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昨日の日記

6月26日(金)

【思ったこと】
980626(木)[教育]小・中学校で学ぶべきこと・教えるべきこと(4)国語(その3)古文と漢文
 昨日の日記の続き。
 古文や漢文は、何よりもそれに親しみ、将来の人生に末永く活かせる道を開くような教育に徹するべきである。そのための障害になっているのが、古語の暗記、文法など。結果的に、せっかく面白い古典が受験の手段としてしか意味をもたなくなり、大学に入ったとたんにハイさようならということになってしまっているように思う。

 古語や文法を教える目的は、おそらく自力で原文を理解・解釈する力を養うことを目的としているのではないかと思うが、果たしてその必要があるだろうか。
 そもそも我々が英語の読解力を必要とする第一の理由は、最新の学術論文、技術書類、契約書類などに速やかに目を通す必要があるからだ。誰かが翻訳してくれるのを待っていたら追いつかないから自力で読めるようにするのである。
 これに対して古文や漢文は、必ずしも時間に迫られて読むべきものではない。また、名著といわれる作品にはほとんど解説書が出されている。ならば生半可な古文文法や古語の知識をもとに自力で読むよりは、一流のの解説者の注釈本を複数比較対照しながら、現代語対訳つきの文章をじっくり読んだほうが本当の意味がわかってくるというものである。

 古典というのもは現代に活かしてこそ意味がある。枕草子でも徒然草でも奥の細道でも、あるいは杜甫でも陶淵明でも、じっくりかみしめて読めば十分現代に活かせるはずなのだが、少なくとも私が習った古文・漢文ではそういう余裕を与えられなかった。もっぱら古語だとか文法ばかりを覚えさせられるから、もうこりごりになってしまう。もしこれまでの古典教育がほんとうに成果をあげているのであれば、Web日記なんぞでも、もっと日常的に古典の引用があってしかるべきであろう。ごく少数の愛好家以外は引用しないということは、言い分はどうあれ、古典の教育が間違っていたことを意味していると思う。

 古典の中でも漢文の教育はとくにひどいと思う。ろくろく文法も教えていないのに、試験問題では漢字だけの文を並べて、その読み方や意味を書けなどと問われてもできるはずがない。漢文の解説書を何冊も読んだ人だけがその蓄積された知識にものを言わせて正解を出しているだけで、あとの人間は、山勘で解くのが精一杯だ。推理力を磨く訓練にもなっていない。それと、漢文には漢文なりの独特の響きがあるとしても、原語の韻を聞き取らなければ中国の詩の本当の良さを味わうことはできない。どうにも中途半端な気がする。

 このほか、貴族の男女の恋愛を描いた短歌や小説のたぐいは、当時の恋愛の仕組み、不倫についての考え方など歴史的背景を十分に教えなければ本当に教えたことにはならない。それが無理というならばバッサリ削除して、カルチャーセンターのようなところで生涯教育の一環として教えていったほうが活かせる度合いが大きいように思う。
【ちょっと思ったこと】
  • 韓国漁船の漁網に引っかかってえい航された北朝鮮の潜水艇から9遺体が発見されたそうだ。一部は殺害され、生き残った者は自決した可能性が高いという。今朝6/27の天声人語でも言及されていたが、こういう事件は、過去の戦争における日本人の集団自決、特攻隊攻撃などと同列に、単色思想支配の犠牲者として受け止めるべきであろうと思う。
    単色思想による支配をめざす流れは、その思想によって国の政策から個々人の生き方まですべてを統制しようとしているという意味で「大きな思想」の流れと言える。これに対して、多様な価値観を認め、思想の優越性を自然淘汰に委ねる流れは、「小さな思想」と呼ぶことができるだろう。
    過去の歴史や現在の世界情勢をみても、「大きな思想」つまり単色思想による支配は、戦争、反対派への思想強要あるいは殺害を伴う排除、内部における腐敗と権力闘争という共通の構図を生み出している。いっぽう「小さな思想」は、時には個人主義や退廃的風俗をもたらすとしても、全体としては、淘汰の原理によって、その時代の技術や経済のレベルに応じて、最も有効な思想が多数派を占めるようになり、結果的に、平和と発展に貢献しているように思われる。
    「小さな思想」は本来、自由主義の思想なのだが、少なくともいまの日本では、「自由主義」をかかげる人たちの一部は「共産主義」に対抗する別の単色思想の持ち主であって、必ずしも多様な価値観を認める主張をしていない。逆に、本来は大きな思想を標榜するはずの左派系の政党が、特定の価値観の強要に反対するという逆転現象が起こっている。「大きな政府論」か「小さな政府論」かという議論と同様、「大きな思想」か「小さな思想」かという議論も、政治レベルでは、なかなか見えにくい対立軸になっているように思う。
【新しく知ったこと】
  • 6/27朝のNHKローカルニュースによれば、岡山市の京山ロープウェイ遊園が入場者の減少を理由に9/6で閉鎖されることになったという。オーソドックスな遊園地ではチボリなどのテーマパークに対抗できなかったのだろう。ちなみに私は、岡山に転居後8年目になるが一度も入場したことがない。子どもたちは、夏休みのお化け屋敷に数回行ったことがあるはずだ。閉園前に一度ぐらいは行ってみたいものだが、その後はどういう施設になるのだろうか。
  • 6/27朝日新聞学芸欄に、元参院議員旭堂小南陵さんの体験談がのっていた。長良川河口堰建設問題に関する質疑で、旭堂さんが「ウナギでは実験なさっておられますか」と聞くと、河川局長は、ウナギについては実験していないが、泳ぐ力が優れておるところから、何ら支障はないと考えていると答える。これに対して、旭堂さんが「川へ遡上するウナギというのは小さなものです。シラス程度のものです。優れた泳力があると局長はお考えですか」と突っ込むと、突然支離滅裂な答弁となり、結果的に魚道の遡上について十分な調査が行われていなかったことが露呈したというもの。旭堂さんは、社会党公認で当選したものの、小選挙区制導入反対などで除名されたという。その小選挙区制のもとで大幅に議席を減らし、最近では中選挙区復活論まで出てくる政党と言ったら、どの党のことだろうか。
【リンク情報】
【生活記録】
【家族の出来事】
【スクラップブック(翌日朝まで、“ ”部分は原文そのまま。他は長谷川による要約。【 】部分は簡単なコメント。)】
  • 住友信託と日本長期信用銀行は26日、来年4/1の合併を目指して交渉に入ることで基本合意。事実上、長銀の救済合併。
  • 山一証券、26日の株主総会で解散決議できず。判決による自主廃業手続に。
  • 26日のサッカーワールドカップ1次リーグで、日本はジャマイカに1-2で敗れ、韓国とともに未勝利のまま2002年の共同開催を迎えることに。