお、複数商品の均一セールは1点に数えた。大ざっぱなチェックなので、細かい数値に誤りがあるかもしれない。また両面印刷のチラシは半面しかカウントしていない。念のため。

折り込みチラシ各店の価格の一番下の位の数字(ゼロ以外)
店舗名(主な商品と価格帯)123456789
ダイ○ー(チラシ半面の家電、寝具、日用品)
120円〜99800円
__2__2__2__5__2__3__1111_24
ト○ス(チラシ半面の家電品)
150円〜147000円
__0__0__0__1__1__1113__1__1
イ○ーヨーカドー(チラシ半面の家電、日用品、食品)
85円〜178000円
__3__2__1__1__5__0__0_60__2
T○CCコンピュータ(チラシ一部のパソコン)
139800円〜348000円
__0__1__0__1__3__0__0_17__0
デ○デオ(チラシ半面のパソコン、オーディオ、テレビ、クーラー)
480円〜194000円
__0__1__1__2__1__0__1_66__2
青○(チラシ半面の衣料品)
100円〜23800円
__3__0__0__0__1__0__1_28_10
はる○ま(チラシ半面の衣料品)
1000円〜51800円
__2__1__0__0__1__1__3_11__9
UNI○LO(チラシ半面の衣料品)
690円〜9990円
__0__0__0__0__0__1__0__0_58
天○屋ハッピータウン(チラシ半面の食料品、衣料品)
78円〜1980円
__2__2__1__1__3__2__1_21__1
鳥○本店(家具)
200000円〜688000円
__0__1__1__0__0__0__1_22__0
ピザ・ウ○リー(チラシ一部のピザ本体のみ)
880円〜3280円
__0__0__0__0__0__0__0_53__0

 ざっと見渡してみたところ、やはり980円の魔術を使っているところが多いようだが、ダイ○ーの系列店であるト○スなどは、「一段の安値」効果を狙ったのか、7で終わる価格が圧倒的多数を占めている。また、UNI○LOのように、店名に引っかけたのか、殆どすべての価格を9で終わらせている店もあった。

 もし各業者が、可能な限り価格引き下げにつとめているのであれば、1から9の数字は等頻度に出現するものと予想される。7〜9で終わる価格が多いということは、やはりそこに、割安感を出そうという営業上のトリックが仕組まれていると考えざるをえない。

 とはいえ、これは消費者側にも責任があるだろう。同じ品質のものなのに920円より980円のほうを買う消費者が多ければ、売る側だってわざわざ920円に引き下げるメリットは何も無い。先日、最初から値引きした価格でバーコードを貼っておきながらわざと値引きしたように見せかけて食肉を売る商法について取り上げていたけれども、これとはやや性格が違う。そういう意味では「980円の魔術」は、お客の不満を軽減するためのトッピングのようなものであるとも言えよう。

※<3/20追記> 発端となったメ○マートの買い物袋の中から、その後、最新の売り出しチラシを発見。115点の商品すべてがn=7の価格になっていた。「一段と安値」路線は健在だったようだ。
【ちょっと思ったこと】
  •  3月20日の朝日新聞文化欄(鈴木京一氏)によると、君が代が国歌扱いとして定着するのは1930年代から。日の丸も1870年に太政官布告で「商船国旗」とされたのが国旗扱いの始まりで、国旗掲揚台が登場したのは昭和期に入ってからという。

     「戦争に負けるたびに国旗や国歌を変えるのはどうかと思う」というような論調が一部に見られるけれども、そもそも「〜するたびに」というほど国旗や国歌を変えた歴史は無い。というより、国旗を揚げたり国歌を唱和する慣習は欧米起源のものであって、日本古来の文化として定着したものではない。この点も今後の議論において考慮していく必要があるかと思う。

    ※反論・ご意見がある場合はご自分のHPにてお願いします。
【生活記録】
【5LDKKG作業】
  • 雨のため殆ど作業無し。鉢植えの花を2個運んだだけ。
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。)】