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昨日の日記

6月27日(土)

【思ったこと】
980627(土)[教育]小・中学校で学ぶべきこと・教えるべきこと(5)算数・数学(1)
 昨日の日記の続き。今回の教育課程審議会の「まとめ」の中でも算数や数学は特に大きくマスコミに取り上げられてきたように思う。それだけ現行の「算数」が難しく、算数嫌いの子供が多いという現実があるのだろう。
 新聞で伝えられる内容を拝見した限りでは、もっぱら削減や高学年への移行が目につく。たとえば台形と多角形の面積(削除)、単位の換算(削除)、度数分布(削除)、図形の合同(削除)桁数の多い計算(軽減)、柱体と錐体の表面積(中学へ移行)など。また、「数学的に考える力を身につけ、創造性の基礎を培うことを重視」、高校では「数学史的な話題や日常の事象について統計的に処理する内容などを取り入れた『数学基礎』」を新設するなどとなっている。

 この種の議論でいつも疑問に思うのは、「数学的に考える力を身につけ、創造性の基礎を培うことを重視」というくだりだ。
  • 「数学的に考える力を身につける」というのは、暗記ではないという意味では理解できるが、さて「数学的に」考えることと、数学的でないように考えることとどう違うのか私にはよく分からない。数学の問題を解けるようになることすべてが数学的に考える力というのであれば、これは同義反復にすぎず、科目削減の選択基準にはなりえない。
  • 「創造性の基礎を培う」というのはさらに難解だ。何度か指摘しているように、「創造的思考」という一般能力があるという主張はずっと以前に否定されている。それゆえ、特定の個別スキルに習熟することが、一般的な創造性の基礎を培うことになるという議論はそもそも前提からして間違っているように思う。
  • 世間には確かに何とおりかの創造性テストがある。ある種の数学を学べばのテストの得点は上がるだろうが、それは創造性テスト自体に類似の数学的な問題が含まれているというだけのことで、全く独立した場面での創造的思考を高めるかどうかは定かではない。
  • いずれにせよ、どの分野を残せば創造性の基礎を培うことになるのかを示すような実証的データは極めて乏しいのではないかと思う。
で、結局どうすればよいのか、ということになるが、日常生活に必要な最低限のスキルを身につけることを必修条件とし、あとは、将棋・囲碁、パズルなどを含めて各自が好む分野で好きなだけ学べるようなシステムにすればよいのではないかというのが私の基本的な考え方だ。時間が無いので、明日以降に続く。
【ちょっと思ったこと】
  • 6/28朝日新聞によれば日本産科婦人科学会は27日の理事会で、「重い遺伝病」に限って「着床前診断」を条件つきで認めることを決めたという。学会の審査委員会が適切と認めれば実施されるそうだ。別紙面の永田・鹿児島大教授によれば、最初の申請はデュシェンヌ型筋ジストロフィーになるということだ。時間が無いので長文のコメントは差し控えるが、6月23日の日記でもリンクさせていただいた轟木さんが、御自分のホームページで意見を表明されているのでぜひ読んでいただきたいと思う[該当ページはこちら]。
     いずれにせよ、こういう重大な問題については、単なる理事会レベルの判断で決めるべきことではなく、現にそういう遺伝病と闘いながら、生きる意味についてさまざまな問題提起をしてくださっている患者さんの声、介護に携わるご家族や介護士の声に十分に耳を傾ける必要があるかと思う。単純に考えれば、着床前診断というのは、遺伝病の障害者に対して「あなた自身は生かしてあげますが、今後はあなたと同じような人は産まれさせませんよ」と言っているような気がする。その一方では、健常な子供しか育てられないような苦しい生活環境にあって重い遺伝病を背負った赤ちゃんが産まれる確率が半々であるような夫婦が自発的に着床前診断を望んだ場合に、第三者にどこまでそれを非難し止めさせる権利があるかという議論も成り立つ。
【新しく知ったこと】
  • NHKの土曜特集[1930-2045]でツボの話をやっていた。NHKにしては珍しい「噂のファイル」「あるある大辞典」タイプの番組であるような印象を受けたが、東洋医学で培われた経験的知識が西洋医学によって裏付けされ、また多方面で成果をあげていることがよく理解できた。ただ、生活体は本来、外界との自然な関わりの中で最も上手に適応できるように淘汰されてきたはずである。ツボに頼らなければ健康的な生活が保てないとするなら、その根本は環境側に問題があるということになる。鍼灸に頼る以前の問題として、まずは環境改善をはかっていくことが大切であり、そのためにこそ行動随伴性に基づく自己理解の視点が必要になってくるのではないかと思った。
【リンク情報】
【生活記録】
  • 近くのディスカウントショップで、「ライト付蚊が来ない」という変梃な名前の商品を買ってみた。6KHZから10KHZの超音波によって蚊の寄ってくるのを防ぐという宣伝文句になっているが、果たして効果はどんなものだろうか。
【家族の出来事】
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。【 】部分は簡単なコメント。)】