じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 枝咲チューリップ。撮影のために暖かい部屋に移したら10分も経たないうちに右下のように開花した。


3月9日(火)

【思ったこと】
990309(火)[一般]ついに私も「だんご3兄弟」ネタ(後編):『3は発想のマジックナンバー』3つに分けるということ

 連載の3回目は飛岡健氏の『3は発想のマジックナンバー』(ごま書房、ISBN4-341-16023-0)を取り上げてみたい。著者紹介によれば、飛岡氏は東大の工学系大学院博士課程を終了し人工衛星の打ち上げ・研究に従事し、この本が発行された1993年時点では、現代科学研究所所長、コスモ総合研究所所長をされているという。いちど、某シンポジウムで同席させていただいたことがあったが、講演慣れした方で、まず小話で聴衆をひきつけ、ポイントを押さえて話をまとめるのが上手な方だという印象を受けた。

 この本では「3」を、「3つに分けてみる」、「3つ集めてみる」、「3つめを探してみる」の3つに分けて論じている。

 最初の「3つに分ける」だが、この分け方は多種多様だ。主なものをあげてみると
  • 2種類の「新・旧」から2×2=4通りの組み合わせをつくり、このうち「旧」×「旧」を除く3通りを考える。例えば商品の新旧と市場の新旧。
  • 時間の流れを過去・現在・未来に分ける。
  • 「判断・決断・執行」というようにプロセスの流れを3段階に分ける。
  • 「知情意」、「真善美」、「読む・聞く・見る」のように3パターンに分ける。
というようなものだ。本文199頁という紙数の制約のなかではやむを得ないところだろうが、3つに分けることについてはもう少し詳細な検討が必要であるように私は思う。それは
  1. 「多い、少ない」といった数量を把握する際に、「中くらい」を入れることによる3分類
  2. シロかクロかという対立場面で妥協(もしくは「弁証法的」発展)を探るさいの3分類
  3. 時間の流れやプロセスの発展段階における3分類
  4. カテゴリカルな3分類
  5. 3すくみ関係を含む3分類
これらのうち、1.と2.は、もともと2値で扱われていた対象に中間的な値を加えるというものであるから、何かしら「間」という概念が入る。2月16日の日記の卒論読みのところで書いたように、複雑な現象をとらえていく際には、何らかの切り口つまり対立軸を設けたほうがスッキリするものだ。そのさい対立軸にそって数量的な分析を行えば、データは常に「多い、少ない」、「大きい、小さい」、「高い、低い」といった2値的なカテゴリーに分類される。これを3分類にするかどうかは、けっきょくのところ、中間をどう処理するかという問題になる。

 いっぽう、数量を含まないカテゴリカルな分類(名義尺度上の分類)では3分類は必ずしも必然ではない。ところが同じ分類でも「3すくみ」のような平等な強弱関係を維持しようとすると、4分類では都合が悪いことがある(これについては昨年11月25日の日記参照されたい)。

 いずれにせよ、我々は世界を2値的に扱う宿命を背負っている。物事を数量的に扱うということ自体がそうであるし、ファジーな世界を除けば、「ある、ない」、「する、しない」、「肯定、否定」、「賛成、反対」というようなカテゴリカルな判断も基本は「0か1か」で表される。それを認めたうえで3値的な分類をどう組み込んでいくかは興味深い課題であり、新たな発想を生み出す源であると考えてよいだろう。時間が無いので今回は省略するが、「3つ集めてみる」と「3つめを探してみる」の発想の意義も基本的には「3分類」と変わらない。
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  • 渡米する同僚から手作りの本棚を2つ貰ったので搬送。
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