じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
【連載】チコちゃんに叱られる! 暗順応の時間差は、桿体への切り替えか、瞳孔径の調整か? 10月17日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。取り上げられた話題は以下の通り。
本日はこのうちの1.について考察する。 「明るいところから暗くなると一瞬なにも見えなくなる」原因について、私自身は、 ●明るい所では瞳孔径が小さくなっており、暗くなった瞬間はまだ瞳孔が開いていないので光が入りにくいから と思っていた。放送のインタビュー場面でも「瞳孔が開ききっていないから」という声が聞こえていたが、正解は、「明るい場所と暗い場所では働く細胞が違うから」であると説明された。眼科学教室の大野京子さん(東京科学大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
さてここで問題になるのは、暗くなると一瞬なにも見えなくなるのは、
●明るい所が暗くなると一瞬何も見えなくなるのは、瞳孔径が開くのに時間差があるからでしょうか、それとも錐体細胞に代わって桿体細胞が働くまで時間がかかるからでしょうか? と尋ねたところ、以下の回答をいただいた。 とても良い質問です。 結論から言うと── 👉 **主な原因は「錐体細胞から桿体細胞への切り替え(暗順応)」に時間がかかるため** です。 ただし、**瞳孔径の変化(散瞳)** もごく初期の数秒間には関与します。 ◆### 🔹 仕組みの流れ
### 🔹 つまり
◆### 🔹 まとめ | 現象 | 主な要因 | 時間スケール | | -------------- | ------------------ | ------ | | 暗くなった直後に何も見えない | 錐体が働けず、桿体がまだ反応できない | 1〜10秒 | | 徐々に見えるようになる | 桿体のロドプシン再合成(暗順応) | 数分〜30分 | | 最初の数秒の補助要因 | 瞳孔が開く | 数秒 | ごく短い「真っ暗で見えない瞬間」は、まさに錐体から桿体への切り替えタイムラグによる現象です。 なるほど、瞳孔径調整の時間差も数秒程度の補助要因にはなるが、専門家が解説されたように主な要因は錐体から桿体への切り替えの時間差にあるようだ。 ついでに放送で少しだけ言及された「桿体から錐体への切り替え、つまり暗い所が急に明るくなったときの順応は錐体から桿体への切り替えに比べるとあまり時間がかからない」のはなぜか質問してみた。回答は以下の通り。 とても鋭い質問です。 結論から言うと── 👉 **桿体から錐体への切り替え(=明順応)は、桿体の感度を下げるだけなので、分子レベルの「分解」が速く起こるため短時間で済む**からです。 これに対して、**暗順応(錐体→桿体)では、感度を上げるための「再合成」**が必要で、それに時間がかかります。
なお、犯人逮捕の時に使われる閃光弾については、視覚、聴覚、精神的・身体的効果があり、このうち視覚への効果としては、 爆発時に**非常に強い閃光(600〜800万カンデラ以上)**を放ちます。とのことであった。 次回に続く。 |