じぶん更新日記1997年5月6日開設Copyright(C)長谷川芳典 |
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【インドネシアその40】バリ島らしいホテル バリ島では『ウブドヴィレッジ(The Ubud Village)』というホテルに宿泊した。 朝食会場は1階のプールのある中庭に面していたが、見事に生育している各種観葉植物に囲まれ、またテーブルにはいかにもバリ島らしい人形が飾られていた。 |
【小さな話題】ケンボー先生と山田先生〜辞書に人生を捧げた二人の男〜(1) 8月16日にNHK-BSで再放送された表記の番組を録画・再生で視た。リンク先によれば12年ぶりのアンコール放送【初回放送は2013年4月】とのことで、番組表をザッと眺めているだけではたぶん見逃していたと思われるが、幸い飯間さんのXで事前にそのことを知り、無事に録画予約することができた。 放送では同じ三省堂から『三国(三省堂国語辞典)』、『新明解(新明解国語辞典)』という2つの国語辞典が出版されるようになったのか、それぞれの編纂にかかわった見坊豪紀(けんぼうひでとし)と山田忠雄の50年に及ぶ情熱と相克が分かりやすく紹介された。 2つの辞書のうち話題になりやすかったのは『新明解』であった。ちなみに『新明解』の累計発行部数は初回放送された2013年の時点で2000万部。最も売れている国語辞典であるという。いっぽう『三国』の累計発行部数は2013年時点でおよそ1000万部になっているという。 ここで念のため、最新の発行部数がどうなっているのかChatGPTに調べてもらった。以下抜粋。 日本で発行されている国語辞典を、累計発行部数の多い順にご紹介します(情報は各社公表および信頼できる資料に基づきます)。以下、主要な辞典のランキングです: ## 累計発行部数の多い国語辞典ランキング
ということで、今回の放送で取り上げられた2種のうち『新明解』は依然としてトップを独走している模様だが、『三国』のほうは2位から4位のあたりにあると推測される。 ところで私自身は中高時代は旺文社の横書きの国語辞典を使っていた。いまの『旺国』とは違うはずで、思い出品として書棚のどこかに残っているはずだ。 いっぽう、今のくらしの中では、印刷体の国語辞典を使うことは全く無い。必要がある時は、
それはそれとして、私は小学生の頃から国語辞典がどういう役に立つのかイマイチ分からないところがあった。放送でも言及されたが【後述】、上記の「語釈」の「語釈」の例にも見られるように、たいがいは言葉の言い換えに過ぎない。「語釈とは語句の解釈だ」と説明されても何のことやら分からない。 このことをさらに広げて考えてみるに、こっそり地球にやって来た宇宙人が国語辞典1冊を自分の星に持ち帰ったとして地球人の生活ぶりをどこまで理解できるのかどうか、という言葉の問題がある。 私自身は少し前まで、 ●言葉というのは実体験無しには理解できない。純粋に関係性だけで定義できるのは数学くらいのもの。言葉を別の言葉で置き換えるだけではこの世界がどういうものかを示すことができない。 と考えていた。例えば古文書から当時の生活ぶりが推測できるのは、その当時の衣食住が今の時代と類似しており「○○のようなものだ」という表現でおおまかに疑似体験できるからだ。いっぽう、バクテリアの「生活ぶり」となるといくら比喩や擬人的表現を使っても限界がある。 もっとも最近のAIの目覚ましい進歩に接していると、実体験ができないAIでも将棋を指したり、さまざまな人生相談に応じることができることに驚く。この場合、AIは別段、言葉を「理解」しているわけではない。言葉で記述されたある状況を包括的に把握した上で、「こういう文脈においてはこのように出力する」という作業を実行しているに過ぎない。例えば、今の時代であれば、利用者が「失恋しました」と入力することでAIから慰め、励ましの言葉を貰うことができるだろうが、AIは別段利用者に共感しているわけではない。「失恋しました」という言葉が入力された時に適切・有用であると評価された言葉を単に返しているだけに過ぎない。元の話の国語辞典を持ち帰った宇宙人の例でも、辞典を熟読すれば「こういう状況ではこのように返事すれば良い」というレベルの言い回しであれば正しく使えるようになるだろう。 ということで、言葉の言い換えばかりの語釈を搭載した辞書でも全く役に立たないわけではないが、そうではなくて、実体験として起こりうる文脈を具体的に記した辞書のほうが「体験的」に理解しやすくなることは間違いない。例えば「痛い」の語釈として、 ●打たれたり 切られたり 体内に故障があったり して、その部分に意識せずにいられない不快な刺激を感じて、つらく思う様子だ。 というように、その不快刺激が生じる文脈が明記されていればより体験的に理解できる。但し痛覚を持たない昆虫人間がいたとしたら、この語釈では何のことやら分からない。 次回に続く。 |