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じぶん更新日記

1997年5月6日開設
Copyright(C)長谷川芳典



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 このところ、半田山植物園のフジバカマに毎日アサギマダラが飛来している。
 ということでChatGPTや園長さんから教えてもらったことを箇条書きにしてみた。
  1. 毎日見かけるのは同じ個体ではない。たいがいは朝初めて飛来し、午後には上昇気流に乗って別の場所に移動していく。
  2. 上昇気流や追い風に身を任せるだけではなく、自立的に進路を制御していると考えられている。
  3. 積雲の上昇気流を利用しながら、時には高度1000m近くまで上がる。上昇気流に乗って高度を稼ぎ、滑空しながらエネルギーを節約する“ソアリング飛行”をする。風向きと太陽の位置を頼りに、進行方向を一定に保つ能力があるとみられる。
  4. 一回の飛行距離は長くても100〜200km程度とされ、風向きが良い日を選んで、段階的に移動していくらしい。
  5. 基本的に昼間だけ飛び、夜は休む。
  6. 日が傾くと、アサギマダラは次第に飛行をやめ、休息場所を探す行動に入る。飛翔が止まるのはだいたい日没の30分前〜日没ごろ。木の枝、竹や笹の葉、林縁の低木、岩陰などに逆さにぶら下がる姿勢でとまる。開けた草地よりも、風が弱く雨を避けられる林の中や斜面を好む。
  7. 秋の南下期(10〜11月ごろ)になると、アサギマダラが群れで休む光景が見られる。数十〜数百頭が同じ木や藪に集まって休むことがあり「ねぐら(roost)」と呼ばれる。
  8. 朝日が差し始めると、**日光浴(サンバスティング)**を行う。翅を開いて太陽光を受け、体温が30℃前後になると飛び立つ。天候が悪いと、そのまま何時間もとまったまま動かないこともある。(曇天や低温の日は移動を見合わせるらしい。)
  9. 多くの場合、ねぐらと蜜源は近接している。日中に蜜を吸ったあと、同じ谷や斜面の木にとまって休む。


2025年10月18日(土)




【連載】チコちゃんに叱られる! 暗順応の時間差は、桿体への切り替えか、瞳孔径の調整か?

 10月17日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。取り上げられた話題は以下の通り。
  1. 明るいところから暗くなると一瞬なにも見えなくなるのはなぜ?
  2. 相撲の化粧まわしはそもそもなに?
  3. 紙がぬれて乾くとゴワゴワするのはなぜ?

 本日はこのうちの1.について考察する。

 「明るいところから暗くなると一瞬なにも見えなくなる」原因について、私自身は、

明るい所では瞳孔径が小さくなっており、暗くなった瞬間はまだ瞳孔が開いていないので光が入りにくいから

と思っていた。放送のインタビュー場面でも「瞳孔が開ききっていないから」という声が聞こえていたが、正解は、「明るい場所と暗い場所では働く細胞が違うから」であると説明された。眼科学教室の大野京子さん(東京科学大学)&ナレーションによる解説は以下の通り【要約・改変あり】。
  1. 目の奥には網膜という薄い膜がある。そこには1億個以上の細胞がある。
  2. 網膜には、尖った形の『錐体細胞』と尖っていない『桿体細胞』の2種類がある。
  3. 2種類の細胞の働きは、明るい場所と暗い場所で異なる。暗い場所で働くのが桿体細胞、明るい場所で働くのが錐体細胞。その切り替えは網膜が判断している。
  4. 明るい所が暗くなった時、錐体細胞から桿体細胞への切り替えが行われるがこれには少し時間がかかる。暗くなった瞬間はまだ錐体細胞が働いているので一瞬何も見えなくなる。
  5. 桿体細胞は色の判別はできないが、光を感知することはできる。桿体細胞の中には『ロドプシン』という光を感じるタンパク質が含まれているから。
  6. 『ロドプシン』は『オプシン』というタンパク質とビタミンAである『レチナール』が結びついた構造をしている。
  7. ロドプシンが十分な量になるまで30分ほどかかるため、暗い場所ではだんだん見えてくる。
  8. ビタミンAが不足すると暗いところで見えづらくなることがある。レバーや緑黄色野菜などをとるといい。
  9. 「明→暗」の時の切り替えは時間がかかるが、「暗→明」の時の桿体細胞から錐体細胞への切り替えは速い。
  10. 【補足説明】多くの動物は内臓にビタミンAを含むが、ヤツメウナギは肉質の部分にもビタミンAがあるので効率よくビタミンAを摂れる。
 以上の解説にあった錐体細胞・桿体細胞の特徴の話は小中学校の理科の時間に習ったはずだ。ビタミンA不足が鳥目になるという話も栄養失調になりやすかった子どもの頃にはよく耳にした話だった。

 さてここで問題になるのは、暗くなると一瞬なにも見えなくなるのは、
  • 私が思った「瞳孔径が開くのに時間差があるから」という説
  • 放送で解説された「錐体細胞に代わって桿体細胞が働くまでに時間がかかるから」という説
のどちらが正しいのだろうか? さっそくChatGPTに、

明るい所が暗くなると一瞬何も見えなくなるのは、瞳孔径が開くのに時間差があるからでしょうか、それとも錐体細胞に代わって桿体細胞が働くまで時間がかかるからでしょうか?

