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じぶん更新日記

1997年5月6日開設
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 映画『今夜、ロマンス劇場で』のラストシーン。赤いバラが効果的に使われている。↓の記事参照。
※肖像権等を侵害しないよう、油絵タッチで加工してある。

2025年12月20日(土)




【小さな話題】バラの花について調べてみた(その1)バラの花が登場する映画、童話

 休園日を除きほぼ毎日半田山植物園を訪れているが、今年の冬は例年になく各種のバラの花が見事に咲いている。秋バラというと10月~11月頃が見頃だと思っていたが、10月より11月、11月より12月、というように寒くなるにつれてますます花の数が増えている。そのことを受けて、楽天版のほうにも2025年版のバラ図鑑を掲載した。
  1. 黄色のバラ11種
  2. 中間色10種
  3. 中間色(続き)10種
  4. 複色8種
  5. 赤いバラと白いバラ 8種

 これを機会にChatGPTの助けを借りてバラの花についていろいろと調べてみた。以下の順番で考察する。
  1. 映画に登場するバラの花とその色
  2. 童話に登場するバラの花とその色
  3. 歌に登場するバラの花とその色
  4. 赤いバラと白いバラは儀礼やお祝いでどのように使い分けられているのか?
  5. 個人名を連想させるような品種名をつける場合には当事者の承諾が必要か?


 まず1.であるが、バラの花が最も効果的に演出されていたのは『今夜、ロマンス劇場で』のラストシーンではないかと私は思う【上の画像参照】。ラストのところで牧野(坂口健太郎)は赤いバラを持って美雪(綾瀬はるか)の宮殿を訪れるが、美雪が差し出された花を受け取った瞬間、それまでのセピア色がみるみるうちにカラフルな世界に変わっていった。こればっかりは花の色は赤に限る。白色のバラでは全く意味をなさない。

 バラの花が登場する映画は他にもたくさんある。ChatGPTからは以下の作品を挙げてもらった【一部省略】。
  1. 『アメリカン・ビューティー』(1999年):
    官能・欲望・虚構の美しさといったテーマを視覚化する象徴として用いられています。
  2. 『美女と野獣』(Beauty and the Beast, 1991/2017):
    愛・時間・救済というテーマを集約した象徴的なアイテムとしてストーリーに深い意味を与えています。
  3. 『タイタニック』(Titanic, 1997):
    主人公の女性の名前(ローズ)自体が象徴的であり、ラスト近くの海上シーンではバラのモチーフが視覚的演出として登場することがあります。
  4. 『ハンガー・ゲーム』シリーズ(The Hunger Games, 2012–2015):
    白いバラは大きな象徴として登場します。特に支配者側の象徴として、威圧・支配・死という文脈で使われる場面があり、物語のテーマと絡んでいます。
 私の記憶に残っているのは『市民ケーン』に出てくる「バラのつぼみ」。【こちらに考察あり】 もっとも私はこの映画のストーリーは全く覚えていない。その映画が謎解きに使われている『刑事コロンボ:44話「攻撃命令」のほうは鮮明に覚えている。




 次に2.であるが、バラの花が登場する童話の中ですぐに思い浮かんだのは、アンデルセンの『雪の女王』やサンテグジュペリの『星の王子さま』であった。それぞれにおいて花の色を特定するような記述はあるかどうかChatGPTに尋ねたところ、以下のような回答をいただいた。




はい。この点は**両作品で扱いが異なります**。
結論を先に述べると、
  • **アンデルセン『雪の女王』**では、**バラの色は明確に示されています**。
  • **サン=テグジュペリ『星の王子さま』**では、**花の色は本文中では特定されていません*

以下、作品ごとに整理します。
  1. アンデルセン『雪の女王』におけるバラの色

    ### 色の記述
    『雪の女王』では、**赤いバラ**がはっきりと描写されています。
    物語冒頭で、カイとゲルダが育てている花として登場するのが、**赤いバラ**です。これは複数の邦訳・原典いずれにおいても共通しています。

    ### 象徴的意味

    赤いバラは作中で、
    • 人間的な愛情
    • 温もり
    • 生の世界(雪の女王=冷たさ・死と対置されるもの)
    を象徴します。

    特に重要なのは、
    • **雪の女王の宮殿にはバラが存在しない**
    • 赤いバラの記憶が、ゲルダの心を支える

    という構図です。
    ここでは**「赤」そのものが物語の象徴色**として機能しており、色の指定は意図的かつ本質的です。

  2. サン=テグジュペリ『星の王子さま』におけるバラの色

    ### 色の記述
    一方、『星の王子さま』の本文では、* 王子の星に咲いた**バラの色を明示する記述はありません**。

    フランス語原文でも、
    * *une rose*(一輪のバラ)
    と表現されるのみで、赤・白・黄といった色彩形容は使われていません。

    ### なぜ「赤いバラ」と思われがちなのか

    多くの読者が「赤いバラ」を想像する理由は、
    • 著者自身による挿絵が**赤く彩色されている**
    • 一般文化における「バラ=赤」という固定観念
    • 翻訳書の表紙・挿絵・アニメ化作品での赤色表現

