じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 12月4日の朝はよく晴れていたが、太陽が昇るあたりに小さな雲があり、後ろ側から日が当たることで雲の縁が金色に輝く「金環日食」現象が見られた。じっさいの太陽は雲の右側から出現した。



2023年12月4日(月)




【連載】チコちゃんに叱られる! 「サバンナのC4植物」「同時通訳」

 昨日に続いて、12月1日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は以下の3つの話題のうち、残りの2.と3.について考察する。
  1. 武士がちょんまげなのはなぜ?
  2. サバンナにたくさん野生動物がいるのはなぜ?
  3. なぜ同時通訳ができる?


 まず2.のサバンナの件だが、確かにアフリカのサバンナではたくさんの草食動物の群れを見かける。但し、動物の数や種類がジャングルより多いかどうかは直ちには分からない。草木が生い茂っているジャングルでは動物たちは立体的に棲息しているし、その大部分は姿を隠していて目につきにくくなっているのに対して、サバンナに棲息する動物たちは平面的に移動するだけであり、身を隠すことができないからである。ま、それはそれとして、食物資源が乏しいはずのサバンナでも相当数の野生動物が暮らしているということは謎といってよいかもしれない。
 放送では、正解は「奇跡の草「C4植物」が生えているから」であると説明された。世界中の草を調べてる吉村泰幸さん(農研機構)によれば、私たちが普段目にしているのはC3植物。そして過酷な状況でも生きられるように進化したのがC4植物であった。
  1. 陸上に植物が誕生したのは約5億年前でありその頃の地球上には今の約15倍の二酸化炭素があった。
  2. しかし約1000万年前に地球が寒くなり海水の温度が下がると、冷たい海水に二酸化炭素が溶け込むことで空気中の二酸化炭素が減った。そこで一部の植物が少ない二酸化炭素で十分な光合成ができるように進化した。これがC4植物である。
  3. C4植物は体内に二酸化炭素を溜め込んで濃くしてから効率的に使うことができる。但したくさんの光が必要なのでジャングルや森では生きられない。
  4. C4食粒は乾燥にも強い。サバンナに生える草の9割がC4植物。成長スピードも早いので草食動物が食べても足りなくなることはない。
  5. 草食動物が増えると肉食動物も増える。
  6. 駐車場に生えているメヒシバ、エノコログサもC4植物。
 今回は生放送ということであったので、セレンゲティ平原のC4植物やシマウマの様子が生中継された。また、メスが一斉出産に入るために行われるという「オスのコーラス」の貴重映像も公開された。

 ここからは私の感想・考察になるが、C4植物という言葉は初めて知った。ウィキペディアにはC4型光合成という項目があった。放送では「C4」と表示されていたが、こちらのほうは「C4」というように「4」が下付になっていた。専門的なことはよく分からないが、C3とかC4という数値は炭素数の数に対応したものであり、C1植物とかC2植物というのは無さそうだ。また同一種の中にC3とC4の両方が混在するものもあるらしい。




 次に3.の同時通訳の話題だが、確かに同時通訳は難しい。放送では相当の英語力をもつ塚原愛アナが英語を日本語に訳す同時通訳に挑戦したが途中から一部の表現が抜けてしまった。
 放送では「頭の中に入ってきた情報をあっという間に消しちゃうから」と説明された。山田優さん(立教大学)によれば、
  1. 脳のワーキングメモリは4つを超えたら覚えられない。同時通訳ができる人は入ってきた英語をすぐ日本語に訳ししゃべることで情報を消す作業を行っている。
  2. 日本語との文法の違いから英語は最後まで聞かないと分かりやすく訳せないが熟練の同時通訳者は1つのスペースに英語をたくさん入れることができる。
  3. 熟練の同時通訳者は文章全体を1つの映像化にすることでワーキングメモリのスペースを空ける。
 放送では、通訳歴37年の小沼順子さんの同時通訳の様子のほか、同時通訳歴30年の柴原早苗さんに岡本さんのエピソードについての「英語放送」の同時通訳をしてもらうという実験が行われた。山田優さんの解説では同時通訳の中身はすぐに消されてしまうということであったが、どれだけ覚えておられるのかについてクイズを出したところ全問正解となった。内容が特異であれば記憶に残ることもあるようだ【私までその内容がしっかり記憶されてしまい頭から離れなくなってしまった。

 同時通訳はワールド放送などでたまに耳にするが、文脈がはっきりしていないと日本語を聞いてもなかなか理解できないことがある。むしろ、時間差をおいて正確に訳してもらったほうがありがたい。但しそうなると機械翻訳でもかなりの精度が上げられる。すでにポケトークなどが実用化していることを考えると、同時通訳業の活躍できる場はしだいに縮小されていく可能性もある。
 あと、以前、心理学会の年次大会で英語講演の同時通訳を拝聴したことがあったが、いくら同時通訳のプロとはいえ、専門用語の使い方には一部誤用があり、通訳内容だけから講演を理解できるかどうかは疑わしく感じる。私の英語力など大したレベルではないが、専門的な講演に関してはやはり通訳に頼らずに原語で拝聴したほうが聞き取りやすい【字幕が出ればさらにありがたい】。

 なお、今回の放送は地デジとBSの同時放送であったが、BSでは「延長戦」として「中華鍋が丸いのはなぜ?」という疑問が出された。正解は「かまどにスポンとはまるから」。中華鍋の底が丸いことでかまどが強い火力を出せると説明された。放送ではさらに中華鍋の製造工程、さらに中華鍋をアンテナとしてBS放送が受信できるという実演が行われた。