と尋ねたところ、以下の回答をいただいた。


とても良い質問です。
結論から言うと──

👉 **主な原因は「錐体細胞から桿体細胞への切り替え(暗順応)」に時間がかかるため** です。
ただし、**瞳孔径の変化(散瞳)** もごく初期の数秒間には関与します。
◆### 🔹 仕組みの流れ
  1. 明るい場所 → 暗い場所に入った直後(最初の数秒)
    • 瞳孔がまだ小さいままなので、目に入る光の量が少なく、**単純に暗く感じる**。
    • 数秒かけて**瞳孔が開く(散瞳)**ことで、光の量が少し増えます。
    • ただし、この効果は**明るさの感度全体ではわずか**です(2〜3倍程度)。
  2. その後(数分〜30分程度)
    * 網膜の光受容体のうち、
    • 明るいところで働く **錐体細胞(色・細部を感知)**
    • 暗いところで働く **桿体細胞(光に非常に敏感)**
    が切り替わっていきます。
    桿体細胞内では、明るい場所で分解されていた**ロドプシン(視紅)**という光感受性色素が再合成されるのに時間がかかるため、**完全に暗順応するまで15〜30分**かかります。

### 🔹 つまり
  • 「一瞬何も見えなくなる」のは、
     → 錐体細胞がもう働けないほど暗いのに、桿体細胞がまだ再活性化していない**“中間の空白時間”**だからです。
  • 瞳孔の変化は補助的で、時間スケールの短い現象(数秒)。
  • 見え方が回復する主因は桿体細胞の暗順応(数分〜十数分)。


◆### 🔹 まとめ

| 現象 | 主な要因 | 時間スケール |
| -------------- | ------------------ | ------ |
| 暗くなった直後に何も見えない | 錐体が働けず、桿体がまだ反応できない | 1〜10秒 |
| 徐々に見えるようになる | 桿体のロドプシン再合成(暗順応) | 数分〜30分 |
| 最初の数秒の補助要因 | 瞳孔が開く | 数秒 |

ごく短い「真っ暗で見えない瞬間」は、まさに錐体から桿体への切り替えタイムラグによる現象です。



 なるほど、瞳孔径調整の時間差も数秒程度の補助要因にはなるが、専門家が解説されたように主な要因は錐体から桿体への切り替えの時間差にあるようだ。

 ついでに放送で少しだけ言及された「桿体から錐体への切り替え、つまり暗い所が急に明るくなったときの順応は錐体から桿体への切り替えに比べるとあまり時間がかからない」のはなぜか質問してみた。回答は以下の通り。



とても鋭い質問です。
結論から言うと──

👉 **桿体から錐体への切り替え(=明順応)は、桿体の感度を下げるだけなので、分子レベルの「分解」が速く起こるため短時間で済む**からです。

これに対して、**暗順応(錐体→桿体)では、感度を上げるための「再合成」**が必要で、それに時間がかかります。
  1. 明順応(暗 → 明)
    #### 状況
    暗い場所では、桿体の中に「ロドプシン(視紅)」という光感受性色素がたくさん蓄積しています。
    これが光に当たるとすぐに**分解**され、視細胞は光刺激に強く反応します。

    #### 明るい場所に出ると…
    • 急に大量の光が入るため、**ロドプシンが一気に分解**されて桿体がすぐに「飽和状態(働けない状態)」になります。
    • 桿体はすぐに失活し、代わって錐体が活動を引き継ぎます。
    • この「ロドプシン分解 → 桿体抑制 → 錐体優位化」という過程は**数十秒〜数分**で終わります。
      🕒 明順応に要する時間:**約1〜3分程度**
  2. 暗順応(明 → 暗)
    #### 状況
    明るい場所ではロドプシンがほとんど分解されていて、桿体はほぼ働けません。
    #### 暗い場所に入ると…
    • 光が減るため、今度は**ロドプシンを再合成**して感度を上げる必要があります。
    • しかしこの再合成にはビタミンAを介した**酵素反応**が関わり、時間がかかります。
    • そのため、桿体が完全に機能を回復するには**15〜30分**ほどかかります。
      🕒 暗順応に要する時間:**約20〜30分**

  3. つまり時間差の本質は「分解」と「再合成」
    | 過程 | 主な変化 | 生化学的作業 | 時間 |
    | -------- | ----------------- | -------- | ------ |
    | 明順応(暗→明) | ロドプシンを分解して感度を下げる | 分解反応(速い) | 数分 |
    | 暗順応(明→暗) | ロドプシンを再合成して感度を上げる | 合成反応(遅い) | 20〜30分 |
  4. 感覚的な違いのまとめ
    • 明るくなったとき(桿体→錐体):**「まぶしいけどすぐ慣れる」**
    • 暗くなったとき(錐体→桿体):**「しばらく何も見えない」**

    要するに、
    🌞 **明順応=壊すだけだから速い**
    🌑 **暗順応=作り直すから遅い**
    という、非常に合理的な生理的違いによるものです。


 なお、犯人逮捕の時に使われる閃光弾については、視覚、聴覚、精神的・身体的効果があり、このうち視覚への効果としては、
爆発時に**非常に強い閃光(600〜800万カンデラ以上)**を放ちます。
この光は、一時的に桿体・錐体細胞を飽和状態にしてしまい、視細胞が反応できなくなります。
結果として:

一瞬「真っ白で何も見えない」
その後も数秒〜十数秒間は視界がぼやける・残像が残る・方向感覚を失う

これは「極端な明順応状態」を強制的に起こしたようなものです。
とのことであった。

 次回に続く。