じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Y.Hasegawa

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[今日の写真] 香りの良い白い花木。農学部構内にて。近寄ると銀木犀とは異なる芳香あり。名前をご存じの方、お互いを更新する掲示板などでお教えいただければ幸いです。

11月28日(土)

【思ったこと】
981128(土)[心理]「シンクロニシティ」と「コンティンジェンシー」と「縁」(その1)
 大学構内の銀杏やケヤキの落葉がさかんになってきた。南北通りの歩道などまるで黄金の絨毯が敷き詰められたように銀杏の落ち葉で埋め尽くされていた。
 だいぶ昔のことだが、この落葉について面白い話を聞いたことがある。それは、落葉というのは一日中絶え間なく落ちるのではなく、ある周期性があるということ。そして、風も吹かないのに、林の中の木が調子を合わせたように一斉に落葉を開始したり休止したりするのだという。皮膚には感じられないほどの弱い風が吹いたためなのか、1本の木の落葉が微妙な風を巻き起こすのかよく分からないけれど、もし本当だとしたら、ちゃめさんの「シンクロニシティ」のページにぜひ載せていただきたい話だ。

 ところでこの「シンクロ」だが、じつは行動分析学によく出てくる随伴性(contingency: コンティンジェンシー)という概念とあまり違わないようなところがある。『新明解』では「随伴」とは「(間接的な)関係が有ること」と定義されているが、行動分析学で言うところの行動随伴性とは
ある条件の下で、ある行動をすると、ある環境の変化が起こるという、行動と環境の関係[杉山ほか『行動分析学入門』産業図書、1998年]
として定義されている。  この定義で重要なことは、「行動」が「環境変化」の真の原因であったかどうか、あるいは「行動」が環境の変化に有効な働きをしたかどうかには何もふれていない点である。もちろん、自然界では、有効な働きかけによって環境が変化する場合が多いことは間違いないが、科学的には何の因果関係も認められず全く偶然に起こるような変化であっても、行動を変える有効な随伴性になりうることには変わりがない。

 一例として、ある少年野球のチームの調子が三角関数のような変動をするものと仮定しよう。そしてここに新米の監督が着任してきたとする。
[図] ここで、チームの調子は実は全くの偶然の変動であり、監督の賞賛や叱責とはまったく独立しているものと仮定する。新米の監督は、チームの調子が良い時には褒め(図中の◎印の場所)、悪い時には叱る(図中の×印)であろう。ところが、調子がどん底の「叱る」という行動を自発するために、結果的に、この行動の直後には「チームの調子が上向き」という結果が随伴しやすくなる。いっぽう、調子が絶好調の時に「褒める」ために、結果的に、その直後にチームの調子は下降していく。つまりチームの調子と「褒める」や「叱る」には何の因果関係が無くても、新米監督の立場から見れば、「叱る」ことだけにポジティブな結果が随伴し強化されていくことになる。これによって、「甘やかしてはダメだ。私の長年の監督経験に基づけば、鬼になってビシビシと叱ることが向上をもたらす。」というスパルタ式の訓練思想が形成されていく。

 左上の図は株価の変動に対する投資行動にもあてはまるかもしれない。仮に平均株価が2万円〜2万5000円のあいだで長期間図のような変動をしていたとする。この時、株価が高い時には「売り」、低い時には「買い」という行動を起こせば投資家は着実に収入をあげることができる。ところが、景気が悪化して、株価が2万円、1万5千円、1万3千円というようにどんどん下がっていったとする。これまで2万円のあたりで大量に「買い」を入れていた人は、この急激な値下がりの中ですべての資金を使い果たしてしまい、二度と儲けることができなくなる。逆に、バブル期になった時も、2万5千円ですべての株を売ってしまうことによって、3万円、3万5千円..とさらに値上がりが続いた時にはもはや買うこともなく売るものもないという状況に陥る。こうして大やけどをした人は、いくら景気が上向きになると期待されていても当分は次の投資には手を出さないだろう。そういう投資家が多ければ多いほど、景気の低迷が長引くことになる。

 偶然に伴った結果によって形成されていく行動は、一般に迷信行動と呼ばれる。「迷信」といっても何らかの「信念」を前提とはしていない。ハトに迷信行動を形作ることも可能である。

時間が無くなったので明日以降に続く。
【新しく知ったこと】

  • 昨日までの日記で「じゃんけん」の話をいろいろ取り上げていたが、掲示板にて、アングロサクソン系の子供達でもジャンケンをしているという事例が米国在住のこぐ様より寄せられたのでご紹介させていただく。
    サンフランシスコの繁華街?ユニオン・スクエアのナイキ・ショップの中で 現地の子供等 アングロサクソン系が ロック・ペイパー・シザースといって じゃんけんを しておりました。東洋の影響がとても強い サンフランシスコですのであまり参考にならないかもしれないけど。東洋系じゃない子供等だったので印象に残っておりまする。
  • 【生活記録】
    【夕食後の夫婦の散歩】------70日目(妻は67日)。ピカチュウ万歩計で5005歩。----
     農学部〜百円均一ショップ〜岡大西門〜農学部。銀杏の絨毯の上を歩く。
    【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。【 】部分は簡単なコメント。)】