じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 YouTubeで見かけた興味深い問題。↓の記事参照。


2024年3月28日(木)




【小さな話題】3月に視聴したYouTube動画(1)パズル、算数系

 3月に視聴したYouTube動画(パズル、算数系)の備忘録と感想。今回はパズル、算数系の話題。上掲の3つの問題について、左から順に取り上げる。なお、3番目(右側)の問題のA〜Dは説明のために私があとからつけたものである。
  • 正方形内の2つの円に囲まれた領域
     中国の小学校の問題だというふれこみがあったので、私も色々考えてみたが自力で解くことはできなかった。
     正解が
    8π−12arctan2−8
    となることからみて、補助線をどのように引いて図形を分割したとしても、最終的に扇形の中心角を求める際にarctanを使わざるを得ず、ヒラメキで簡単に解くことは難しそうに思えた。


  • ボトルの中の液体の量を求める
     ボトルに入っている液体(ここではワインとしておく)の水位の高さ、逆さにした時の水位の高さ、ボトルの容量、ボトルの高さと底面積からワインの量を求めるという問題。
     もしボトルが完全な円筒形であるなら「水位の高さ×底面積」だけで簡単に求めることができる。しかし実際にはボトルの底面にはくぼみがあり、また上部は細くなっているので、単純には計算できない。ちなみに、ボトルの底面の凹みは、ワインボトルでは「パンツ(Punts)」、炭酸飲料のペットボトルでは「ペタロイド」と呼ばれているらしい。
     この問題は、ボトルが円筒形であると仮定した場合に、底面の凹みによって失われる量をb、上部が細くなっていることで失われる量をuなどと置いて連立方程式を立てることでも解くことができるが、もっとエレガントな方法がある。
     それは、ボトルの中のワインが最大容量の750cm3の半分であるためにはどれだけワインを減らせばよいか、もしくは増やせばよいかを考えることであった。この問題で与えられた数値から言えば、14cmだった水位を11cmまで減らせばちょうど半分になることが分かる。なぜかと言えば、そのボトルを逆さにした時の水位は19cmから16cmに減る。ボトル全体の高さは27cmだから、逆さにした時の上部の空気の部分は27−16=11cmとなって、ボトルの上下を元に戻したときのワインの水位と等しい。つまり、空気とワインは同じ体積なので、ワインの量は750cm3の半分の375cm3となる。これに14cmを11cmに減らした分、即ち、底面積×高さ=4×4×π×3=48πを加えればよい。
     この解法は、ワインの水位が円筒部分の範囲にある限りは、ボトルの容量やワインの水位の高さにかかわらず適用することができる。また多少工夫すれば、電車の座席(←前方と後方部だけ座席数が異なる)と着席者についての情報から乗車人数を言い当てる問題なども作れそうだ。


  • 2010年 鴎友学園女子中学入試問題

     円の半径さえ分かれば、直角三角形の面積から半円の面積を引くことで簡単に解くことができる。私が気になったのは、わざわざ相似を持ち出してきて「つきつめて考えればけっこう突き詰めて考えるとかなりしんどかった問題」としていたことであった。
     ネットで検索したところ、こちらでもやはり相似が使われていたことであった。
     動画のコメント欄には、相似を使わないもっとエレガントな解き方が紹介されていた【一部改変】。
    1. 中心OからCに補助線を引く。
    2. 円の半径をrとすると、△OCA=3r/2
    3. 同じく、△OBC=6r/2=3r
    4. △OCA+△OBC=△ABC=6×3÷2=9なので、
    5. 3r/2+3r=4.5r=9
    6. よってr=2
    ということで円の半径rが2であることが分かる。あとは省略。いずれにせよこの方法では相似を使う必要はない。

     ところで、もとの問題では、直角三角形の斜辺上の点Oを中心とする円が残りの2辺に接していることが前提となっていた。この前提を利用することは何ら問題ないが、もしかしてそのような作図ができないという可能性がある。ではどうすれば作図可能であると証明できるのか?ということになる。おそらくこれは、点OをBからAに移動させるなかでOからBCに延ばした垂線と、OからACに延ばした垂線(「OE」とする)によって作られる長方形ODCEの形の変化から証明できる。OがBに近い時は長方形ODCEは横長になるが、Aに近づくと縦長になる。なのでOが連続して移動すれば必ずOD=OEとなる点が存在するはず。この時OD(OE)を半径とする円はBCとACに接することになる。

     円の半径を求めるだけであれば以下のような解法も考えられる。但し一次関数を使うので中学入試の解法になるかどうかは不明。
    1. Bを原点とする平面を考える。BCはX軸。直線BAは、y=0.5x
    2. ODは点OのY座標なので0.5x
    3. OEは6からOのX座標を引いた長さなので6−x
    4. よって、ODとOEが等しくなる時は0.5x=6−x
    5. よって1.5x=6
    6. よってx=4
    7. この時のOの座標は(4,2)となるので、円の半径は2