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昨日の日記

3月10日(火)

【思ったこと】

980310(火)
[一般]言葉と文化、どっちが先か(その8)英語教育とBasic English(2)
 昨日の日記の続き。きょうは、「Basic English」とは何かについて、入門書を概観してみたい。
 まず、室(1985)によれば【出典は、昨日の日記を参照されたい】、Ogdenの考えた方針の概略は次の4点であったという[長谷川による要約]。
  1. 10語以下で言いかえることのできる語は排除。(例:physician→medical man)
  2. 専門分野の述語は省く。
  3. 感情的色彩の強い語は除外。
  4. 文学スタイルのための語は除外。
 室(1985)は、さらに、「Basic English」が誤解されやすい点として8点をあげている。そのうち特に興味をひくのは、
  1. Basic Englishは英語を改革しようとしているものではない。改良された英語ではなく、英語の中の小形英語というべきもの。独立した補助言語の一種である。
  2. 文学よりも実務や科学に適する。(→ここでいうBasicは、「British,American,Scientific,International,Commercial」の頭文字をとったもの、としゃれている)。
といった指摘であろうか。

 牧(1980)は、文部省中学英語の必修語(刊行時点で必修語610、必修連語25)と、Basic Englishの850語を比較しながら、中学英語の学習語彙の選定基準が曖昧であること、おそらく使用度数の統計に基づいているものと思われるが、必ずしも妥当な選択になっていない点を指摘している。たとえば、中学英語ではdishはあるがplateはないという。mealがないのに、breakfast、lunch、supper、dinnerがそろっている。このほか、Basic Englishでは、どんなに語彙制限をしえも絶対に欠かせないseem、fact、mind、pleasure、certain、false、possible、trueが中学英語には含まれていないという。果たして、出現頻度の高い語句が基本語句と言えるのかどうか、学習の立場にたった見直しが必要ではないかと思われる。

 以上、いくつかの入門書を引用しながらBasic Englishを概観してきたが、実際にBasic Englishに習熟することは、予想外に難しいところがある。例えば、語彙を850語に絞った結果として、Basic Englishでは、動詞と前置詞の組み合わせが重要な役割を果たすことになる。室(1962)には、come、go、get、give、keep、let、put、takeという8個の基本動詞と、about、across、after、against、among、at、before、between、by、down、from、in(into)、off、on、out(out of)、over、through、to、under、up、with(without)という21個の前置詞の組み合わせ表が載っている。これを掛け合わせると8×21=168通りの意味が表現できることになる。このうち実際に組み合わせとして存在する熟語は125通り程度になるようだが、日記猿人界の英語の達人でも正しい組み合わせとその意味を100通り以上言える人はそうはおられないものと思う。

 次回は、基本動詞について、日本語と対応させながら考えてみたい。
【ちょっと思ったこと】
  • 高レベル放射性廃棄物を積んだ輸送船が青森県のむつ小川原港に入港することについて、青森県の木村知事が接岸拒否を表明している。動燃の相次ぐ事故や不祥事が起こるなかで、核燃料利用についての根本的な見直しや、当面の厳密な安全対策を求めて政府と交渉するというならば理解できる。ただ、「青森県全域を対象にした電気料金の割引」(朝日新聞3/11記事)まで求めるのはいかがかと思う。これでは逆に、金目当てにゴネているとの誤解(←まさか本音では?)を与えてしまう。
【新しく知ったこと】
  • キトラ古墳の天体図に描かれた春分点、秋分点が本来の位置よりも約45度ずれていたという(3/11 朝日)。歳差(但し日月歳差)の周期は26000年であるから、26000×(45÷360)とすると、3250年前の星図を描いていることになる。この古墳がそんなに古いはずはない。それとも中国の3000年前の星図を参考にして描かれたものなのだろうか。
  • 元小結の剣晃関が10日午前11時50分に亡くなった。30歳。191cmの長身で豪快な取り口が特徴。一年前の年末年始番組に、小錦、魁皇、水戸泉関らとともに出演しているのを見かけたことがある。土俵の上では決してみられない笑顔が印象に残っている。休場の理由は「不明熱」とされているが、本当の病因は何だったのだろうか。
  • 朝日新聞世論調査(3/1、3/2実施)の中に「もし、お金で買えるとすれば、あなたは何を買いたいと思いますか」(カードから1つ選択)という設問があった。20代前半の若者では、「時間」と「才能」の2つに7割が集中。いっぽう60歳以上では「健康」が7割を超えたという。全体では、健康54、時間15、若さ12、才能12、愛情5、名誉0となっている。選択肢の種類がこれで妥当であったかどうか、「お金で買える」ではなく「魔法使いに1つだけ願いをかなえてもらえるとしたら」というように設問を変えたらどうなったか、などいくつか調べてみたいことはあるが、おおむね、予想通りの回答であると言えないこともない。
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