    といった**視覚的・文化的補強**によるものです。

    しかし、**文学テクストとしては色は未規定**です。

    ## 象徴性との関係

    『星の王子さま』において重要なのは、

    * 色や外見ではなく
    * 「わがまま」「弱さ」「唯一性」「関係性」

    であり、色を限定しないことで、
    * 読者自身の経験や感情を投影できる余地を残していると解釈されることが多いです。

  3. ## 3. 両作品の対比(整理)
    | 作品 | 花の色の明示 | 文学的役割 |
    | ------ | -------- | ----------------- |
    | 雪の女王 | **赤と明示** | 愛・生命・人間世界の象徴 |
    | 星の王子さま | **明示なし** | 関係性・唯一性の象徴(色は非本質) |

  4. ## 総括
    • 『雪の女王』では、**赤いバラであること自体が物語構造の一部**です。
    • 『星の王子さま』では、**色は意図的に語られず、象徴の焦点は別の次元に置かれています**。

    同じ「バラ」というモチーフでありながら、**色を「語る作品」と「語らない作品」**という対照が、両者の思想と物語技法の違いをよく表しています。




 最後に、バラが登場する童話として他にどのようなものがあるか挙げてもらった。




はい。バラは象徴性が非常に強い花であるため、**童話・児童文学の中でも繰り返し重要な役割で登場**します。以下では、比較的よく知られた作品を中心に、**バラがどのような意味で使われているか**という観点で整理します。

  1. オスカー・ワイルド『ナイチンゲールとばら』

    ### 概要

    若者が恋を成就させるため「赤いばら」を必要とし、ナイチンゲールが自らの命と引き換えに赤いばらを咲かせる物語。

    ### バラの役割
    • **愛の代価**
    • **理想と現実の断絶**
    • **自己犠牲の象徴**

    童話の形式をとりながら、結末は非常に辛辣で、**ロマン主義的な愛の虚しさ**を象徴する花としてバラが使われます。

  2. グリム童話『いばら姫(眠れる森の美女)』

    ### 概要

    城を覆う「いばら(野ばら)」が、姫と王国を外界から隔てる結界となる物語。

    ### バラの役割
    • **時間と眠りを隔てる境界**
    • **試練と選別**
    • **再生の象徴**

    100年後、いばらが自然に道を開く点が重要で、バラは「危険な障害」から「祝福された通路」へと性格を変えます。

  3. シャルル・ペロー版『美女と野獣』

    ### 概要

    父が城から一輪のバラを持ち帰ったことが、物語の発端となる。

    ### バラの役割
    • **約束と禁忌**
    • **愛の試金石**

    単なる装飾ではなく、**人間世界と異界をつなぐ媒介物**として機能します。

  4. アンデルセン『ばらの妖精(The Rose Elf)』

    ### 概要

    一輪のばらに宿る妖精が、人間の愛と悲劇を見守る物語。

    ### バラの役割
    • **記憶の容器**
    • **魂の宿る場所**

    アンデルセンらしい、**花に精神性を与える寓話**です。

  5. ジョージ・マクドナルド『王女とゴブリン』(関連例)

    ※直接的に中心モチーフではありませんが、バラを含む「花の象徴」が頻繁に登場します。

    ### バラの役割
    • **純粋さと精神的成長の暗示**
    • **内面世界の可視化**

    後のファンタジー文学(C.S.ルイスなど)に影響を与えました。

  6. 近代以降の再話・創作童話
    • **『雪の女王』の再話作品**
    • **『美女と野獣』の派生作品**
    • **現代童話における「赤いばら」「黒いばら」**

    これらでは、
    • 赤いばら=愛・犠牲
    • 白いばら=純潔・別れ
    • 黒いばら=死・禁忌

    といった**色の象徴性**がより明確に使い分けられる傾向があります。

  7. なぜ童話にバラが多いのか(補足)
    童話においてバラが好まれる理由は明確です。
    • 美しさと危険(棘)を同時に持つ
    • 色彩が象徴として使いやすい
    • ヨーロッパ文化圏での宗教的・文学的蓄積が厚い

    そのためバラは、**「善と悪」「愛と死」「理想と現実」**といった二項対立を一輪で表現できる、極めて便利なモチーフなのです。

  8. ## 総括
    バラが登場する童話は非常に多く、それらは単なる花ではなく、
    • 試練
    • 記憶
    • 愛の代価
    • 境界

    といった**物語構造そのものを担う装置**として機能しています。
    『雪の女王』や『星の王子さま』を起点に読むと、他の童話におけるバラの使われ方の違いが、より立体的に見えてくるはずです。





 次回に続く。