じぶん更新日記・隠居の日々
1997年5月6日開設
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 10月20日初回放送の『チコちゃんに叱られる!』で青森県の『日本キャニオン』(写真上)が紹介された。写真下は2023年5月に訪れた、カザフスタン・トゥズバイル塩湖の白亜の崖。白っぽく、浸食が進んでいるという点では似ているように思われた。もっともトゥズバイル塩湖の崖は白亜(チョーク)が主体。『日本キャニオン』のほうは凝灰岩でできているという。↓の記事参照。



2023年10月22日(日)





【連載】チコちゃんに叱られる! 「イヤーワームの原因(続き)」「コロコロ」「日本キャニオン」「紙が黄ばむ原因」

 昨日に続いて、10月20日(金)に初回放送された表記の番組についての感想・考察。本日は、
  1. 「あの曲が頭から離れない現象」が起こるのはなぜ?
  2. 粘着クリーナーができたキッカケはなに?
  3. 【CO2削減のコーナー】神秘の国 青森 日本のトワイライトゾーン第4弾『日本のグランドキャニオン』
  4. 時間がたつと紙が黄ばむのはなぜ?
という4つの話題のうち、残りの2.〜4.について考察する。

 その前に、昨日取り上げた1.のイヤーワームについて補足。イヤーワームがなぜ起こるのかについてもう少し考えてみたが、いちばん可能性が高いと思われるのは「言葉の学習機能の残骸」というものであった。子どもたちは、しばしば家族やテレビから流れる音声をマネして自分で発話しようとする。これは語彙の獲得にとって重要なプロセスである。子どもたちはまた、テレビから流れる歌をマネして自分で口ずさむようになる。機嫌のいい時などは一人で歌い続けることもあるが、おそらくこれも言葉の学習から派生した行動であると思われる。しかし、周りに人がいるところで唐突に歌い出すのは変な目で見られたり「うるさいっ!」と窘められたりする。その結果、声を出さずに頭の中で歌うようになる。これがイヤーワームである、というのが私の考え。といってもこの説を裏付ける証拠を集めるのは難しそうだ。




 元の話題に戻るが、2.の『粘着クリーナー』の起源は、「『ゴキ逮捕!』が売れなかったから。」が正解であると説明された。もっとも、私自身にとっては『粘着クリーナー』は使ったことがなかった。ネットで検索したところ、『コロコロ』という登録商標で販売されている商品があり、このことを意味しているようである。1978年に社運をかけて新商品『ゴキ逮捕!』を発売したもののゴキブリの動きが速すぎて捕まえられずに大失敗。その後、在庫の山の中で女性社員がクラフトテープを使って服のホコリを取っていることをヒントに、ローラー式の商品を開発し大ヒットになった。この経緯は、当該メーカーの『コロコロR誕生ものがたり』にも詳しく紹介されている。放送では言及されなかったが、「すじ塗り」技術も大いに役立っているようだ。
 私にとっては未知の商品であり、NHKによって宣伝紹介されたような気がしないでもないが、次回ホームセンターを訪れた時には試しに買ってみようかと思っている。




 次の3.の『日本キャニオン』は、『神秘の国 青森 日本のトワイライトゾーン第4弾』として紹介されたものであり、これまでの『イエス・キリストのお墓』や『釈迦の墓』と同様、大したこと無さそうという予感があったが、映像を見る限りでは結構興味を抱かせるような奇景であった【上掲の写真参照】。
 放送によれば、この断崖は、1953年に小説家の佐藤春夫がここを訪れたときに「アメリカのグランドキャニオンに感じがよく似ている」と発言、同じ年にこの地が県立自然公園に指定されたため視察に訪れた国立公園審議委員の冒険家・岸衛が「何だこりゃ、ベビーキャニオンじゃないか」と言ったという話もあるものの役場で『日本キャニオン』と命名されたという。なお、ウィキペディアによれば、岸衛がこの地を訪れたのは1953年の10月22日であり、本日がちょうど70周年の記念日ということになる。
 ま、行ってみたいという気持ちもあるが、青森県まで旅行すれば交通費や宿泊費で5万〜10万ほどのお金がかかる。同じお金をかけるなら、海外旅行の資金に活用した方がマシという気がしないでもない。




 最後の4.の紙の話題であるが、放送では「木をすりつぶして作った紙だから。」が正解であると説明された。放送ではまず、紙の製造過程が紹介された。
  • 紙のもとになるのは丸太。これを1mずつにカットし表面の皮をむく。機械ですりつぶす過程で短い糸のようなものになり水を加えて特殊な薬品で色を抜いたものが「パルプ」と呼ばれる紙の原料になる。
  • 装置の中にパルプを入れて水をためる。よくかき混ぜて底から水だけを抜くと紙の成分だけ残る。
  • 水分を吸い取る特別な紙を乗せて圧力をかけることでさらに水分を取り除く。
  • 最後に熱で乾燥させてさらに水分を飛ばすと紙が出来上がる。

 さて、木の成分は約25%がリグニン、約50%がセルロース、約25%がヘミセルロースとなっている。このうちリグニンは太陽光や蛍光灯の光や酸素に触れると色が薄い茶色に変わる性質がありリグニンを含んだ紙は時間がたつと黄ばむ。そのリグニンを化学薬品を使って取り除いて作られたのが『化学パルプ』で現在の主流となっている。化学パルプから作られる紙は『上質紙』と呼ばれ図鑑やノートなどに使われている。いっぽう、木をすりつぶしたものは『機械パルプ』と呼ばれる。
 機械パルプや化学パルプの配合率は用途によって変えられている。機械パルプの紙は黄ばみやすいものの、軽くて透けにくい、特有の手触り感というメリットがあり、ざらざら感やめくりやすさをもたらす。もしコピー用紙で本が作られるとつるつるしてしっくりこない。
 メーカー担当者によれば、紙はいかに主張せずに心地よい存在でいられるか大切。確かに、本や印刷物に目を通す時には、紙の質は気にならない(紙は何も主張しない)。このほか、機械パルプの紙はボリューム感が出るので本に厚みがでるが重さは軽いということが、同じページ数の機械パルプで作られた本と、化学パルプで作られた本の比較により説明された。

 ここからは私の感想・考察になるが、5年半前の定年退職時、相当量の研究資料を廃棄処分したことがあった。また、子どもの頃に読んだ絵本や童話集、子ども時代の絵画作品などもスキャナで画像ファイル化したあとは廃棄している。その際に気づいたが、私が保管していた書類の中で黄ばんでいたのはごく僅かであった。学生時代はまだ普通紙コピーが高価であったため、演習などの配布用発表資料は湿式の「青焼き」で作られるのが一般的であった。この「青焼き」は年数が過ぎると色が褪せて読めなくなると言われていたが、40年経ってもちゃんと残っていたのには驚いた。絵本や童話全集なども殆ど黄ばみはなかった。いっぽう黄ばみが酷いかったのは、漫画週刊誌の切り抜きなど。
 なので、普通に書棚などで保管しておく印刷媒体に関しては、個人の一生のスパンよりは長く保存が可能であり、黄ばみはあまり気にしなくて良さそうである。もっとも嵩張って場所塞ぎになるし、森林資源の保護という点からみても、ペーパーレスのほうが望ましいことは言うまでも無い。