じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 満開の桃の花。実験室前の実生の桃の花がいよいよ満開となった。例年よりちょっと早いような気がする。


3月17日(水)

【思ったこと】
990317(水)[心理]最近の学生の悩みのカタチ

 昼休みに学内の保健管理センターの精神科医の先生の小講演を聞いた。話題の性質上、ここでは一般性があり、かつ不特定多数に公表しても問題ないと思われる部分についてだけ記すことにしたい。

 まず、講演のタイトル(上に揚げたタイトルと同じ)の最近のという部分について、このようにタイトルをつけたものの過去との比較はできないというお話があった。毎年毎年、青少年がショッキングな事件を引き起こすたびに「最近の若者はキレやすくなった」などという主張がマスコミを通じて強調されるけれど、ホントのところは分からないという御指摘だ。これはたいへん重要なことだと思った。
私自身のところにも、昨年12月に「岡山県内で起こった十大ニュースについてその心理を説明してください。」などという依頼がきたことがあるが、私は「珍しい事件ばかりを集めても、その年の世相の本質を把握したことにはならない。地味でニュースネタにならないような事件の比率がどう変化したのかを客観的に把握することが先決で、珍しい事件をセンセーショナルにとりあげ事後的コジツケ的に解説して世相の変化であるように論じるのは反対だ。」と指摘したことがあった。

 配布された資料から、過去5年間にセンターに相談に来た学生は明らかに増えていることが分かる。これもグラフだけを見ると、「過去5年間に、悩み事を抱える学生が急増した」という結論を出しがちであるが、実際は、5年前から、センターの精神科医が非常勤から常勤に代わったことが大きく影響している可能性があるという。常勤化されれば継続的に精神科医を頼ってくる学生も増える。こういう背後の事情を考慮せずに「最近の学生は...」と言ってしまってはいけない。

 グラフをよく見ると来談学生数は5年前から急増したあと、96年度から97年度にかけて上昇がとまっている。見かけ上は、これもまた、「悩みをかかえた学生の数は、この2年間でほぼ一定レベルにとどまるようになった」と結論しがちであるが、実際は、受け入れ側の限界を示すものであるという。来談者が増えすぎれば、診療のクォリティも下がらざるを得ない。となると、継続的に相談に来る学生も減ってくる。しかし、ある程度減れば、またまたクォリティが向上して再び来談者の数が増える、この繰り返しにより見かけ上安定したレベルを保つことになるのだという。

 次に診断別の分類の話題となった。しかし、精神科医療の場合は、担当医の姿勢、学生側の事情によってこうした統計は大きく変わるものだという。配布資料では、精神医学的に「健康なもの」と「診断がつくもの」との比率が統計で示されていたが、この比率はその時々の担当医が医療モデルでとらえたがる医者かどうかによって大きく変わるし、病気であると診断したほうが安心する学生もいればその反対の学生もあって、必ずしも客観的基準だけで機械的に分類できるものではないらしい。

 このほか「適応障害」というのは、「病気にはあてはまらないがとりあえず診断をつけよう」として精神科医がこしらえたようなネイミングであって、あまり当てにならないところがあるという本音をもらしておられた。

 大学生の場合、自分についての悩みの多くは、大学生になって自分をやっと客観的に見つめられるようになったことによって生じることが多いという。中学・高校の6年間、とにかく「勉強すれば道が開ける」という「妄想」にとりつかれ、ホントの人生ではなくバイパスを生きてきた学生が、やっと成長して自分をみつめ他者と自分を比較するようになる。センスの無い者は自分の格好の悪さにも気づかないが(←私などその典型ですなあ)、成長してセンスが磨かれてくると妙に周りが気になるようになる。それと同じようなところがあるのだという。

 このほか行き詰まっていたり引きこもってしまう学生に対して、叱咤激励するのがよいのか、じっと回復を待った方がよいのか、仮にそれぞれに適したタイプがあるとしたらどうやって見分ければよいのか、というような質問が出た。じつは、医学が進歩する前は、我々は誰でも、顔色、立ち振る舞い、瞳の輝きなどから相手が病気かどうかを直感的に見極めるセンスをもっていたそうだ。このセンスを失ってしまった現在では見極めはなかなか難しくなってしまったという。
 私の立場から言えば、いきなり叱咤激励ではなくて、本人の小さな努力に対して具体的な結果を確実に与えるような指導体制を作ることでかなりの改善がはかれるように思えるのだが、こうなればもはや医療ではない。日常生活行動のパフォーマンス・マネジメントの領域になりそうだ。
【ちょっと思ったこと】
  •  3/17朝のNHKニュースによれば、新日本証券と和光証券が来年4月をメドに合併することで最終調整に入ったという。大した残高があるわけではないが、我が家で取り引きしている証券会社は、この2社のみだ。合併するとなれば口座も1つにまとめることになるのだろうが、どのように整備されていくのだろうか。

     それにしても過去10年余り、証券会社を利用して儲かったのはJR東日本ぐらいか。最近ではユニット型(ファミリー型)投信の満期通知が詫び状と一緒に届く程度。虎の子の10万円で購入した証券が7年経って8万円〜9万円で戻ってくるのではたまったものではない。
【新しく知ったこと】
【生活記録】
【5LDKKG作業】
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。)】